海外でのSAKE人気が追い風に…原則新規発行されない「日本酒製造免許」、規制緩和を政府検討

2025年5月26日(月)15時0分 読売新聞

「伝統的酒造り」での、蒸した米を台に広げてこうじ菌をふりかける作業を行う職人(2024年10月24日岩手県二戸市の「南部美人」で)

 政府は、日本酒の製造免許の新規発行に関する規制を緩和する検討に入った。新規発行は現在、原則認められていないが、海外での日本酒人気の高まりを背景に、日本の伝統文化である酒造りを担う企業や人材の裾野を広げたい考えだ。

 国内向けの日本酒製造免許の新規発行は、酒税法に基づき、「需給の均衡を維持する必要がある」として、酒蔵の移転などを除いて認められていない。国家戦略特区ワーキンググループで議論に着手し、関係省庁や事業者などから意見を聴取するほか、規制緩和に向けた課題や具体的な制度設計などを検討する。

 政府は2020年の酒税法改正で、輸出向けに限り免許の新規発行を認めた。門戸が閉ざされているのは、酒造会社がブランドや品質の維持を理由に新規参入に慎重なことも影響している。

 日本酒の販売量は下降の一途をたどっている。22年度は、1975年度の4分の1以下となる約40万キロ・リットルに減少した。酒蔵もピーク時の半数以下の1500程度に減った。ただ、海外での需要は増加傾向にあり、昨年12月には日本酒などの「伝統的酒造り」が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、新規参入への追い風になっている。

杜氏とうじらでつくる「日本酒造杜氏組合連合会」の幹部は、「産業発展のため、既存の酒蔵の経営を圧迫しない範囲で認めるべきではないか」と主張する。政府内には、石破内閣が重視する地方創生の目玉として「日本酒特区」を目指す動きもある。

 ビールは94年の酒税法改正で小規模生産が解禁され、各地の「クラフトビール」が人気となった。ワインやどぶろくも小泉内閣時代に始まった構造改革特区制度の活用で地域を限定した新規参入が容易になった。

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