NTT再編 国際的な存在感高められるか

2025年5月26日(月)5時0分 読売新聞

 デジタル分野で、日本企業は海外の巨大IT企業に大きく水をあけられている。NTTはグループ再編の総仕上げを契機に、国際的な存在感を高めていってもらいたい。

 NTTは、ITサービス大手のNTTデータグループを完全子会社化する。現在、NTTはデータグループの株式を58%保有している。残りの42%を株式公開買い付け(TOB)を通じて買い取り、上場を廃止する計画だ。

 データグループは、国内では、官公庁や金融機関のシステム構築などに強みを持つ。NTTグループの海外事業を統括し、データセンター市場での占有率(シェア)は世界3位だという。

 旧電電公社が民営化され、NTTが誕生したのは1985年だ。それから40年を経て、子会社を再び統合するNTTグループの再編は総仕上げの段階に入ったと言えよう。2020年にはNTTドコモを完全子会社に戻している。

 NTTはグループの力を結集し、画期的なITサービスを生み出していくことが重要だ。さらなる成長を目指す上で、海外展開を通じ、データグループは中核的な役割を担うことが期待される。

 国内も海外市場も、人工知能(AI)の飛躍的な発展に伴い電力需要の増大が予想される。

 NTTは光技術を活用し、電力消費が大幅に減らせる次世代通信基盤「IOWN」の実用化を急いでいる。新技術をデータセンター事業に活用すれば、主導権を握ることができるのではないか。

 政府の通信行政も転機を迎えている。これまで、固定電話網をほぼ独占していたNTTが過度に巨大化しないよう、法律で強く規制し、通信業界の競争を活性化することを主軸に置いてきた。

 このため、NTTは携帯電話やデータ通信など新しいサービスが過度な規制を受けないよう、本体から分離して上場させてきた。

 だが、その間に、グーグルなど米巨大IT企業が台頭し、NTTを含めた日本の情報通信産業は後れを取ってしまった。

 こうした状況を受け、政府は昨年、NTT法を改正し、総務相が役員の選任や解任を認可する仕組みを緩和し、経営の自由度を高めた。NTTがデータグループを完全子会社化するのも通信行政の環境変化を生かしたものだ。

 公正な競争に配慮することは前提だが、日本で対抗できる企業を生み出すには、NTTの経営の自由度を高める方向で規制を不断に見直していくことが望ましい。

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