備蓄米に想定超える申し込み殺到、新規受け付け「いったん休止」発表…「先着順」も見直しへ
2025年5月28日(水)0時30分 読売新聞
随意契約での備蓄米の売り渡しについて述べる小泉農相(26日午前、東京都千代田区で)=須藤菜々子撮影
農林水産省は27日、政府備蓄米の随意契約による放出を巡り、大手小売業者からの申し込みが殺到し、同日夜に新規の受け付けをいったん休止すると発表した。約70社から申請があり、放出対象30万トンのうち2022年産米が上限の20万トンを超える見込みになった。残りの21年産米約10万トン分は、中小スーパーや米穀店に対象を絞った上で30日にも随意契約の受け付けを再開する。
27日夜、小泉農相は記者団に対し、「(小売業者から)あまり手が挙がらない想定もしていたが、2日もたたずにこれだけ協力をいただけた」と語った。
当初の随意契約は、コメの年間取扱量が1万トン以上の大手小売業者約50社を想定して26日に開始した。早ければ29日にも小売業者に引き渡しが始まり、6月1週目に店頭に並ぶ可能性がある。27日時点で申請量の9割超が22年産米に集中する一方、21年産米は数%にとどまっていた。
中小の小売業者を対象に新たに実施する21年産米の随意契約は、店頭での販売価格を「5キロ・グラムあたり税抜き1800円程度」とすることを目指す。当初は「同2000円程度」としてきたが、22年産米に比べて需要が少ない21年産米をより割安に設定する。小売業者からの先着順としてきた受け付け方法も見直しを検討する。小泉氏は「大手の小売りと、中小スーパーや街のお米屋さんがカバーできるようにきめ細かく対応する」と強調した。
農水省によると、27日時点でスーパーのイオングループやイトーヨーカ堂、ディスカウント店「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、ドラッグストアのサンドラッグ、ネット通販の楽天グループなどが申請した。
アイリスグループは27日、1万トン分の契約を結んだと発表した。29日にもグループの精米工場に入荷し、6月2日にも自社の通販サイトや仙台市、川崎市、千葉県松戸市の店舗で販売を始める予定という。
このほかLINEヤフーグループが申請したことを発表し、ファミリーマートも読売新聞の取材に対して申請を済ませたと明かした。同社は単身者など向けに1キロ・グラム入りで、税抜き400円で販売する検討を進めている。5キロ・グラムで2000円(税込み2160円)程度という農水省の目標水準を満たす計算だ。
倉庫で玄米の状態で保管されている備蓄米を店頭で売るには、専用の機械で精米作業を行う必要がある。小売業者から一部の精米業者に依頼が殺到し、処理が追いつかない懸念も指摘されている。