2023年は温暖化の進行を象徴する年に 日本の平均気温は過去にない高さ

2023年12月29日(金)10時0分 ウェザーニュース

2023/12/29 09:51 ウェザーニュース

2023年の日本の平均気温は1898年の統計開始以来の歴代最高を大幅に更新する見込みです。シミュレーションの計算結果から、今年の高温は非常に稀である水準であることがわかりました。

歴代上位の記録は最近5年に集中

気象庁によると都市化の影響が比較的小さい全国15か所の代表地点(※)の観測値による、2023年の日本の平均気温偏差は、11月までの集計で+1.34℃です。12月27日までのデータで暫定的に計算した結果でも+1.28℃で大きな違いはなく、これまでの歴代最高だった2020年の+0.65℃を大きく上回ります。
▼年平均気温が高かった年(数字は平年偏差)
 2023年 +1.34℃(11月までの速報値)
 2020年 +0.65℃
 2019年 +0.62℃
 2021年 +0.61℃
 2022年 +0.60℃
年平均気温が高い順の5位までは最近5年が占めていて、地球温暖化の進行により全体的に気温が上がっている傾向が現れています。今年はそれにエルニーニョ現象や正のインド洋ダイポールモード現象などの影響が加わったことで顕著な高温になったと考えられます。
※算出に使用している地点
網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島

過去のデータから見ても著しい高温

ウェザーニューズの気候テックチームが2023年の気温について、シミュレーション計算を行ったところ、今年の高温は過去のデータから起こり得ない水準で、極めて稀であることがわかりました。
1976〜2010年のデータを元にした1750通りの気候シミュレーションの結果では、上に示したグラフのように1970〜80年代の低温傾向の反映もあり、偏差がマイナスの頻度が大きくなっています。2019年以降に記録している+0.6℃以上でも、頻度は低い水準です。
計算結果を詳しくみると、最も高いものが+1.06℃ですので、今年の+1.34℃は近年の中でも突出した数字といえます。2010年までのデータに比べて高温傾向が続いていることは、温暖化が進行しているためと考えられます。
産業革命以前と比べて2℃上昇すると想定したシミュレーションでは、今年より高温になるケースが60%以上を占めました。温暖化対策が進んだとしても、今世紀後半には今年のような高温が2年に1度の割合で出現してもおかしくありません。
今後の気候変動を緩和させる行動とともに、すでに進行している気候変動への適応が必要になってきています。生活の中の日常的な「緩和」「適応」の実践が、未来の地球や私たちの生活を守ることにつながります。気候変動の急速な進行を食い止めるために、私たちも身の回りのできることから取り組み、地球の未来を考えてみませんか。

頻度分布図の使用データ:d4pdf(国内20kmメッシュ)を元にウェザーニュースにて独自補正

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