「英会話レッスンにお金を払う」は時代遅れ…スマホで24時間、無料でできる「令和の英語勉強法」
2025年2月21日(金)17時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/west
※本稿は、中林くみこ『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/west
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■英会話を学ぶならChatGPT一択
最適な比率を埋めてみましょう。
家でChatGPTと英会話をする:英会話スクールでネイティブ講師と話す/オンライン会話で話す
答えは、ChatGPTが10で、従来の英会話は0です。
出所=『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)
これって、衝撃の比率かもしれません。特に今、英会話スクールに課金して週通っている、オンライン英会話で毎日話している人にとっては。
「ずいぶん強く言い切ったな」
そう思われる方がいるかもしれません。
しかし極論をいえば、本当にChatGPT英会話と従来の英会話の比率は10対0で問題ありません。問題ないというよりも、むしろ、ChatGPTが優秀すぎて、10対0で学習を進めるべきなんです。
■いつでも、どこでも、「無料」で
次の表を見てください。ChatGPTと従来の英会話を比較しています。
出所=『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)
まずChatGPTは、従来の英会話に比べて断然コスパがいいです。英会話スクールに通ってネイティブにマンツーマンで英語を習おうとすると月4回(1回あたり60分)の授業で、3万円ほどが相場です。オンラインだと相場が下がり、1万5千円から2万円くらいでしょうか。
一方で、ChatGPTの無料版であれば1日1時間ほど英会話ができ、有料版なら無限にできます。
24時間ずっと英語で会話して英語に浸るような環境だって作れるのです(無料版の時間制限は、やり取りの総量によって異なります)。
■日本人特有の「質問しづらい」問題
私が思う「ChatGPT英会話」の最大の利点の1つは、さきほどの図表1でいう「質問」のところです。ChatGPTになら、どんなにちっぽけな質問でも、5回、10回と重ねて質問しても、嫌な顔ひとつせずにすべて答えてくれます。
英会話スクールやオンライン英会話で学んだ経験がある方は、今までこんなことはありませんでしたか。
・分からないところがあっても、遠慮して質問できずに終わってしまう
・勇気を振り絞って質問したものの、講師の回答を100パーセント理解できなかった。でも分かったふりをしてしまう
・質問できたとしても、何度も質問するのは迷惑になるかもしれないので遠慮してしまう
これは、私がこれまでに5000人以上の生徒さんを教えてきて、傾向として日々感じていることです。特に日本人は「繰り返し聞くと、しつこい印象を与えてしまうかな」と心配して、躊躇してしまう方が多いと思います。
「ChatGPT英会話」なら、そんな心配は要りません。
「このthatは関係代名詞? whichに置き換えられる? 関係代名詞を使わずに言うと、どういういい方になる?」などと、根掘り葉掘り聞いたとしても、すべて簡潔に答えてくれるのです。もちろん、ちっぽけでくだらないと思うような質問でもOKです。
■当たりはずれがない高スペック講師
ChatGPTは英語のほか、スペイン語、フランス語などにも対応したマルチリンガルで日本語も話せます。なので、日英バイリンガル講師にだからこそ聞けるHow do you say Otsukaresama in English?(「お疲れ様」は英語でなんと言いますか)といった質問にも対応可能。事前に言語の設定をする必要はなく、ランダムに日本語で話しかければ日本語で、英語で話しかければ英語で返してくれます。
ChatGPTと日本語で話すと、日本語に少し訛りがあるのに気づくはずです。そこが妙にリアルで「日本語が堪能なアメリカ人ネイティブ」と会話をしている気分になるんです。
英会話スクールやオンライン英会話の講師の発音は、国籍や出身、バックグラウンドによって、当然バラツキがあり、アクセントがそれぞれ違います。それに対してChatGPTの発音は標準的なアメリカ英語です。
こうやって考えると、ChatGPTの「講師」は当たり外れがないし、むしろリアルな講師よりもスペックが高いことが分かると思います。
■音声会話に「目」がつき、ますます無敵に
2025年1月の時点で有料ユーザーのみの機能となりますが、2024年12月に新たな機能が発表されて、世間を騒がせました。それが「ビデオ通話」です。要は、音声会話をするなかで、ChatGPTが映像を認識できるようになったわけですね。
人を映して紹介すると覚えてくれますし、モノを映すと「そのモノは何か」を認識してコメントをしてくれたりします。ネイティブの講師や友達とビデオ通話している感覚が可能になり、ますます「人(ヒト)感」がアップしていて驚きです。
また、画面共有も可能になりました。スマホの画面を映しながら、それについて話したりできます。
OpenAI公式の動画では、同僚を1人ひとり紹介したり、コーヒーを淹れるプロセスをリアルタイムで教えてもらったり、ショートメールの画面を共有して、どのように返事をしたら良いか、ということを教えてもらっていました。
■ネイティブの友達とビデオ通話している気分
私が考える、この機能の英語学習への応用を3つ紹介していきます。
①3D辞書として使う
日常生活で「これ英語で何て言うんだろう? でも日本語でも何て言うかわからないし、説明が面倒」というときがありますよね。ChatGPTのビデオ通話を起動して、対象物を映し「これって英語で何て言うの?」と聞くだけ!
②英文が読めるサポーター
英語を読んでいて「この文、全体的に何を言っているかわからないな……」という時、ChatGPTの画面共有機能を立ち上げ、該当部分をハイライトして「ここってどういう意味?」と聞くだけ。
③ネイティブとビデオ通話をしている気分を味わう
「これ買ったんだ! どう思う?」など、まるで友だちとビデオ通話をしているような気分を味わえます。私は試しに、最近買ったアイシャドウを映して「これどう思う?」と聞いてみました。すると、「すごく良いね! ナチュラルでキラキラがちょっと入っているのね」という感じで答えてくれ、読み取り精度の高さに驚かされました。
ChatGPTの音声会話に慣れてきて、「もっと進んでみたいな!」と思ったら、課金してこの機能を使ってもいいかもしれません。お釣りが来るくらいに有効活用できますよ。
■英会話スクールのメリットは一つだけ
ここで質問です。
そもそも、皆さんはなぜ英語を勉強していますか。
目的はさまざまかと思いますが、学習者のほぼ全員が「ネイティブと会話をするとき、自信を持って流暢に話せたら」と思っているのではないでしょうか。
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke
友達や取引先など、講師以外のネイティブを前にした会話を「本番」だとすると、英会話スクールやオンライン英会話で講師と話す会話は「練習試合」と考えてください。
「練習試合」は、実際に異なる人種の方が目の前にいる状況で英語のキャッチボールをする状況に慣れる良い機会になります。そのなかで「自分は、ここは話せるけど、こっちはもう少し話せるようにフレーズを覚えなきゃいけないな」といった課題も見えて、モチベーションになるはずです。
なので、先に「極論を言えば10対0」と言いましたが、0のうちのほんの少しだけ、2、3カ月に1回くらい、ネイティブと話す機会を設けたら刺激にはなるでしょう。逆にいうと、リアルな講師とする英会話のメリットってそこだけだと私は思っています。
リアルな会話だとジェスチャーとか間合いとか、非言語的な要素も学べますが、遠くない未来、生成AIがそういった機能を持つようになるはずです。
■「とりあえずやれば伸びる」は幻想
あと、もう1つ大事なことを。「オンライン会話を毎日30分やっているから、それで伸びるだろう」はあり得ないのでやめたほうがいいです。その30分の時間があるなら、洋書を読んだり海外ドラマを見たりしたほうがアウトプット力もつきます(多聴・多読の効果、やり方は本書の第3章でたっぷりお伝えしています!)。
今ってオンラインが安価で身近なので、「とりあえずやれば伸びる」みたいな風潮ができてしまっていて、それは良くないと思っています。
話を戻しましょう。
「パソコン上でChatGPTにプロンプトを入力して英語の意味や文法を聞いていますが、音声は試したことがないです」
ChatGPTを学習に取り入れている人でも、こういう方がまだまだ多い印象です(プロンプトとは、ChatGPTに与える「指示」を意味します。具体的にChatGPTに与えるためにボックス内に入力する指示内容のことですね)。
これではChatGPTの良さを活かしきれていません。せっかくChatGPTを使うなら、ぜひ音声機能で会話をしてほしいです。
■スマホでできる「ChatGPT英会話」
ここでご自身のスマホを用意してください。ここでは生徒さんがChatGPTと会話した内容をもとに、「ChatGPT英会話」の仕方を紹介しています。皆さんも早速試していきましょう。
①ChatGPTで音声会話を始める準備をする
現在、音声会話に対応しているのはChatGPTのスマホ版アプリ、およびMacPCアプリのみになります。アプリを入手し、アカウントを作成したら、ChatGPTを立ち上げます。
音声会話に切り替えるには、図表3の右下にある音声マークをタッチします。すると、画面中央に大きな黒丸が現れます。そこでHi.と話しかけると黒丸から青い空の画像に変わり、ChatGPTが話し始めます。
出所=『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)
②実際に会話を始める!
中林くみこ『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)
日本語で話しかければ日本語で、英語で話しかければ英語で答えてくれます。生徒さんが「私と英会話をしましょう」と伝えると、「どんなシチュエーションで英会話の練習をしたいですか」と返答が来たので、「趣味について話したい」と伝えます。その後ChatGPTの声が英語に切り替わり、英会話の練習がスタートしました。
音声が速すぎるなら、「ゆっくり話して」と伝えたら、速度を落としてくれます。
③履歴を振り返り、復習。質問も可能
その後、生徒さんには、趣味の「散歩」をテーマに、ChatGPTと1分ほど会話をしてもらいました。
■「質問し放題で、気を使わなくていい」
最後に「今までの会話で、私の英語で間違えていたところを箇条書きにして、解説を日本語でください」と伝えると、フィードバックがもらえます(図表4参照)。
出所=『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)
以上が「ChatGPT英会話」の流れです。皆さんも試せたでしょうか。今回協力してくださった生徒さんに感想を聞いたところ、こんなコメントが返ってきました。
・言葉に詰まったら、Take your time.と声がけしてくれて待ってくれるなど、本当のネイティブの講師と話しているみたいで確かに画期的
・会話のテキストがすべて残るので、自分が失敗したところから学べる
・質問し放題で、気を使わなくていい
・一方で、急に英語で話すとなると、言葉が出なくてAI相手でも焦る。1分間が限界
生徒さんの言う通りで、「ChatGPT英会話」は画期的であるものの、自由英会話となると、初期中級者にとってはハードルが高くなりがちです(オンライン英会話や普通の日本語の会話でも、フリートークって難しいですよね)。
その場合は、与えられた日本文の意味を瞬時に英語で組み立てて、口に出して言う「ChatGPT瞬間英作文」か、シーンに合わせて役になりきって英語で演じる「ChatGPTロールプレイ」から始めてみましょう。
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中林 くみこ(なかばやし・くみこ)
英語講師
カナダのトロントで語学学校を10年経営。カナダで初めて日本人特化のIELTSコースを設立し、これまで5000人以上に指導。IELTS対策をはじめ、TOEIC、英文法、ビジネス英語、翻訳、通訳、英会話などさまざまなコースで教えてきた。オリジナル教材やカリキュラム作りも数多くこなす。延べ50人以上のネイティブ講師やバイリンガル講師へ指導法のトレーニングを行う。東京オリンピックのマニュアル翻訳、日本人アーティストの海外ツアー同行通訳、大型投資案件の金融通訳も行ってきた。著書に『独学で英語を話せるようになった人がやっていること』(リチェンジ)、『スマホで倍速!英語独学ハック 英語が話せるようになる黄金ルール』(Gakken)など。
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(英語講師 中林 くみこ)