北海道・宗谷管内の風力発電計画に中止を求める

2024年5月14日(火)18時46分 PR TIMES

幻の魚イトウはじめ自然への影響甚大

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/27546/150/27546-150-1aa4bbda9a9c9691c2e38f28f2be5b0f-1280x854.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]幻の魚イトウ(写真提供:国立環境研究所)
● 日本自然保護協会は「(仮称)宗谷管内風力発電事業」について、生物多様性への影響が甚大であり、株式会社ユーラスエナジーホールディングスに事業中止を求めて意見書を提出した
● 計画地は絶滅危惧種である幻の魚イトウの国内最大の産卵地の上流域であるため、事業によるイトウの生息への影響は免れず甚大である
● さらに、国際的に生物多様性保全上重要な地域を含む上、道北で数少ない自然植生が広範囲にみられる国有林であり、事業は撤回すべきである
● また、計画地付近では2023年9月に別事業者による大型風力発電計画が浮上し、絶滅の危機にあるイトウの生息地への影響が広く世間で問題になったにも関わらず、全く同じ場所で大型風力発電が計画される構造的問題がある

公益財団法人日本自然保護協会(理事長:亀山 章)は、自然環境に配慮した立地での再生可能エネルギーの推進を提唱しています。今回、自然環境と生物多様性の保全の観点から、北海道稚内市、宗谷郡猿払村、天塩郡豊富町及び幌延町で計画されている(仮称)宗谷管内風力発電事業(事業者:株式会社ユーラスエナジーホールディングス、最大1,000,000 kW、基数:120~160基)の環境影響評価方法書に関する意見書を提出しました。
世界的にも絶滅の危機にある幻の魚イトウの国内最大の産卵地が計画地内に含まれるなど、国内の風力発電事業計画の中でも、生物多様性上、最大級に問題がある計画です。当協会は本事業を中止すべきと意見しました。
https://what-we-do.nacsj.or.jp/2024/05/20391/
意見書のポイント
1.絶滅危惧種イトウの国内最大の産卵地に甚大な影響を与える本事業は行うべきではない
サケ科イトウ属のイトウは、環境省レッドリスト2020で「絶滅危惧IB類」に、国際的にもIUCNレッドリストで最も絶滅の危険性が高い「深刻な危機(CR)」に指定されている。本事業の計画地東側の猿払川流域は、天塩川と並んで国内最大のイトウの生息河川であり、重要な生息地となっている。これら河川上流域に風力発電施設が建設された場合、下記のとおり、生息と繁殖に清流を必要とするイトウへの甚大な影響が懸念される。
- 上流域の森林伐採で流域の保水力が減退し、河川の流量減少による高水温や酸欠でイトウが死亡する危険性が高まる
- 降雨時に河川への土砂流入・堆積が生じやすくなり、産卵河川での卵や仔魚の死滅、稚魚の餌となる水生昆虫の死滅、産卵や仔魚の生育に必要な環境の悪化が予想される

本事業の実施は、工事中のみならず工事完了後も継続して影響が甚大であり、絶滅に瀕するイトウの国内最大個体群の存続を危うくする恐れが極めて高い。このようなことから本事業は実施すべきではない。
またもや、同じ場所で複数の大型風力発電計画!?

計画地では、2023年9月に別事業者による大型風力発電計画も浮上した。
https://www.nacsj.or.jp/media/2023/09/37630/

今、同じ計画地で複数の事業者が環境影響評価手続きを進めている事案が増えている。これは、風力発電を建設する上で費用対効果のよい立地が少なくなっており、国有林での事業者同士の場所の取り合いが起きている。
風況や送電線への接続など費用対効果の点だけが重視され、事業者が場所を取り合う構図が生じ、生物多様性上の重要地域が常に開発の脅威にさらされている。日本自然保護協会は、自然環境に配慮した立地での再生可能エネルギーの推進を提唱する立場から、今回のような生態系へ甚大な影響を及ぼしうる立地はそもそも不適であり、こうした場所で事業を実施すべきではないと主張する。さらに、こうした構造上の問題を防ぐために、生物多様性保全上の重要地域を避けるよう早急な立地適正化の法整備が求められている。

2.生物多様性保全上の重要な地域が含まれている
当会は、2022年3月に環境影響評価の前段階である配慮書の時点で、本計画に対し、事業撤回を含め事業の見直しを求めて意見書を提出した(https://what-we-do.nacsj.or.jp/2022/03/18009/)。配慮書時点で、国際的な生物多様性保全の鍵になる地域(KBA)に指定された猿払、サロベツ川・天塩川の2か所を外すべきと指摘していたが、今回の方法書では、計画地の約2/3の範囲がKBAのサロベツ川・天塩川と重なっている。本アセス図書は、生物多様性に配慮しているとは到底言えず、そもそも重要な自然環境への影響回避が不可能なのであれば、事業を撤回すべきである。
また、計画地は道北では数少ない自然植生が広範囲にみられる国有林であり、事業の実施により、貴重な自然林が広い範囲で改変されることは避けるべきであり、本事業は実施されるべきではない。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/27546/150/27546-150-2b5141fe5cf67989dd4a65c46697227a-952x1174.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]<参考>公益財団法人 日本自然保護協会について自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。
http://www.nacsj.or.jp/

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