青木さやか「ゲッターズ飯田くんによると、生まれた時から65歳の娘。14歳の誕生日おめでとう!新鮮な毎日をありがとう」
2024年3月11日(月)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供◎青木さん 以下すべて)
青木さやかさんの連載「50歳、おんな、今日のところは『……』として」——。青木さんが、50歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、初めてがんに罹患していたことを明かしたエッセイ「突然のがん告知。1人で受け止めた私が、入院前に片づけた6つのこと」が話題になりました。
今回は「仲が良い(?)娘がいる母として」です。
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連載「青木さやか「休みの日は、ベッドでお菓子とNetflix三昧。『私たちのブルース』という韓流ドラマにハマってラーメンを鍋から…」はこちら
14歳の娘のこと
娘の誕生日がきた。来年度は中学3年生で、会話する度に知らない言葉が増えてきて、もはやわたしのほうが教えてもらうことが多いような気がする。年長者として何か教えたいと思うけど、その意思を持って話しかけるとウザすぎるという空気になる。14歳の娘は頼もしいし、おそろしい。
娘とわたしは仲が良い(ような気がする)今でも時折同じベッドで眠り、休みの日はスーパー銭湯に行って娘の好きな露天の寝湯を並んで楽しんでいる。
娘は幼い時から、渋いものが好きで甘いものよりサキイカ、チータラ。おばさんやおばあさんと仲が良く50代60代の友だちがいて、わたしがいなくても2人で会ったりして盛り上がっている。96歳になる祖母とも仲が良く、祖母は「さやちゃんより優しいわ、この子は」と言う。わたしは「比べない方がいいですよ、人と人を」と返すが、耳が遠くて聞こえていない。
ある時、ゲッターズ飯田くんに娘が占ってもらう機会があり「生まれた時から65歳ですね」と言われていて、なるほど、だから還暦過ぎた人たちと話が合うのか、と非常に腑に落ちた。ちなみにわたしは「生まれた時から高校生」らしく、やはり。わたしは寝湯より炭酸泉が好きだ。
中学2年生が集まってディベート
そんな娘だが、誕生日には同級生の友人たちが遊びにきて祝ってくれた。わたしの帰宅前に彼らはうちに到着したので、帰路に着く前に娘に電話した。
「みんな来ましたか?」
「来たよ」
「カレー作ってありますから」
「あー、ね。みんな食べてきたからいらない」
「お腹すいたら食べたらいい、すくから」
「おっけー」
「すくから、すぐにお腹は。ごはんは炊いてない、パンで」
「おっけー」
本連載から生まれた青木さんの著書『母』
「ルーが少なくて、スープカレーになったけど味はいい」
「もう電話切っていい?」
「はい、今なにしてるの?みんなで」
「ディベート」
「...ディベート」
「ばいばい」
「はい」
中学2年生が集まってディベートをするのか。一体何について。
ラップバトル、50歳の主張
帰宅すると、友人たち手作りのケーキを食べながらたのしんでいた。中学2年生がケーキを作れるのか。
1人が大喜利をやろうと言い出し、それならば、と誘われてはいないが、わたしも参戦した。しかし、わたしが話すたびに、「え、、」という空気になり、「面白いですよ、お母さん!」と、気をつかわれているのかバカにされているのか。そのあと、ラップバトルをするとこになりそれならば、とわたしも参戦した。韻は踏んではいないが、大きな声で主張するのは得意だ。自分で言うのもなんだが盛り上がった。
「すごいね、ママ。50歳の主張じゃん」
と、娘が褒めて、わたしは娘と友だちとだいぶ打ち解けた気がした。
大喜利からのラップバトルという1日は娘がいたから味わえた経験だ。
誕生日おめでとう。
新鮮な毎日を、ありがとう。
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