コメ失言の江藤農相、初の閣僚更迭で石破政権に打撃…発信力ある小泉氏起用で政権浮揚狙う

2025年5月21日(水)21時13分 読売新聞

江藤農相の辞任について記者団の質問に答える石破首相(21日午前、首相官邸で)=川口正峰撮影

 石破首相(自民党総裁)は21日、「コメは買ったことがない」などと発言した江藤拓農相(64)(衆院宮崎2区、当選8回)を更迭し、後任に小泉進次郎・元環境相(44)(衆院神奈川11区、当選6回)を起用する人事を決めた。石破内閣での閣僚の更迭は初めてで、内閣支持率が低迷する政権に大きな打撃となった。

 首相は同日、首相官邸で江藤氏からの辞表を受理後、記者団に「全て任命権者である私の責任だ」と神妙な面持ちで語った。江藤氏は首相と面会後、記者団の取材に応じ、「極めて不適切な発言をしてしまった」と改めて陳謝した。

 江藤氏は18日の佐賀市内での会合で「(コメは)支援者がたくさんくださる。売るほどある」などと述べていた。コメ価格が高止まりする中、担当閣僚による国民感情を逆なでする失言として強い批判を浴びた。

 首相はいったんは農政の継続性などを考慮し、厳重注意の上で江藤氏の続投を決めた。だが、江藤氏が発言を謝罪、撤回後も批判はやまず、立憲民主党など野党5党は20日、更迭を要求する方針で一致。農相不信任決議案の提出も検討するとしたため、少数与党下で不信任案が可決される事態を危惧し、続投判断を覆す事態に追い込まれた。

 短期間での方針転換に対し、立民の野田代表は記者団に「首相の説明責任が求められる。常に一手遅い」と断じた。日本維新の会の前原誠司共同代表は記者会見で「国民の苦しさに対する感度があまりに低すぎる」と苦言を呈した。

 小泉氏は21日午後、皇居での認証式を経て正式に就任した。これに先立ち、首相官邸で首相と面会後、記者団に「『とにかくコメだ』と指示をいただいた。安心して買える価格で落ち着くように全力を尽くしたい」と語った。首相は「経験、見識、改革に向けた情熱を持っている」と起用理由を記者団に説明した。

 小泉氏は自民党農林部会長として農協改革に携わった経験があり、首相は業界団体などの反発も予想される米価引き下げでの手腕に期待を寄せる。発信力に定評がある小泉氏の起用で政権浮揚につなげたいとの思惑もあるとみられる。

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