ナイロン製の釣り糸が「海で分解」、特定の製造条件で…「海洋プラごみ問題の解決に」

2025年5月18日(日)12時2分 読売新聞

海水中で分解するナイロン製の釣り糸

 東京大などの研究チームは、海中では分解しないと考えられていたナイロン製釣り糸が、特定の製造条件で分解することを発見した。強度が高く安価な素材のため、漁網などに用途を広げられれば海洋プラスチックごみ問題の解決につながるとしている。

東大など発見

 ナイロンなどのプラスチックは釣り糸や漁網の材料として使われているが、海中でほとんど分解せず、放置された漁具がウミガメや海鳥に絡まるなどの被害が多発している。微生物で分解されるプラスチックも開発されているが、強度やコストに課題があり普及は進んでいない。

 チームは、プラスチック素材約1000種類を海に沈める実験を行った。その結果、予想に反して市販の釣り糸の一部に分解の兆候を見せるものがあった。

 素材は、衣服や工業部品で広く使われている「ナイロン6」と「ナイロン6,6」を特定の比率で組み合わせたもの。それぞれ単独では分解しないが、組み合わせた素材は海中で分解が進み、3か月で強度が5分の1にまで下がった。

 チームの伊藤耕三・東大特別教授(高分子材料学)は「世界的な問題となっている海洋汚染の歯止めになる」と話している。

土肥義治・東京科学大名誉教授の話「ナイロンは分解しないという常識を覆す驚きの発見だ。用途に合わせて分解しやすさを調整するなど、国際的な開発競争が始まるのではないか」

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