米国債格下げが株式市場に与える影響は?

2025年5月20日(火)9時10分 財経新聞

●ムーディーズが米国債を最上位から格下げ
 米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが16日、米国債の格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。

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 36兆ドルに膨らんでいる債務に対する懸念で、見通しに対しては安定的としている。

 この措置に対し、ホワイトハウスのチャン広報部長は「彼の分析を真に受けるものはいない」と、ムーディーズのエコノミストをSNSで批判した。

 発表されてから、米国債券市場の10年債利回りは4.49%に上昇し、国債先物も反落した。

 トランプ関税で株式市場が混乱した4月には米国債が売られ、金利が上昇した。米国債の格下げにより、再び株式市場は混乱に陥るのか?

●過去の米国債の格下げ
 ムーディーズと共に米国3大格付け会社と言われているS&Pは2011年、フィッチは2023年に、最上位から1段階格下げをしている。ムーディーズの格下げで3大格付け会社が全て最上位から格下げしたことになる。

 2011年は債務上限引き上げがあり、2023年も度重なる債務上限引き上げと、米政府の財政悪化が理由だった。

 いずれもリスクオフの動きで株価は下落した。フィッチが格下げした2023年8月は日本株が2日間で1200円超も下落する場面があった。

●格下げショックになるのか?
 今回の格下げが、トランプ関税による米国経済への打撃と、トランプ大統領が主張する大幅減税による財政悪化への懸念であることは明白である。

 格付け会社はサブプライム問題で、サブプライム関連の住宅ローン担保証券の格付けを引き下げなかったことが問題視され、その結果リーマンショックを引き起こした戦犯扱いされた。

 その後、格付け会社は金融当局の監視下に入り、格付け基準や手法は透明化され、将来の見通しが格付けの判断として重視されている。

 そのためか格下げが増発され、格付け精度が低下しているとの批判も多く、信用度に疑問を持つ声も少なくない。

 過去の国債引き下げも一時的なドル安・株安を引き起こしたが、数週間で戻ることが多かった。

 格下げ後の週明け19日の日経平均は225円安となったが、4月のような大幅下落が起きることは今のところ考えづらいだろう。

財経新聞

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