【スポーツ栄養】強い体は“食べ方”でつくられる

2025年5月29日(木)11時15分 ココカラネクスト

— スポーツ栄養と「運動直後のゴールデンタイム」 —

「食事が大事なのは分かっているけど、なかなか実践できない」
「好き嫌いが多くて、子どもの栄養が心配」
「練習後はシャワーやスマホばかりで、補食が後回しになっている」

スポーツ栄養というと、「競技別の特別な食事」や「サプリメント」のイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、“毎日の食事が体の材料になっている”という視点です。

今回は、特に重要な「運動後の食事」についても交えながら、スポーツ栄養の基本をご紹介します。

【“体を作る”とはどういうこと?】

筋肉、骨、血液、ホルモン、免疫細胞…すべては食べたもので作られます。
どれだけ練習を頑張っても、材料が足りなければ体は作られません。

・たんぱく質が足りなければ筋肉は回復せず
・鉄やビタミンが不足すれば酸素を運べずにバテやすくなり
・カルシウムやマグネシウムが不足すれば疲労骨折のリスクが高まる

食べ方=競技力の土台です。

【特に注意したい“小児アスリート”の栄養不足】

成長期は「体を大きくする」ための栄養が必要なうえに、「運動で消費する分」も必要になります。
つまり、動く子どもには“ダブルの栄養”が必要なのです。

しかし実際には——

・朝食が不十分、または欠食
・炭水化物に偏り、たんぱく質が少ない
・ジュースやスナックで満腹になってしまう
・食が細く、3食で必要量を摂れていない

こうした背景から、成長やパフォーマンスが伸び悩むケースが少なくありません。

【練習後は“シャワーより補食”が優先!】

練習や試合の直後は、**筋肉や体にとって“栄養のゴールデンタイム”**です。

・筋肉が栄養を取り込みやすくなっている
・エネルギー補給のタイミングを逃すと、筋肉が分解されてしまう
・免疫力や回復力にも大きく影響

そのため、運動終了後30分以内に、炭水化物+たんぱく質を摂ることが最重要です。

■ おすすめ補食例:
・おにぎり+牛乳
・バナナ+ヨーグルト
・プロテイン+果汁100%ジュース
・サンドイッチ+チーズ

※特に夕方練習の後は、補食→夕食の“2段階食事”を基本とするとよいでしょう。

【毎日の食事の基本バランス】

成長期・スポーツ期の食事では、1回の食事で以下のバランスを意識します:

・主食(ごはん・パン・麺など):エネルギー源
・主菜(肉・魚・卵・大豆製品など):たんぱく質と鉄分
・副菜(野菜・海藻・きのこなど):ビタミン・ミネラル
・汁物・果物・乳製品:水分補給と栄養補助

偏った食事では、練習量に比例した効果は得られません。

【まとめ】

スポーツ栄養とは、「特別なことをする」ことではなく、“あたりまえの食事を、続ける力”を育てることです。
知っていても、実際にできるようになるにはサポートが必要です。

練習量はあるのに伸び悩む、疲労感が抜けない、成長が気になる——
そんな時は、一度「食事の見直し」から始めてみましょう。

[文:池尻大橋せらクリニック院長 世良 泰]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

池尻大橋せらクリニック院長・世良 泰(せら やすし)

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人スポーツチームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。

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