狩野英孝、貫く全力姿勢! 活躍し続ける秘訣は「ビビりだから」 50TAの活動や神主との両立も語る
2025年3月22日(土)18時0分 マイナビニュース
●どの活動も「とにかく全力で」 50TA横浜アリーナライブも気合十分
2003年に芸人としてデビュー、「ラーメン、つけ麺、僕イケメン!」のフレーズでブレイクし、今もなおバラエティで活躍を続けている狩野英孝。50TAとしての歌手活動も行っており、3月23日には初となる神奈川・横浜アリーナでライブを開催する。狩野にインタビューし、50TAの活動に対する思いや自身のモットー、デビューから20年超えて感じていることなど話を聞いた。
2009年に『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)のドッキリ企画から誕生した音楽界の革命児・50TA。2010年にリリースしたアルバム『50TA』はオリコンランキング9位にランクインし、その後も新曲の配信やライブなどを行ってきた。
狩野に50TAの活動への思いを尋ねると、「毎回、本当に真剣に向き合っています」と凛々しい表情で回答。
「応援してくれている方々も『急に始まったぞ』と思われるパターンが多いと思いますが、僕自体も急に知らされるというか、毎回『ファイナル』『最後』とか言われて、これでピリオドを打ったんだなと思ったらまた急に始まって。なので、15年やってきたという感覚はなく、いつも初回の気持ちでやっています。気づいたら15年という感じです」
自分主導ではなく、言われるがままに従っているそうで、「やれといわれたら『はい!』って。犬です」と笑いつつ、ファンの声を聞いて「やってきてよかった」と感じるという。
「『初めて買ったCDが50TAです』と声をかけてもらったり、『学生の頃にテレビで見ていました』という方が自分で稼いだお金でチケットを買って50TAを見に来てくれたり、応援してくれる方々の歴史から50TAの歴史を感じるというか、15年も経ったんだなと思いますし、15年やってきてよかったなと思います」
この日のインタビューでも、50TAとしてメイクをバッチリ決め 芸人・狩野英孝とは違うオーラを放っていたが、自身の心境はどちらも同じだそうで、「狩野英孝のお笑いライブは行こうとは思わないけど、50TAは行こうという人がいるということは、何か違うんでしょうけど、僕の中では根本は変わりません」と語る。
そして、どの活動も「とにかく全力でやるしかないという気持ちでやっています」と、全力姿勢が自身のモットーとのことで、「それは昔から変わらないです」と話した。
50TA誕生から15年が経った昨年、「15周年記念5大プロジェクト」がスタート。そのラストが、1万人超の観客を迎える3月23日のライブ「50TA 15周年ファイナル これでホントに見納め? in 横浜アリーナ」で、動画配信プラットフォーム・TELASAにて独占生配信される。
「1万人だろうが1000人だろうが、自分がやることは変わりません。とにかくいつも『全力』がテーマなので、1000人でも1万人でも全力でやらせていただこうと。特に人数にビビっているということはないです」
長年の経験で培われた度胸を感じるが、昨夏に出演した四国地方最大級の野外フェス「MONSTER baSH」でも精神的に鍛えられたという。
「『MONSTER baSH』は僕以外のアーティストを見に来た方々を楽しませないといけないというプレッシャーが大きかったです。横浜アリーナは、50TAのライブということで皆さんチケットを買って見に来てくださるので、アウェイではないという安心感があり、1万人と一緒に遊ぼうという気持ちが強いです」
50TAとしての今後の野望を尋ねると、「今は横浜アリーナに向けて全力という感じなので、正直まだ先のことは考えられていないです」と答え、「横浜アリーナで歌い切ったあとにどう思うのか楽しみです。ゴールテープを切った感じになるのか、それとも、またここに立ちたいと思うのか。しかも自分がこうしたいというより、言われるがままなので、どうなるかわかりません」と笑った。
●芸人としての葛藤吐露「安定したいけど、追い込まれていた方が…」
2003年にデビューしてから今年で22年となる狩野に、今の仕事に対する思いも聞いてみた。
「20年オーバーして思うことは、いつになったら芸人という仕事は安定するんだろうなと、それはすごく感じます。年齢や経験を重ねても、常に新しいことを生み出して発信しなきゃいけない。逆に、安定がないから芸人でいられるのかもしれないなと。若い頃は早くレギュラー番組でも持って、安定した位置につきたいと思っていましたが、そうではなく、どんどん追い込まれていかないとダメなんだろうなと思うようになってきています」
体力的にも安定したいという願望もありつつ、「追い込まれていた方が芸人としてはいい」という思いが強まっているようだ。
「安定したいけど、『面白かった』と言われるためには勝負していった方がいいんだろうなという葛藤がずっと常にあり、落ち着いている場合じゃないぞと。毎年、『M-1グランプリ』『R-1グランプリ』などでニュースターの芸人さんたちが続々出てくるので、そういうのを見るたびに『うわっ面白い! うかうかしていられないな!』という気持ちが生まれて、安定とか言っている場合じゃないぞと思います」
43歳の今も、さまざまなバラエティ番組からオファーが絶えない狩野。活躍し続ける秘訣を尋ねると、「あまり偉そうなことは言えないですけど」と前置きした上で、「ビビりだからだと思います」と答えた。
「ビビりだから、出演する番組について調べるし、用意するし。才能があったら現場で言われたことに対してその場で面白いことを言えばいいんですけど、自分は必要以上に考えないと不安になるんです。結局、練習通り、想像通りに行かないこともありますが、スタッフさんとかは、ノープランで来たのか準備してきたのかはわかると思うので。だから、失敗しても、もう1回チャンスをくれるというのがあるのかなと。ビビりが故に、人よりもチャンスを1.5倍もらっている気がします」
そして、「自分は最初から才能ではない」と言い、「ネタでテレビに出させていただいていただいたのがきっかけですが、何年もかけてライブでブラッシュアップしたネタだったり、常に準備してきたものを披露しているという感じで。準備しないで才能でポンと笑いが取れれば一番いいですが、自分はそうではないので」と冷静に自分のことを見つめている。
●神主の仕事は「宿命」 父親になってからの変化も語る
年末年始を中心に宮城県にある実家の櫻田山神社で神主としても働いている狩野。神主の仕事が芸人の活動に生きることは「全くない」と言い、年末年始に芸人の仕事ができないことに悔しさもありつつ、「宿命」として受け止めているという。
「正月は芸人にとって一番の書き入れ時というか、一番忙しくて、一番盛り上がって楽しいときで。だから神社の仕事をしてリビングに戻ってテレビをつけたときに生放送で芸人さんたちがわいわいやっている姿を見ると、うらやましいなと思います。でも自分の家のことなので、年末年始は芸能界を休んで実家で働いています」
もともと神主になることを拒否していたものの、家業を継ぐ決意をし、2016年に神主の資格を取得した。
「神主を継ぐ人がいなくなってしまったという狩野家の問題が出てきて、俺がやるしかないと。若いうちは、自分のやりたいことをやらせてもらっていましたが、30歳を過ぎて、自分のエゴだけでやりたいことをやる歳でもなくなってきたぞと思ったという感じです」
今後も、芸人の活動を軸に、神主の仕事も務めていくという。芸人としての野望を尋ねると、「1年後、2年後のことは考えられなくて、今日の仕事を全力で頑張ろう、明日の仕事を全力で頑張ろうって。なので、次の仕事を頑張るというのが野望かもしれません」と答えた。
2023年には第1子女児が誕生し、1児の父に。「シンプルに家に帰るのが楽しくなりましたし、仕事を頑張るパワーにもなっています」と父親になってからの変化を述べ、「50TAの歌を家で練習したいけど、寝ているからできないということもあって、帰りの車の中で思いっきり練習するようにしています」とも明かした。
ちなみに、娘はまだ狩野の仕事について理解はしていないという。
「出ているなという感じはあると思いますが。いずれちゃんとわかったときに、リスペクトしてもらえたらうれしいですけど、どうなんでしょうね(笑)」
最後に、ファンに向けて「『ロンドンハーツ』で50TAのライブをするときに、必ず『これで最後』『ファイナル』『これで見納め』というタイトルがついていて、いつもこれが最後という気持ちで挑ませていただいるので、お客さんも『もう会えないんじゃないか』『最後かもしれない』という気持ちで、全力で余すことなく一緒に楽しんでいただければと思います。渾身の1回を全力で提供させていただくので、ぜひ楽しみにしていてください!」とメッセージを送った。
■狩野英孝
1982年2月22日生まれ、宮城県出身。日本映画学校(現・日本映画大学)を卒業後、2003年に芸人としてデビュー。「ラーメン・つけ麺・僕、イケメン」などのフレーズでブレイクする。お笑い芸人以外にも、テレビ朝日『ロンドンハーツ』のドッキリ企画から誕生したシンガーソングライター(50TA名義)や、YouTuberとして幅広く活躍する傍ら、実家の神社で神職にも従事している。