サイバー攻撃の可能性高ければ警察・自衛隊が相手サーバーに侵入…「能動的防御」関連法が成立

2025年5月16日(金)19時27分 読売新聞

 重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の関連法は16日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。2027年末までに全面施行される。政府による通信情報の監視や攻撃元サーバーの無害化が可能となり、サイバー対処能力が欧米主要国並みに抜本的に強化される。

 自民、公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成した。能動的サイバー防御は、〈1〉官民連携の強化〈2〉通信情報の監視〈3〉攻撃元サーバーへの侵入・無害化——が柱だ。

 官民連携では、国民生活を支える大手電力会社などの「基幹インフラ事業者」にサイバー攻撃時の政府報告を義務づける。基幹インフラ事業者が使用するシステムや機器に脆弱ぜいじゃく性が見つかった場合、政府がIT製品メーカー(ベンダー)に必要な被害防止措置を要請できる。

 通信情報の監視は、外国間、外国・国内間の通信に限定し、国内間は除外する。IPアドレス(インターネット上の住所)などを対象とし、メール本文といった通信の本質的な内容は含めない。

 サイバー攻撃が行われる可能性が高ければ、警察・自衛隊が相手サーバーに侵入し、プログラムの停止・削除などを行い、機能を停止させる。

 新設する独立機関「サイバー通信情報監理委員会」が運用状況を監督し、通信情報の監視や侵入・無害化の事前承認、事後のチェックなどを担う。衆院の審議では野党主導で法案修正が行われ、国会の関与や、憲法の「通信の秘密」の尊重を明確化する規定が追加された。

 林官房長官は16日の記者会見で、「通信の秘密の保護も含め、適切に運用されるように法の執行に向けてしっかりと準備したい」と強調した。

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