《投資家一家に戦々恐々》養命酒の筆頭株主になった投資会社の正体とは? 村上世彰氏との関係性を辿ると…

2025年5月22日(木)7時0分 文春オンライン


日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「 丸の内コンフィデンシャル 」。最新号からダイジェストで紹介します。



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村上家に戦々恐々


 あの村上世彰氏の関係者がフジ・メディアHD(金光修社長)の株を大量に買い占めている。700億円近くを投じ、保有割合は約12%にも達する。


 2006年のインサイダー取引事件後、一旦は株の世界から足を洗った村上氏が舞い戻ったのは12年頃。シンガポールを拠点に、レノやシティインデックスイレブンスなど受け皿会社を駆使し、役員総入れ替えなどをちらつかせ、株買い占め先に法外な株主還元を要求。多くの会社が自社株TOBなどに応じ、村上氏は莫大な利益を上げてきた。今や運用資産は3000億円前後にも達する。



村上世彰氏の運用資産は3000億円前後に達する ©文藝春秋


 当初は投資銀行出身の女性幹部らを重用していた村上氏だが、近年は家族経営の色が濃い。現在の右腕は長女の氏だ。慶應大を出て2年ほど外資系証券会社に勤めてから父と合流。同じく慶大を卒業し、ひと頃は買い占め先との交渉に同行していた次女・氏は、3年前からイメージアップ戦略を担う村上財団の代表理事を務めている。


 そんな中で、注目の案件がある。養命酒製造(田中英雄社長)がそれだ。同社は大正製薬HD(上原茂社長)の庇護下にあったが、大正製薬の方針変更に伴い、約24%の株が放出された。買い取ったのは湯沢なる渋谷の会社。80億円近い取得資金の貸し手となった野村幸弘氏は、絢氏の夫である。


 一見、村上氏の投資戦略の一環にも映るが、そうとも言い切れない。関係者によると野村氏は村上氏の要求交渉の際にたびたび現れたこともある。ただ、湯沢は昨秋、村上氏の関係先を連想させる社名・シティインデックスキャピタルから名称を変更し、関係ビルからも転出した。過去に村上氏が、別働隊の存在を隠すなど、回りくどい手法をとった例しはなく、養命酒の件は野村氏によるまったく別の動きの可能性もある。


〈 この続き では、村上世彰氏の長男・貴輝氏の動向を分析しています〉



※本記事の全文(約4800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と、「文藝春秋」2025年6月号に掲載されています( 丸の内コンフィデンシャル )。全文では下記の内容をお読みいただけます。
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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2025年6月号)

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