愛子さまと悠仁さまにこれから生じる決定的な格差とは…専門家断言「愛子天皇待望論がますます過熱するワケ」

2025年4月18日(金)17時15分 プレジデント社

2025年2月23日、天皇陛下の誕生日を祝う一般参賀で手を振られる愛子内親王殿下 - 写真=時事通信フォト

皇位継承問題において、ここ数年のうちに起きることは何か。皇室史に詳しい島田裕巳さんは「悠仁親王が学業に専念する期間は6年以上になるだろう。その間は、公務に積極的に携わることはなく、国民の前に姿を現すことはほとんどなくなるのではないか」という——。

■愛子内親王と悠仁親王のそれぞれの道


このたび拙著『日本人にとって皇室とは何か』が4月25日に刊行されることになった。


そのなかでは、愛子天皇待望論の高まりや、悠仁親王の進路や成年式などホットな出来事についてもふれている。あわせて女帝の歴史や平安時代の後宮のことなど、これまで論じられてこなかった事柄についても述べてみた。



島田裕巳『日本人にとって皇室とは何か』(プレジデント社)

もちろん、安定的な皇位継承や皇族の数の確保など、難しい問題にどう取り組むべきかも論じたが、そうしたことを書くことで改めて気になってくるのが、今後の愛子内親王と悠仁親王のことである。


愛子内親王のほうは学習院大学を卒業し、2024年に日本赤十字社に就職して以降、精力的に公務に取り組み、国民の前に姿を現す機会も増えている。それが、愛子天皇待望論を活性化させることに結びついているのだが、では、悠仁親王の場合はどうなるのだろうか。


今年の9月6日が悠仁親王の19回目の誕生日であり、その日に「成年式」に臨むことになる。成年式は、男性の皇族だけのものだが、これによって、未成年の皇族がいっさい存在しないという異例の事態が生まれることになった。そこに、皇室の危機的な状況が示されているとも言える。


■筑波大学で学業に専念する悠仁親王


悠仁親王が成年皇族になったことで、数々の公務に取り組むことが期待される。だが、悠仁親王は今年の3月に筑波大学附属高等学校を卒業した後、筑波大学生命環境学群生物学類に入学しており、現在は大学生である。


生物学に関心を向けるというのは、昭和天皇以来の伝統である。昭和天皇は、海に住むヒドロゾアと粘菌を研究し、多くの新種も発見している。皇居のなかには、「生物学研究所」が設けられ、そこが研究の拠点になった。それは、現在の上皇にも受け継がれ、長年にわたってハゼ類の分類についての研究を進めてきた。それに関する著作も多い。


こうした関心は、さらにその次男である秋篠宮にも受け継がれ、大学では政治学を専攻したものの、卒業後は、魚類や家禽(かきん)類の研究を行うようになった。上皇と共同で執筆した論文もある。そうした学問分野への関心が、悠仁親王にも自然と湧き上がってきたようだ。皇居が多様な生物種に恵まれていることも、そこに関わっている。


だが、これからの4年間、悠仁親王は筑波の地で学生生活を送ることになる。車で通学するのか、それとも筑波で生活するのか、それが注目されてきたが、学業に専念しなければならない期間が続くことは間違いない。


成年皇族となっても、学生である間は、ほとんど公務に携わることはない。愛子内親王の場合も、活発に公務をこなすようになるのは大学を卒業してからだった。


■成年皇族であっても学生は公務にほぼ携わらない


宮内庁のホームページには、天皇や皇族の過去の活動の様子が紹介されており、愛子内親王の場合、大学に入学した年にどういった活動をしたかがわかるようになっている。


それを追ってみると、2020年4月1日に、天皇皇后とともに東宮御所で人事異動者に拝謁した後は、次の通りである。8月6日と9日には広島と長崎の被爆者に対して黙祷を捧げている。翌21年1月1日には侍従職職員の新年祝賀に臨んでいる。同月17日には阪神淡路大震災の被害者に黙祷を捧げている。天皇誕生日の2月23日には祝賀に臨んでいる。3月11日には、東日本大震災の被害者に黙祷を捧げている。そして、3月31日に人事異動者に拝謁している。


写真=時事通信フォト
2025年2月23日、天皇陛下の誕生日を祝う一般参賀で手を振られる愛子内親王殿下 - 写真=時事通信フォト

いずれも赤坂御所で行われたことである。当時は、コロナ禍ということで、天皇や皇族が一般の国民の前に姿をあらわすことも難しくなっていた。しかし、たとえコロナが流行していなくても、学生である間は、成年皇族であっても公務に携わることはほとんどないのである。


そうなると悠仁親王も、これからの4年間、学生生活に専念し、公務には携わらないことが予想される。


■大学卒業後に予想される大学院進学と海外留学


では、大学卒業後の悠仁親王はどうなるのだろうか。愛子内親王のように、積極的に公務に携わることになるのだろうか。その可能性は低いものと予想される。


なぜなら、学業を続けることになるかもしれないからである。一般の場合もそうだが、文系だと卒業後社会人になることが多いものの、理系だと最低限でも修士課程に進学するのが当たり前になっている。悠仁親王が専攻する生物学であれば、大学院に進学し、最終的には博士課程を終え、博士論文まで提出することになっても不思議ではない。


問題は、大学院の選択である。筑波大学の大学院に進むのではなく、留学し、海外で学ぶことが十分に考えられる。というのも秋篠宮夫妻は、昨年の秋、トルコを公式訪問するに際して記者会見に臨み、そのときに「長男には海外で学ぶ機会を得てほしいと思っている」と語っているからだ。


秋篠宮自身、学習院大学の政治学科を卒業した後、2年間、オックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジ大学院動物学科に留学し、そこで魚類についての分類学を学んでいる。紀子妃になると、自身で留学した経験はないが、父親の留学で、子ども時代に海外の学校で学んでいる。


上皇の場合には、戦後間もない時期ということもあったのかもしれないが、海外留学はしてない。それでも、1953年には、昭和天皇の名代として3月30日から10月12日まで長期の外遊を行っている。


現在の天皇になると、学習院大学を卒業してから、大学院の博士前期課程(修士課程)に進学し、そのまま1983年から85年までイギリスのオックスフォード大学マートン・カレッジに留学している。学習院大学の博士前期課程を修了したのは1988年のことだった。


■皇族でも自由を謳歌できる海外生活


天皇や皇族は学問に携わることがほとんどで、そのために留学している。ただ、そこには、もう一つ理由がある。


これは、皇族についても言えることだが、特に天皇の場合には、その前の皇太子の段階から自由な生活を送るわけにはいかなくなることが関係している。


それについては『日本人にとって皇室とは何か』でもふれたところだが、最近『赤と青のガウン オックスフォード留学記』がベストセラーになり、その存在が俄然注目されている三笠宮家の彬子女王が書いているように、日本にいるあいだは絶えず「側衛官(そくえいかん)」という皇宮護衛官がつく。


海外に留学すると、たとえ皇族であっても違う国のことになるので、日本の側衛官がつくわけにはいかない。したがって、彬子女王はオックスフォード留学中、側衛官なしの自由な生活を送っている。


もっとも、現在の天皇がイギリスに留学している間は、日本から側衛官を送れないため、イギリス政府が2人の警護官を派遣していた。それでも天皇は、『テムズとともに 英国の二年間』という著作のなかで、留学中、日本では得られない自由を謳歌したと書いている。


■学業修了までに10年以上かかる可能性も


秋篠宮夫妻が、悠仁親王の留学に前向きな発言をしたのも、こうしたことがあるからである。現実的に、将来において悠仁親王が天皇に即位する可能性がもっとも高いわけで、そうなると、どうしても窮屈な生活を強いられる。その前に一度、自由な生活を味わっていなければ、一般の国民とあまりにも遊離してしまう。その点で、悠仁親王が大学卒業後に留学することは間違いないであろう。


これまでの例から考えると、留学する期間は2年間の可能性が高い。ただ、彬子女王は博士号を取得しているため、イギリスでの留学期間は2001年9月から10年1月にまで及んだ。8年半もかかっている。


もし、悠仁親王が、彬子女王にならって博士号取得までイギリスに留学するとしたら、学業を終えるまで、これから10年をはるかに超える年月がかかる。たとえ留学を2年で終えたとしても、大学生活と留学とで学業に専念する期間は6年に及ぶ。その間は、公務に積極的に携わることはなく、国民の前に姿を現すことはほとんどないものと見込まれる。


2020年11月30日の悠仁親王殿下(画像=外務省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

■愛子天皇待望論を過熱させる大きな差


そうなると、その6年以上にわたる期間、国民は悠仁親王のことについて知ることはほとんどなくなり、事実上、忘れられた存在になってしまうのではないだろうか。


もちろん、大学生活の一端が伝えられるであろう。卒業し留学ともなれば、そのことは報道されるであろう。


だが、一方で、愛子内親王は、これまで以上に公務にはげみ、一般国民と接する機会もますます増えていく。そこに大きな差が生まれていくことになる。そうなると、愛子天皇待望論はいっそう熱を帯びていくに違いない。


もちろん、別の未来もある。悠仁親王が留学を終えて帰国し、公務に携わる機会が増えていくまでの間に愛子内親王が結婚し、皇室を離れてしまうことも考えられるだろう。たとえ女性宮家の創設が認められるとしても、本人がそれを望まなければ、強制するわけにはいかない。


いったい、これからの数年で皇室にどういったことが起こるのか。拙著でも述べたように、皇室という存在が日本の社会で極めて重要なものであることを踏まえるならば、国民全体、それに注目せざるを得ないのである。


皇室の構成(2024年12月時点)(画像=宮内庁/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

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島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家
放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。
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(宗教学者、作家 島田 裕巳)

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