AI自動運転で自動車大手が連携、先行する米中勢への巻き返し図る…安全性重視で慎重だった日本勢
2025年5月29日(木)6時55分 読売新聞
国内の自動車大手が、生成AI(人工知能)を活用した自動運転の分野で連携に乗り出すことがわかった。AI基盤の開発や走行時のデータ収集での協力などを想定している。政府も資金支援などで連携を後押しし、官民一体で先行する米中勢への巻き返しを図る。
経済産業省と国土交通省が29日に開催する検討会で戦略案を示す。トヨタ自動車やホンダ、日産自動車などの国内大手は、夏までに協調領域を定める見通し。
自動車大手や政府が国内勢の連携を進めるのは、生成AIの登場で自動運転の技術開発に変革が起きているためだ。
国内勢が開発してきた「従来型」の自動運転は、事前に学習した地図情報や運転ルールに基づきハンドル操作などを行う。様々な状況を学習させる手間がかかる上、想定外の状況には柔軟に対応できない。高精度な3次元地図のほか、高価なセンサー類を多数搭載する必要もあった。
一方、「生成AI型」の自動運転は、人間の目の役割を果たす車載カメラの映像をもとに、AIが周囲の状況を把握して不測の事態でも自律的に判断する。センサー類がなくても、カメラがあれば実現可能な場合もあり、従来型より安価に開発できる利点がある。
生成AI型を導入した米テスラの車両は精度の高い自動運転を実現し、中国勢もAI型の開発を加速させている。安全性を重視する日本勢はこれまで、開発に慎重だった。
だが、今後はAI型が主流になることが見込まれており、政府はAI基盤の構築やデータ収集で国内勢の連携を促し、資金面の支援を行う。戦略案では、2030年をメドに新たな安全基準や認証制度を整備することも明記する方針だ。