山口県室津で新たな「サステナブル漁業プロジェクト」発足 「定置網自主的資源管理×藻場保全」で未来を拓け

2025年5月29日(木)12時17分 PR TIMES

「ウミとヒトのポジティブな関係をつくる」をパーパスに海のネイチャーポジティブを推進する株式会社UMITO Partners(本社:東京都中央区、代表取締役:村上春二)と山口県漁業協同組合室津支店定置網部会(所在地:山口県上関町)は、2025年5月20日、小型定置網漁業における自主的資源管理と藻場保全を通じて持続可能な漁業の実現を目指す「山口県室津定置サステナブル漁業プロジェクト(注1)〜漁師の魂プロジェクト〜」を立ち上げました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104554/35/104554-35-4aceca269ae197e9e6609a4ed130953a-2000x1333.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]定置網を揚げる漁業者たち

■プロジェクト発足の背景と狙い
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104554/35/104554-35-9977f68d68f908ce17c58e0df6dea919-1244x433.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]左:室津地区の漁場 右:海の中の様子
山口県上関町は、瀬戸内海に面した温暖な気候と複雑な海岸線を活かした好漁場に恵まれ、古くから漁業が盛んな地域です。中でも室津地区は、多様な海藻・海草が確認されており、定置網周辺にはアマモが分布するなど、貴重な自然環境が比較的良好な状態で保たれた地域です。

その一方で近年、全国的に漁業を取り巻く環境は厳しさを増しており、海洋環境の変化や藻場の衰退・消失に伴う水産資源への影響、後継者不足や漁業者の高齢化といった課題が各地で深刻化しています。これまで豊かな自然環境に恵まれていた室津地区も例外ではなく、正組合員数も過去10年で48人から25人まで減少、さらにコロナ禍で休業していた定置網漁業は2024年の再開時に漁業者が15人から6人まで減少し、地域社会・経済・文化的にも大きな問題となっています。また、近年アマモ等を餌とするアイゴが過去と比較すると定置網に多く掛かるようになるなど、生態系の変化が忍び寄るようになりました。

こうした中、強い危機感を抱いた定置網部会の漁業者たちは、UMITO Partnersという新たなパートナーを得たことで、失われつつある海の豊かさを守る、新たな取り組みをスタートしました。

UMITO Partnersは2024年春より定置網部会と対話を重ね、課題を整理。室津の定置網漁業にとって重要な6魚種(イシダイ・マダイ・ヒラメ・クロダイ・コショウダイ・スズキ)を対象とした自主的な資源管理と、健全な生態系を支える藻場の保全に取り組むことで漁業の持続性を実現し、ブランディングによる収益性向上までを一体で捉えたプロジェクト設計を行いました。そのほか、専門家とのネットワークづくり、行政・関係者との合意形成などを通じて、地域の持続可能な漁業モデルの立ち上げを支援しています。

■プロジェクトの活動内容
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104554/35/104554-35-b788c6b817fbfc7119635db208f2efb3-1163x493.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]左:自主的に定めた基準より小さい魚を放流する漁業者 右:サイズ計測の方法も部会員が考案
本プロジェクトでは、以下を中心に取り組みを行います。
- 小型定置網漁業において自主的に放流サイズを大きく設け、小さな魚を獲らない管理を行う
- 漁業者自らが漁獲データを収集
- 県と連携し、魚が海にどの程度いるのか把握する資源評価を実施
- 資源評価の結果に基づいた自主的資源管理の継続的な見直し
- 植食魚(アイゴなど)を定置網で漁獲することでアマモ等への食害を抑制
- ブランド化を視野に入れた魚価の価値向上と販路拡大
- 道の駅「上関海峡」にて親子を対象に小さな魚を放流する資源管理の体験と定置網で獲れた新鮮な魚の販売イベントを定期的に開催(次回:2025年6月7日予定)
- 本プロジェクトに共感くださる飲食店との共同PRイベントの開催

本プロジェクトの特徴は、「漁業者による自主的な資源管理」と「藻場保全の取り組み」を一体として推進し「環境回復型漁業」を目指す点にあります。特に、漁業者が自ら漁獲データを収集・分析し、県と連携して科学的な資源評価をもとに放流サイズや漁獲方法を見直す地域自走型の体制は本来あるべき姿の共創プロジェクトです。

こうした取り組みを行うには浜の仲間意識や協力体制が不可欠です。議論を通じて、資源の持続性と生態系の健全性の重要性が再認識され、活動を通じてかつて活気に満ちた浜が取り戻されていくことが期待されています。

■今後の展望
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104554/35/104554-35-8653b05ab6c325df8e3c16f4fc70f738-2000x1333.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]道の駅「上関海峡」にてイベントを開催する定置網部会の上田健悟さん(左)と小濱一也さん(右)
今後、定置網部会は、「環境回復型漁業」の実現に向けて、活動計画に基づく取り組みを推進するとともに、ブランディングによる魚価の向上と漁業者の収入向上を目指します。

UMITO Partnersは、室津の小型定置網漁業で漁獲された魚を「UMITO SEAFOOD(注2)」として位置付け、販路として東京都内に約30店舗ほどあるUMITO SEAFOODの取扱店舗(飲食店やホテルなど)に積極的に繋げ、さらにPRイベント開催の支援を行うことで、海洋環境のサステナビリティだけではなく、漁業の持続性を実現する新たな収益モデルの構築を後押しします。

また、UMITO Partnersでは、海の豊かさに関心のある漁業者を支援するコミュニティ・プラットフォーム「UMITOBA(ウミトバ)(注3)」にて、本件のような先行事例を、同様の課題を抱える全国の漁業現場に伝えることで、漁業者がネイチャーポジティブを目指しながら収益向上を実現するモデルとして広めていきたいと考えています。

■メッセージ
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104554/35/104554-35-8a65a5616222f5fb9343c5ae3ec0447e-1000x1000.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]「海の変化に直面し、その危機を最も強く感じているのは、現場の漁業者です。UMITOは、これまで培ってきた専門知識とネットワークを活かし、海の豊かさを守りたいと願う漁業者の想いに、科学やビジネスそしてクリエイティブの力を掛け合わせ、ネイチャーポジティブを目指しサステナブルな漁業モデルの創出を支えます。サステナブルな漁業の実現のため、漁場の保全に取り組む漁業者が、社会に認知され、応援される、そんな循環が当たり前になる未来に向けて、これからも、現場と共に一歩ずつ歩んでまいります。」
— 株式会社UMITO Partners 代表取締役 村上春二



[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104554/35/104554-35-6bbccc4b3ebb3569ede979b2df6ecf12-1000x1000.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]「資源も人も減る中で、今まで通りの漁ではもう続けていけないという危機感があります。だからこそ海を守りながら漁をする必要性がわかります。昔は漁業の邪魔者扱いしていた海藻・海草には、海の生き物の命を育む大切な役割があることも学びました。室津では定置網部会員が全員で協力して網を管理し、活気のある操業をしています。浜全体にもこうした昔のような活気を取り戻すためにも、仲間と一緒に、一歩ずつでも前に進みたいと思っています。」
— 山口県漁業協同組合 室津支店 定置網部会 代表 小濱一也




山口県漁業協同組合 室津支店 定置網部会について

■組織名:山口県漁業協同組合 室津支店 定置網部会
■URL : (室津支店)https://www.jf-ymg.or.jp/about/store.html
■所在地:(室津支店)熊毛郡上関町大字室津1781番地の2
■発足: 2014年
■代表者:小濱一也


UMITO Partners(ウミトパートナーズ) について

「ウミとヒトが豊かな社会の実現」をビジョンに掲げ、海の回復力を高めるべく、持続可能(サステナブル)な漁業・養殖業への転換と海のネイチャーポジティブを推進する海洋コンサルティング事業等を実施。2023年4月には、国内水産業界で初めて社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対するアメリカ発の国際的な認証制度「B Corp認証」を取得。

■会社名:株式会社 UMITO Partners
■URL:https://umitopartners.com/
■所在地:東京都中央区日本橋小舟町14-7
■代表取締役:村上春二
■設立:2021年6月1日

■事業内容:
海洋領域におけるシステムチェンジ / 漁業・養殖業の改善・認証支援/ 海洋生態系と生物多様性の保全 / ブルーファイナンス支援 / 気候変動対策支援 / 再生可能エネルギー関連支援 / サステナブルシーフードの企画・流通支援 / 水産・海洋テックの導入と実証支援

■漁業・養殖業コンサルティング支援実績:
MSC漁業認証取得支援:中西部太平洋カツオ・キハダマグロのまき網漁業 / 岡山県瀬戸内市邑久町垂下式カキ漁
ASC認証取得支援:熊本県天草市マダイ漁業(AIPからの移行) / 宮城県女川町ギンザケ漁業(AIPからの移行)
サステナブル漁業プロジェクト: 焼尻UNI-MOBAサステナブル漁業プロジェクト / 北海道苫前町ミズダコ樽流し漁業(FIP) / 広島県倉橋島垂下式カキ漁業(FIP) / 北海道マイワシサステナブル漁業(FIP) / 宮城県気仙沼ヨシキリザメ・メカジキはえ縄漁業(FIP) / 千葉県船橋市東京湾スズキまき網漁業(FIP) / 和歌山県那智勝浦町ビンチョウマグロはえ縄漁業改善プロジェクト(FIP) / 熊本県天草市マダイ漁業(AIP) / 宮城県女川町ギンザケ漁業(AIP)

(注1)サステナブル漁業プロジェクト:
持続可能な漁業・養殖業を実現するための改善活動。資源管理や環境保全、社会的配慮などに取り組むプロジェクトであり、国際的にはFIP(Fishery Improvement Project)やAIP(Aquaculture Improvement Project)などがグローバル市場における調達基準として注目を集めている。

(注2)UMITO SEAFOOD:
UMITO Partnersが飲食店や消費者向けに紹介する、サステナブルな漁業を目指す漁業者を応援するシーフードブランド。水産物とそのストーリーを届けることで、消費者が海へのポジティブな影響をつくり出す機会を創出し、サステナブルな漁業への共感の輪と持続可能な漁業を実践する仲間を広げている。

(注3)UMITOBA:
UMITO Partnersが運営する、海の豊かさに関心のある漁業者や漁協職員を対象としたコミュニティ・プラットフォーム(参加費無料)。▶︎詳細:https://umitopartners.com/2024/11/umitoba/

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