「58歳で離婚→66歳で再婚」3人の孫がいるおばあちゃんが"7歳下の男性とアプリ再婚"するまでにしたこと
2025年1月31日(金)18時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/eggeeggjiew
写真=iStock.com/eggeeggjiew
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/eggeeggjiew
■「婚活沼」にハマりやすい女性の共通点
婚活沼とは 結婚すると決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。
婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまだが、根本的な原因は「その人のマインド」が大きい。「こんな歳だから」「私なんかを選んでくれる人はいない」などという否定的な言葉を、無意識のうちに自分で自分に浴びせてしまっている人が意外と多いのだ。
理想通りの相手と結婚するために必要なマインドセットとは? 今回は、マインドを自ら改革したことで「婚活沼」から抜け出し、マッチングアプリで出会った年下の男性と再婚をした女性のケースを紹介する。
■18年かけて叶った前夫との離婚
N江さんは、現在67歳。笑顔が印象的なチャーミングな女性だ。N江さんがマッチングアプリに登録したのは59歳のとき。その前の年、58歳のころに、23歳で結婚した夫との離婚がようやく成立した。相手は、勤めていた会社の上司に紹介された人だった。
N江さんは2人の子供に恵まれ、専業主婦として家庭を支えてきた。夫は今でいうモラハラ気質で、N江さんが意に沿わない言動をすると、あからさまに不機嫌になった。
友人との食事会はおろか、子供のPTAの会合ですら、夜に家を空けるといやな顔をする。N江さんは何度も話し合いをしようとしたが夫は取り合わず、最後は怒鳴られて終わるという繰り返し。気がついたときには、N江さんは夫と会話をすることすら諦めてしまっていた。
N江さんが初めて夫に「離婚したい」と告げたのは、40歳のとき。
「このまま愛のない相手と暮らして一生を終えるのはいや。私は一生、女でいたい」と強烈に思ったのだという。夫は離婚には応じなかった。「片親では子供たちの就職にも結婚にも支障がある」という、世間体を重んじる夫らしい理由だった。
■子供たちの結婚式の1カ月後に
「いつか夫と離婚する日のために」とN江さんは、ひっそりと準備を進めていた。まずは仕事を見つけて貯金をしなければ。そう考えたN江さんは、自宅から車で30分のところにある工務店で、事務の仕事を始めた。初めは週5日のパートだったが、3年あまり勤めた頃、仕事ぶりを買われて正社員に登用された。
月日が流れ、長女と長男は社会人になり、それぞれ結婚して家を出た。
写真=iStock.com/kyonntra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra
N江さんは夫と並んで子供たちの結婚式に出席。離婚届に判を押して渡したのは、それから1カ月ほどたった頃だ。夫は黙って離婚を受け入れた。
「今までありがとうございました」と頭を下げたN江さんに向けて、夫からは何の言葉もなかったという。
N江さんはひとりで市役所へ行き、離婚届を提出した。
「市役所から出たときに見た青空を一生忘れません」とN江さんは当時を振り返る。
■「たったひとり」を探せばいい。59歳でアプリに登録
80歳を過ぎた母親に離婚を報告したときは、「暴力を振るわれていたわけでも、借金があるわけでもない。何不自由ない生活をさせてもらっていたのに、わざわざ離婚するなんて」と言われたという。
「結婚なんて、みんなそんなものよ」と。たしかに、親世代の人たちにとっては「愛のない結婚」なんて珍しくはないのかもしれない。でも、N江さんは一度しかない人生で、大好きな人に愛される経験がしたかったのだ。
けれど、仕事場と自宅を往復する毎日に新しい出会いはない。ちょうどその頃、職場にいる40代の後輩がマッチングアプリで出会った人と結婚すると聞いた。「50代60代の人も登録していますよ」と勧められたが、当初、N江さんは乗り気になれなかったという。背中を押したのは、後輩の一言だった。
「世界中からたったひとりの運命の人を探さないでどうするんですか」
そう言われてN江さんははっとした。なんのために苦労して離婚をしたのか。愛を知らないままひとりで生きていくのはいやだ。
そう思ったN江さんは、後輩が勧めてくれたアプリに登録した。
■15歳下の彼との恋に夢中に
後輩が話していたとおり、アプリには50代どころか70代の人も登録していた。
N江さんはさっそく何人かの男性とマッチングして、メッセージをやりとりした。そのうちのひとりに「会ってみませんか」と誘われて、N江さんは初めてのデートに臨むことに。
相手は15歳下の会社員。さすがに15歳も下の男性に会うのは抵抗があったが、初めて会ったときから年齢差を感じることはほとんどなかった。映画の趣味も音楽の好みも似ていて、話が合う。久しぶりの、いやほとんど初めてに近い恋にN江さんは夢中になった。
写真=iStock.com/Young777
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Young777
お互いの家を行き来しながらおつき合いをして2年近くが過ぎた頃、N江さんのなかに「この先、どうするのかな」という思いがよぎるようになった。
N江さんは62歳になっていた。彼は気ままなひとり暮らしを気に入っていて、「誰かと一緒に暮らすのは無理」と公言している。当然、N江さんと結婚することは考えていない。N江さんもそのことには納得しているつもりだった。「結婚はもういい。私は恋がしたいのだから」と自分に言い聞かせてきた。
彼とつき合っているとき、N江さんはよく泣いたり拗ねたりしていたという。
この人は一生自分のそばにいる気がない。いつでも別れられる存在なんだと思うと、たまらなく不安になり、そのたびに「あなたは私のことなんて、もう好きじゃないのね」などと言って相手の気持ちを試そうとしてしまっていた。
そんな自分が情けなくて、落ち込むことの繰り返し。このまま彼とつき合っていていいのだろうかと、N江さんは考えるようになった。
■「50歳以上の人は『いいね』しないでください」
結婚する気のない相手と交際することで、N江さんは思いがけない自分の本心と向き合うことになったという。
「私は、恋愛だけをしたいんじゃない。好きな人と結婚して一緒に暮らしたいんだ」
そう気づいたN江さんの行動は早かった。15歳下の彼に別れを告げて、N江さんは婚活をスタートする。
マッチングアプリのプロフィールには、その人が求めている相手を書く欄がある。「茶飲み友達」「恋人」「パートナー」「結婚相手」などだ。好きになってからミスマッチに気づくと苦しい思いをすることは経験済み。N江さんは相手のプロフィールをよくチェックして、「結婚相手」を募集している人にだけメッセージを送るようにした。
しかし、目標を「結婚」に絞ることでターゲットは激減。アプリの中には「50歳以上の人は、『いいね』してこないでください」と明言している人もいた。
私がN江さんに会ったのは、「60歳を過ぎてから婚活するなんて、無理だったのかな」とN江さんの心が折れそうになった頃だったという。
■「貴重な年月を無駄にした」という思いに変化が
まずN江さんは、私が提唱する「ごめんねワーク」で自分に謝罪をした。
「ごめんねワーク」のやり方
1.自分の胸に手を当てる
2.自分で自分を否定してきたこと、自分で自分を傷つけてきたこと、自分の本心を無視し続けてきたことなどを「ごめんなさい」と謝る。
これを今日から3週間、毎晩(もしくは毎朝)やってみよう。湯船やスキンケアをしながらなど、好きなタイミングでOK。自己否定をしてきた自覚がない人にもぜひ試してほしい。
※参考記事:「『今日はサイゼリヤでもいいかな?』への対応でわかる婚活がうまくいく女性とそうでない女性の決定的違い」より引用
人は、無意識のうちに、心の中で自分を否定してしまうもの。
N江さんの場合は、「60歳を過ぎてから婚活しても無理なのかもしれない」「最初の結婚で幸せになれなかった私が今さら幸せな結婚ができるのだろうか」などと自分で自分を否定していた。そのことを自覚して、自分に謝罪をする。
その上で、N江さんは「私は理想の相手と結婚して幸せになる」「誰かに幸せにしてもらうのではない、私は自分で自分を幸せにする」と毎日鏡の前で自分に言い聞かせた。
すると、1カ月ほどでN江さんのマインドは、徐々に変化し、最終的には大きく変わった。いちばんの変化は、元夫や元彼への感謝がわいてきたことだ。それまでN江さんは、最初の結婚生活で「貴重な年月を無駄にしてしまった」と思っていた。それが、「2人の子供を授けてくれて、黙って離婚に応じてくれた夫に感謝しています」と語るようになっていた。
15歳下の元彼のことも、「彼のおかげで結婚したいという思いに気づけたし、何より年上の女性を好む男性もいることを実感することができました」と感謝の気持ちを抱くように。
■年齢は10歳下から3歳上まで
N江さんは、プロフィールを再登録して婚活をリスタートさせた。「理想の人リスト」も作った。年齢は10歳下から3歳上までと決めた。
アプリでは年上の男性からのアプローチが多いため、「3歳上まで」という条件は、出会いの幅を狭めることになる。けれど、N江さんは「幸せになるために結婚したいから、いつかは介護が必要になるとしても、すぐにはいや」という考えから迷わなかった。
その後、N江さんは何人かの男性と短い交際を繰り返した。N江さんは、恋愛が絡むと自己肯定感が下がり、「私なんて」という気持ちになりやすいタイプ。不安になると、拗ねたり泣いたりすることで相手の気持ちを試してしまうクセがあった。
しかし、不安な気持ちをこじらせそうになるたびにマインドを整えて、新しい出会いへ向かったN江さん。「心が傷ついているときは、相手に依存しやすいから」と、別れた後は半年近く婚活を休んで自分を取り戻す時間にあてた。
婚活は、「明るく軽く、真剣に」取り組める人ほどうまくいく。N江さんは、そう自分に言い聞かせながら婚活を続けていった。
■「私は1年も待てないよ」
7歳下の今の夫に出会ったのは、N江さんが64歳のとき。娘と息子に子供ができて、N江さんは3人の孫のおばあちゃんになっていた。
相手にも離婚歴があるが、子供はいない。おおらかでプラス思考なところに、N江さんは惹かれたという。
家に閉じこもっているより外へ出かけるのが好きなN江さんは、「私が行きたいところへ連れて行ってくれる人」を「理想の人リスト」に挙げていた。フットワークが軽い彼は、「8割以上理想通りの人」だとN江さんは言う。何より、初対面で6時間も話が弾んだというエピソードに、相性の良さが表れている。
「結婚したい」という気持ちに迷いがなかったN江さんは、初めて会った日に結婚についてどう考えているかを質問した。
「将来を考えていないわけではないけれど、まずは恋愛を楽しみたいと思っている」という彼に、N江さんは「私は1年も待てないよ」と返した。結婚する気がない彼とずるずると交際を続けていた頃のN江さんとは別人のようだ。
■「将来、あなたの隣にいるのは誰?」
おつき合いをして1年ほどたった頃。会話の流れでN江さんが「将来、あなたの隣にいるのは誰?」と尋ねたら、「あなたに決まっている」と返された。はっきりしたプロポーズではなかったけれど、そのやりとりをきっかけに、2人は結婚へ向けて動き出した。
写真=iStock.com/AzmanJaka
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AzmanJaka
仕事が忙しい彼の代わりに、新居を探したのもN江さんだ。
婚活中の女性の中には、「プロポーズは相手からしてほしい」「お店は決めてほしい」などと相手にしてもらうことばかりを期待する人がいるが、そういう姿勢では幸せは遠のく。N江さんは、自分がほしいものを自覚して、自分の手で取りに行ける女性だった。
結局、N江さんが66歳のときに入籍し、2人で幸せに暮らしている。「自分で自分を幸せにする」というマインドで、「明るく軽く、真剣に」行動する。それができれば、婚活には「過去」も「年齢」も関係ないのだ。
----------
伊藤 友美(いとう・ともみ)
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー
1970年生まれ、東京在住。約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げない女が選ばれる』(フォレスト出版)。
----------
(アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー 伊藤 友美)