死角にいる人や車、ピクトグラムで危険をお知らせ…AIカメラが感知し路面に投影

2025年5月26日(月)7時36分 読売新聞

 AIカメラで曲がり角の死角にいる人や車を感知して、危険を知らせるピクトグラム(図記号)を路上に投影するシステムが、注目を集めている。静岡県工業技術研究所とプラスチック加工会社「南部化成」(吉田町)が共同開発したもので、普及が進めば夜間の交通事故防止効果が期待される。(佐藤彩音)

 このシステムは、住宅の玄関先に設置する防犯灯のように、人や車が近付くと明かりをともす。画期的なのは、路面に図や記号を表示することで、「曲がり角の死角に人や車がいる」という情報をドライバーに伝えられる点だ。

 例えば、同社の裾野事業所内では、フォークリフトや歩行者が往来する曲がり角に、このシステムを搭載したポールを設置。AIカメラや人感センサーで曲がり角に接近する人や自動車を検知すると、路上に山形のピクトグラム「〈」を表示する。社員からは「車の接近に気が付かず危ない思いをしたことがあったが、設置後は安心して渡ることができる」と好評だという。

 このシステムを可能にしたのは、同研究所が開発した超微細光学部品「マイクロプリズムアレイ(MPA)」だ。一辺1ミリ・メートル未満の多面体で光を当てると「○」「×」「!」などを表示できる。

 同研究所と同社は2022年から、このシステムの開発に取り組んでおり、24年12月に実証実験を開始。屋外では、交通事故が起こりやすい夕方以降に有効だという。

 光源とMPAのみで記号を投影できるため、装置の小型化、軽量化が可能で設置場所も問わない。

 4月には東京都と大阪府の展示会に出展。すでに建築会社や自治体などから商談や問い合わせが数十件寄せられている。その内容は「非常用バッテリーを使用することで、停電時に誘導灯として活用できるのではないか」「水位センサーを組み込み、冠水した道路の手前で警告できるのか」など多岐にわたる。

 裾野事業所の小方亮治さん(46)は「常時表示される注意喚起より、本当に危ないときに表示される方が危機感が高まる。事故防止に活用してほしい」と話している。

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