高畑充希&清水美依紗 大ファンのシンシア&アリアナの吹替は「本当に難しかった」

2025年3月14日(金)7時0分 クランクイン!

映画『ウィキッド ふたりの魔女』が現在公開中だ。全世界で6500万人以上の観客を魅了し、舞台で最も愛される傑作の1つとして、今なお記録を更新し続けている『ウィキッド』を圧倒的な世界観と驚異の映像美で映画化した本作は、第97回アカデミー賞で衣装デザイン賞と美術賞を獲得。誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバ(後の“悪い魔女”)を演じるのは、実力派俳優シンシア・エリヴォ。そして誰よりも愛され特別であることを望む、みんなの人気者グリンダ(後の“善い魔女”)役を、唯一無二の歌声で魅了するアリアナ・グランデが務める。そんな二人の日本語吹替版キャストを務めるのは、高畑充希(エルファバ役)と清水美依紗(グリンダ役)。二人は『ウィキッド』だけでなく、高畑はシンシア、清水はアリアナの大ファンということで、今回は二人の作品愛とともに、吹替への思いを聞いた。

■舞台『ウィキッド』への愛を語る



——お二人とも歌と舞台とともにキャリアを歩まれてきた俳優さんですが、もともと『ウィキッド』へはどういった印象をお持ちでしたか?



高畑充希(以下、高畑):劇団四季さんの舞台も、ニューヨークのブロードウェイでの『ウィキッド』も拝見し、曲もずっと聴いていて、エルファバの楽曲も大好きなものばかりでしたが、まさか映画化するとは思ってもいませんでした。しかも、わたしが大好きなシンシアがエルファバ役で、アリアナがグリンダ役だなんて、衝撃すぎて…! 「いつ日本で見られるんだろう?」とお客さん目線で本作の情報を割と序盤から追っていたのですが、日本語吹替版キャストのオーディションを受けるチャンスをいただけて、こちらも予想外でした。

清水美依紗(以下、清水):ニューヨークに留学するまでは作品を見たことがなかったのですが、楽曲が有名だったので『ウィキッド』の存在自体は知っていました。初めてニューヨークで観劇した時は、「なんて心温まるストーリーなんだ」とすごく感銘を受けた記憶があります。音楽の力を感じさせる作品で、知っていた楽曲がたくさん流れてきたので、あの楽曲はこういう心情でこのキャラクターのことを歌っていたんだと、いろいろとつながりました。それが映画化されるのは本当にビッグニュースでした。

——清水さんが2020年に「ディファイング・グラヴィティ」を歌う動画を投稿していたのが、今でも記憶に残っています。



清水:してました! 恥ずかしいです(笑)。

高畑:わたしも見ていました! あの動画がとても良かったので、清水さんがグリンダ役のオーディションを受けたのが実は意外でした。

清水:やっぱり自分にない性格を持ったキャラクターにすごく憧れる傾向があるのと、自分が知らない自分の声を発見してみたいという思いもあり、今回グリンダ役を受けさせていただきました。もちろん大好きなアリアナが演じるのも理由の1つだったのですが…(笑)。

——お二人とも大好きな人の吹替がかなったわけですが、吹替というと、モノマネになりすぎずに、かつ世界観に溶け込まなければいけない役作りが必要になるのではと推測します。



■収録の出来は「完全に満足は一生できないかも」

高畑:収録は本当に難しかったです。シンシアとわたしとでは骨格が違うので、やっぱり出る声も異なるんです。ただ、もともとシンシアへのリスペクトがすごくあったので、最初から似せることを意識していないというか、似せられるわけがないと思っていて…。どんな風にお芝居しようかなと悩んだ部分もあったのですが、お芝居の部分と歌の部分のそれぞれに監督さんがついてくださったので、相談しながら収録を進めていきました。「セリフを言う時は、シンシアに似せようとしないで、高畑さんにとってのエルファバで演じてみてください」とおっしゃっていただけたので、“すごく頭が良くて強く、繊細”というエルファバの魅力と向き合って、お芝居ができました。歌の部分は、リップシンクやフェイクの位置を厳密に合わせていく感じだったので、声を似せるというよりかは、ニュアンスや呼吸を参考にさせていただきました。

清水:グリンダは、自分が信じたものを、ぽんぽんぽんぽんと口に出して言っちゃうような、ちょっと軽いところがあるんですけど、憎めなくて、すごく愛らしいキャラクターなんです。でも、悪気がないことを分かった上で演じてしまうと、皮肉を含んだニュアンスで聞こえてしまうんですよね。「上から目線になっているよ」とフィードバックをいただいたこともありました。なので上からではなく、説得するように「大丈夫よ、あなたはこうだもんね」という風にお芝居をしてほしいと言われた時は、すごく新鮮でした。わたしの中のグリンダのイメージがちょっと変わった瞬間でもあって。これまでにも、いろんな方がさまざまなグリンダを舞台でも演じられているのですが、今回の映画のグリンダはすごく優しくて、だけど少し配慮が足りないところもあって…。そんなグリンダを演じられたのは、難しかったけど楽しかったです。

——ご自身の中での評価はいかがでしょうか? 満足のいく仕上がりでしたか?



高畑:時間があれば、もっともっと上を目指したいと思った収録でした。最後まで収録してから、もう一度最初に戻ってもらったこともあって。

清水:分かります…!

高畑:普段から声優さんのお仕事をしているわけではないので、この音はこんな風に聞こえるんだとスキル面での発見ばかりの吹替でした。多分完全に満足は一生できないかもしれません…(笑)。その時のできる限りを一生懸命にやってみました。

——試行錯誤を繰り返した収録だったんですね。予告編だけでも胸躍ったので、個人的にはパート2となる『ウィキッド:フォー・グッド(原題)』の吹替も今から楽しみです。さて、『ウィキッド』といえば、やはり音楽が大きな魅力です。歌と生きるお二人にとって、本作の音楽に、どんな思いがありますか?



清水:すごく迫力があって、それぞれの曲にそれぞれのキャラクターの心の動きが繊細に表れているのが魅力だと感じています。サウンドトラックを聴いていただくと分かるのですが、1曲目の「ノー・ワン・モーンズ・ザ・ウィキッド」のイントロの時点で、わたしは泣きました(笑)。会見の時も、ずっと泣きそうになりながらしゃべっていました。それくらいこの作品の音楽の力ってすさまじいものだなと思います。

——サウンドトラック、手放せないですよね。高畑さんには大きな見せ場の「ディファイング・グラヴィティ」についてもお伺いしたいです。



高畑:「ディファイング・グラヴィティ」は、歌っているだけで、なんだか飛べているんじゃないかって思わせる力があると思うんです。セリフだけで「わたし飛んでる!」「何者にも邪魔させない」って言うよりも、メロディーとオーケストラがあることで、本当に飛ばせてもらっているという感じがします。ただ話すよりも圧倒的に感動を引き上げてくれるパワーがあるので、頭の中ではほうきに乗って飛んでいました(笑)。映像もすごかったですし、「ディファイング・グラヴィティ」ももちろんなのですが、クライマックスに向けての音楽の畳み掛けもすごくて。目からも音からも圧倒されて、最後には放心状態になってしまうくらい素晴らしい作品なので、ぜひ劇場で浴びていただければと思います。

(取材・文:阿部桜子 写真:高野広美)

 映画『ウィキッド ふたりの魔女』は全国公開中。

クランクイン!

「高畑充希」をもっと詳しく

「高畑充希」のニュース

「高畑充希」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ