特殊能力のために政府から抑圧され…寛一郎&三浦透子、SF作品とリンクした現代社会の問題「遠い世界の話だと思ってはいけない」

2025年3月21日(金)6時0分 マイナビニュース


●微々たる特殊能力しかない2人の手が触れると…
フジテレビと米・スカイバウンドエンターテインメント社による共同制作ドラマ『HEART ATTACK』(FODで全8話一挙配信中)。近未来の日本を舞台に、政府が人権を否定するほどの特殊能力を持つ“ヴァリアント”と呼ばれる人々が抑圧、権力と闘い、運命的な愛情をスリリングな展開と刺激的な映像演出で描いていく。
寛一郎が演じる主人公・ウミン(21歳)は、ヴァリアントだが、VCUのスパイとして活動。もう1人の主人公・三浦透子演じるエマ(23歳)は、インフルエンサーユニット“L”のメンバーとしてヴァリアントに自由と権利を求め動画を配信している。2人は共に少し物が動かせる、手が温かくなるといった微々たる特殊能力しかないが、あるチャリティーイベントで出会い、偶然2人の手が触れると……。
そんな不思議な世界を演じた2人に、撮影の舞台裏などを聞いた——。
○「笑うんだね」「もっと気難しい人だと思ってた」を言われる2人
——おふたりは初共演ですが、お互いの印象はいかがですか?
三浦:寛一郎さんは、誰がいても、どこにいても変わらないのが私がすごく好きなところです。ブレないし、緊張しそうな場面でも寛一郎さんがいると気持ちがほぐれます。
寛一郎:内心はすごい緊張してるんだけど、そう言ってもらえるとうれしいですね。同じ年なので、普段は年齢なんてあまり気にしてないんですけど「タメなんだ!」と思うと、不思議と安心感がありました。
 透子さんは作品を通してずっと見ていた人なので、役柄の印象が強かったんです。もっとズーンとしてるというか(笑)、閉鎖的でおとなしい人だと思っていました。でも、実はすごくしゃべってくれるし、誰とでもフラットに接することができるメンタルと教養がある方だと思いました。
三浦:役柄のイメージのせいか、初対面では「笑うんだね」と言われることがあります。私も寛一郎さんと実際に話して、想像よりも気さくな人だと思いました。
寛一郎:僕も初対面の方には、「もっと気難しい人だと思ってた」と言われることが多いかな。でも僕もそうだけど、透子さんも本当にズーンとしてた時期があったでしょ?
三浦:10代の頃は、自分の思ってることを伝えられる言葉が上手に選べなくて、「もうしゃべるのはやめとこう」と思ってた時期があったかな。
——この作品の出演が決まったときはどう思いましたか?
寛一郎:日本のドラマがSFをやる時代がついに来たかと。原作はアメコミなので不安が半分ありましたが、もう半分は「自分が演じたらどうなるんだろう」という楽しみがありました。
三浦:アメコミを日本で実写化するのってどういうことなのか、最初は全く想像ができませんでした。でも台本を読んでみると、現実の世界とは違うのですが、描かれている人間関係は今の私たちの生活の中にあるものだと感じました。現場に行くのが楽しみになりましたね。
○「寒いっすね」と言いながらサウナシーン撮影
——ヴァリアントたちが住む「奈落」など、完全な異世界が描かれているドラマですが、印象的な美術セットなどはありましたか?
寛一郎:沖縄での撮影も多かったんですが、美術さんと装飾さんが本当にすごかったです。ロケをしているときは一部しか見えないのですが、映像になったらどう見えるのかが楽しみでした。
三浦:印象的だったのは、エマや「L(エル、エマが所属するインフルエンサーユニット)」の仲間たちが住んでいる部屋ですね。拾ってきたものを集めて、自分たちの好きな空間を作っていった感じが伝わってきました。子どもの夢というか、時間の蓄積が感じられる場所なんです。撮影は安全に行われているんですけど、危なっかしく見える作りもあったりするので、リアルに感じるところが好きでした。
寛一郎:奈落では、真緑の寒天みたいなものを食べてる人がいたり、透子さんが蛍光ピンクの麺を食べていたりするんですよ。美味しいわけないと思って見てました。(笑)
三浦:奈落ではあれが美味しくて豪華な食事だと思って食べてるんだから、そんなこと言わないの(笑)。でも、いろいろと独特で面白いんです。クラブのシーンで踊っている人をよく見ると現実の世界のクラブのダンスとはどこか違うんです。あの世界で流行っているダンスがあるということを作り上げていて、食べ物や、環境的に物資が豊かではないことなど、細かいところにもこだわりが詰まっています。そういうところを手掛かりに、私も世界観をイメージしていました。
——撮影で大変なことはありましたか?
寛一郎:廃墟での撮影が多かったので、崩れそうな階段をガーっと駆け上がったりするのは結構大変でした。冬だったので、沖縄でも寒かったです。サウナのシーンがあるのですが、レンズの曇りを防ぐためにサウナを稼働させていなかったので、同じシーンに出演されている岸谷五郎さんと「寒いっすね」と言いながら撮っていました。
三浦:そうだったんだ! ちゃんと暑そうに見えました(笑)
——共演者の方たちの雰囲気はいかがでしたか?
寛一郎:山田健人くんはこの作品が初めての映像作品だったし、Lのメンバーも面白かったです。若いエネルギーが集まっている感じがしました。透子さんは姉御肌というか、Lの皆からいつも相談を受けてました。プライベートのことを包み隠さず話すので、新しい風を感じましたね。
三浦:プライベートの相談をずっと受けてましたね(笑)。寛一郎さんも一緒に話してましたよ。本当に楽しい現場でした。
●「僕らの中にある普遍的なものの1つとして」
——三浦さん演じるエマと、寛一郎さん演じるウミンについて、それぞれどんなところに魅力を感じていますか?
三浦:エマは自分の置かれた状況をよくしていくために、自分自身の力で行動を起こす強い女性だと思います。でも一方では、年齢相応の幼さや弱さ、迷いも抱えているんです。完成された確固たる意志があるというよりは、精神的に成長していく過程が作品の中で描かれている気がします。時には間違えたりしながら迷いながら進んでいくところに魅力を感じますね。
寛一郎:ウミンのことを感情が死んだロボットみたいな人にはしたくないと思っていました。カッコつけて突っ張ってるけど、本当は寂しいし、かわいいやつなんだろうなというのを彼の魅力にしたいと思って演じていました。
——エマとウミンは生まれつき特殊能力を持っていますが、どんなことを意識して演じたのでしょうか。
三浦:「特殊能力を持っている」と思うと、飛躍した存在になってしまいそうですけど、“他者と違うことによって虐げられている”という構造は、現代社会にも間違いなく存在します。まずはそこから理解しようとしました。それに、ほとんどのヴァリアントは少し手が温かくなるとか、ほんの少しだけ物が動かせるとか、ささいな能力しか持っていないんです。本人たちは「別に普通の人と変わらないんだけどな」と感じて生きている。そういった意味でも、演じる上で、遠い世界の話だと思ってはいけない作品だと感じました。
寛一郎:特殊能力とは違いますけど、例えばコンプレックスだったり、誰しも人と違う特徴を持っていると思います。ヴァリアントは、それが顕在化したものなんじゃないかと。だから透子さんが言った通り、遠い存在ではなく、僕らの中にある普遍的なものの1つとして考えたほうが分かりやすいかなと思っていました。
——では改めて、この作品の見どころを教えてください。
三浦:画面の中の細部まで世界観が作り上げられていて、丸山健志監督の思いが込められています。細かいところまで注目して見ていただけると面白いんじゃないかなと思います。
寛一郎:日本ではこれまで超能力が登場するSFドラマが少ない中で、チャレンジングな作品だと思います。細かいところまで監督のこだわりが詰まっているので、普通のSFではないところを含めて見ていただきたいですね。
■『HEART ATTACK』(FODで全8話一挙配信中)
出演:寛一郎 三浦透子
   三浦誠己 村上淳 西田尚美 岸谷五朗 ほか
都田ミツコ とだみつこ 1982年生まれ。編集者・ライター。編集プロダクションでの勤務を経て、フリーランスに。 この著者の記事一覧はこちら

マイナビニュース

「政府」をもっと詳しく

「政府」のニュース

「政府」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ