《「エヴァ」シリーズ作曲家》鷺巣詩郎が明かす、『御上先生』で15年ぶりにドラマの劇伴を担当した理由

2025年3月29日(土)12時0分 文春オンライン

〈 「オチがなくていいんですよ」直木賞受賞・伊与原新が語る“作風を変えたきっかけ”〈東大で博士号→研究者→ミステリ作家から…〉 〉から続く


 3月27日発売の 『週刊文春』 の名物連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」に、作曲家、編曲家、音楽プロデューサーの鷺巣詩郎が登場。


 鷺巣といえば、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの音楽を手掛けたことで知られる作曲家だ。普段はパリやロンドンを拠点に活動しているが、先日最終回を迎えたTBS日曜劇場『御上先生』では、15年ぶりにテレビドラマの劇伴を担当した。


◇ ◇ ◇


「この作品はやろう」と決めた理由


「僕が『御上先生』を引き受けるきっかけになったのは、監督さんがすごく若かったからなんです。しかも初監督作品。宮崎陽平さんという方で。


 去年の初夏に宮崎監督と初めて会ったんですが、『こんなに若い人なんだ』と驚きました。自分が若くしてピックアップしてもらったこともあって、若い人に託すとか賭けるとか、そういうことが大事だとは常日頃から思っているので、もうその場で『この作品はやろう』と決めました」



鷺巣詩郎さん(左)、阿川佐和子さん(右) ©︎文藝春秋


 今回のドラマは、鷺巣にとっても異例のスピードで曲が出来上がったという。


「その1カ月後に脚本を全部いただきました。それがまた素晴らしい脚本で。ページをめくるたびに音楽がどんどん浮かんできて。


 今回の場合、7月に脚本を読み、8月の終わりにはほとんどの曲ができました。そういうことってまずないんですよ。レコーディングもしてしまおうと、すぐにパリでオーケストラを60人ぐらい集めて」


 本来ならばTBSのゴーサインを待つ必要があるが、なんと「インスピレーションを逃したくないから」とレコーディングをしてしまったのだという。


「お金はかかりますけどね、そこはまず自腹で。11月の打ち合わせで、こういう音楽をつくってくださいと発注を受けるときにはもう『実はこんなんできました』って音源を持っていきました(笑)。もちろんそこで『ちょっと違う』と言われたら、おじゃんですよ」


使われた曲は半分くらい。庵野監督の場合は…


「『御上先生』のサントラが3月に出たんですけれども、それは27曲入りなんです。なので70曲納品しているけど、実際使われたのは27曲プラスアルファで大体30曲、半分ぐらいなんですよね。でもそれくらいが僕は適量だと思っていて。エヴァのときなんか3倍は納品していました。そうしないと庵野(秀明)監督は好みが激しいので。使わなかった曲は自分でストックしますしね」


『御上先生』がヒットし、他のドラマから声をかけられることが増えるのではと尋ねるとーー。


「いやいや、僕はもう老兵ですから(笑)。音楽ってジェネレーションがすごく大事なんですよ。最近は若い人が音楽を聴かなくなったとか言うけど、そんなことは決してない。いついかなるときも音楽って若い人が一番聴いてるんですよ。少子化だからパイが小さくなってるだけのことで。それに社会に対する不満は、若い人に歌ってもらったほうが絶対いいんです。若い人が上の世代に不満を言うのは、自然なこと。僕らが『老害』って言われるのは、いいこととか悪いこととかいう以前に、自然なことなんですよ」


◇ ◇ ◇


 対談では、鷺巣が作曲家になった理由、才能豊かな父親のもとで育った幼少期や、普段の創作方法についても語られた。インタビューの全文は 『週刊文春 電子版』 および3月27日発売の『週刊文春』で読むことができる。


(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年2月20日号)

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