首都圏は火葬場不足?石見空港のご利用を…羽田便の利用促進に奇策、28年度に月間56件の利用見込む
2025年3月20日(木)10時10分 読売新聞
石見空港の利用促進案を発表するコンテスト参加者(益田市で)
石見空港(島根県益田市)を発着する東京・羽田便の利用を促進するため、提案者自らがアイデアを実践するコンテストの最終審査が18日、益田市の益田商工会議所で開かれた。最優秀賞は、関東の火葬場不足を補うため、遺族の要望に応じ、県西部などの自治体で火葬をする計画を提案した高津川葬祭社(吉賀町)のプランが選ばれた。(荒木伸幸)
コンテストは、2021年から益田商議所が開催。羽田便の1日2往復運航の定着に向け、行政の助成金頼みから脱却を図り、民間が主体となった地域活性化につながる新たな需要創出を目指している。
募集したプランは、〈1〉空港圏域(県西部、山口県の計7市町)の観光資源の活用〈2〉新たな需要の創出〈3〉3年以上の継続的利用〈4〉空港圏域市町への訪問——の4項目全てを満たすのが条件で、県内外から23件の応募が寄せられた。
書類による一次審査で7件が通過。この日の最終審査では、企業やNPO法人、高校生らが、「地域の歴史をアニメ化して声優を体験できるツアー」「民泊や住宅に短期間暮らしながら田舎暮らしを体験し、将来的に移住・定住を促す」などのプランを発表した。
最優秀賞(賞金40万円)を受賞した高津川葬祭社取締役の有田学さん(48)は「都内では火葬に2〜3週間待たされるケースもある」とした上で、「都市部の困りごとを石見空港を利用することで解決できる」と発表。6月から試験的に実施し、28年度には月間56件の利用を見込んでいるとした。
優秀賞(同20万円)は、市観光協会事務局長を務める高倉大さんが受賞した。訪日外国人観光客らをターゲットに、益田市街や美都、匹見町地区の3コースを設定し、剣道や座禅、茶道などの体験型ツアー案を披露した。
特別賞(同5万円)には、県立益田高校課題探求23班の4人が選ばれた。空港売店の利用客が少ないことから、益田市にゆかりがあるとされる
羽田便の1日2往復の運航は、29年3月24日まで継続することが決まっているが、24年度の利用客数は、空港利用促進協議会が目標に掲げた15万2000人を下回る13万6000人程度になる見込みという。