対米関税交渉、トウモロコシ輸入拡大案を検討…SAFや家畜飼料への活用想定
2025年4月25日(金)5時0分 読売新聞
首相官邸
政府は米国との関税交渉で、米国産トウモロコシの輸入拡大案を示す方向で検討に入った。次世代航空燃料「SAF」や家畜の飼料への活用を想定している。ベッセント財務長官らとの閣僚級協議を担う赤沢経済再生相は30日〜5月2日の日程で訪米し、交渉を本格化させる。
複数の政府関係者が明らかにした。トウモロコシは米国が最大の輸入相手国で、2024年の輸入量は約1150万トン(約4590億円)に上った。飼料用は無関税で、24年では全輸入量の7割以上を占めた。
石破首相は飼料用について、国内の需要状況の調査を関係省庁に極秘に指示した。SAFへの活用に関しては、米国側が輸出拡大に向けた方策として期待感を示しており、それに配慮したい考えだ。
米国は世界最大のトウモロコシ輸出国で、報復関税を掛け合う中国にも輸出してきた。政府は米国にとって対中輸出の割合が大きかった大豆の輸入拡大を検討しており、トウモロコシでも同様に中国向け輸出が減る分の肩代わりを打診する案が出ている。
トウモロコシを巡っては、第1次トランプ政権時代に行われた日米貿易協定の交渉で、トランプ大統領の求めに応じて安倍晋三首相(当時)が米国産の輸入拡大を約束し、自動車の追加関税を回避した経緯がある。
また、石破首相はトランプ氏が自身のSNSで主要な非関税障壁として自動車の安全基準を挙げたことを踏まえ、見直しの余地を模索するように国土交通省に求めた。安全性への影響を考慮しつつ、慎重に検討する方針だ。
政府は25日に全閣僚が出席する総合対策本部の会合を開き、交渉材料を精査する。国内で品不足が続くコメの輸入拡大も有力なカードとなる見込みだ。
政府にとっての最優先課題は自動車への追加関税の見直しだ。赤沢氏はベッセント氏らとの2回目の協議で交渉材料をパッケージとして示し、米側に対応を迫るとみられる。赤沢氏は24日、「それぞれ関心が高いものをテーブルに載せて話し合うことになる」と記者団に語った。