「ぽたぽた焼」のおばあちゃんがヨシタケシンスケさんに!玉ねぎからNFTまで、おばあちゃんの知識の振り幅が大きすぎて戸惑う
2024年3月20日(水)12時0分 婦人公論.jp
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第69回は「ぽたぽた焼とヨシタケシンスケワールド」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
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前回「「粧す」は何て読む?宝塚の男役になるスイッチは、まつ毛やもみ上げ…恥ずかしがり屋の私にとって、舞台化粧は武装であり仮面」はこちら
パッケージが変わった
スーパーでふと目にした「ぽたぽた焼」。
あれ??
小さい頃から見慣れていたぽたぽた焼のパッケージに、見慣れないおばあちゃんが。
白い割烹着姿のお馴染みのおばあちゃんのイラストが変わっていました。
そういえば、ずいぶん前にパッケージが変わったことがニュースになっていました。
実際にお目にかかったのは初めてで、ぽたぽた焼の前でしばし足を止めました。
新しいおばあちゃんは、人気絵本作家ヨシタケシンスケさんのイラストです。
ヨシタケシンスケさんが大好きな私は、これはこれでかわいいと思うのですが、前のあのおばあちゃんに会えないと思うとちょっと寂しい気もします。
アクティブで多趣味
孫のために火鉢でぽたぽた焼を焼く穏やかな慣れ親しんだおばあちゃん。
その横には気持ちよさそうにネコが寝ています。
ネコの名前は「タマ」か「みーちゃん」でしょう。
割烹着姿のおばあちゃんは、昭和のおばあちゃん像です。
リニューアルしたおばあちゃんは、目線を上げて「ぽたぽたしちゃう?」と語りかけています。
展覧会の会場入り口。入る前にTシャツを購入。
アクティブで多趣味そうなおばあちゃん。
おせんべいを焼きながら「おばあちゃんが若かった頃は〜」と孫に武勇伝の1つや2つ語ってそうです。
さりげなく攻めている
ぽたぽた焼はいつもさりげなく攻めています。
ぽたぽたメイプル、ぽたぽた焼ミルクキャラメル味、はちみつバター味、塩キャラメル風味など、番外編で時代に合わせて変化させたものを出しています。
ヨシタケシンスケさんのイラストに惹かれ、久しぶりに買ったぽたぽた焼。
これ、なーんだ? 答えは「ブランコ」です。
何より攻めていたのは個包装の袋の裏のおばあちゃんの知恵袋でした。
世で噂になっているNFTは、Non-Fungible Tokenの略で、非代替性トークンという意味だよ。
代わりがきかないもののことをいうんだね。
発売当初から育んできた“秘伝のさとうじょうゆ蜜”には、どのくらいの価値があるのかなぁ。
おばあちゃん…
知識の振り幅が大きすぎて戸惑います。
さっき食べた袋は、玉ねぎのみじん切りで涙が出る時の知恵袋だったのに…。
アップデートが必要な時代に、新しいものに追いついていけない私。
時代に沿いすぎるおばあちゃんと、40年目ではなく38年目に思い切ったリニューアルした亀田製菓さんの攻めの姿勢に感心しながら、久しぶりに食べたぽたぽた焼は、昔と変わらない味でした。
展覧会
昨年、仕事で新潟に行った時に偶然やっていたヨシタケシンスケさんの展覧会。
急いで予定を調整し、万代島美術館の「ヨシタケシンスケ展かもしれない」に出かけました。
楽しいことを考える練習をしようと思います。
入る前から大興奮した私は、入口の売店で早速Tシャツを購入。
30分程迷いに迷って買った白いTシャツに着替えていざ会場へ。
会場に来ていた子どもに交じって、間違いなく1番浮かれた大人でした。
大人にこそ
ヨシタケシンスケさんの絵本に出会ったのはいつだったのか、絵のタッチがとても好きで、本屋に行くたびに手に取るようになりました。
ゆるくてかわいい絵に、くすっとなったり、あるある!となったり、はぁーっとなったり、何か心にストンと落ちてきます。
忘れていた感情や、こんなものの見方や考え方があるんだという驚きや発見、心に深く響き大切なことに気付かせてくれる不思議な魅力があります。
大人にこそ読んでほしい絵本です。
未来は最高に明るい
会場には、壁一面にどーんと並べられた2000枚のスケッチや原画の他にも、ジェスチャーゲームをして遊べる展示や、つまらない顔をして写真が撮影できる顔出しパネルなどもあり、大人も子どもも楽しませてくれる展示がたくさんありました。
「越乃リュウさんですよね?」と何度か声を掛けられましたが、それでも全力で遊ぶ大人。
宝塚にいたときから舞台も遊びも何事も全力です。
ヨシタケシンスケワールドを堪能し尽くし、会場を出ると、楽しい世界が広がっているような気分になりました。
もっとおもしろがって生きてみよう。
私の未来は最高に明るい、かもしれない。