米ダルトン フジHD取締役にSBI北尾氏提案 20年前はフジ救世主も... 堀江氏とは和解
2025年4月16日(水)16時20分 スポーツニッポン
フジテレビの問題を巡ってフジ・メディア・ホールディングス(HD)の大株主の米投資会社ダルトン・インベストメンツが16日、経営陣の刷新を求めて6月下旬のフジHDの定時株主総会で金融大手SBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏を取締役候補に提案することを発表した。北尾氏は17日にも会見する方向で準備している。
中居正広氏(52)の性暴力から始まった今回の騒動。フジは先月、役員体制を刷新したことを報告し、同月末には第三者委員会の調査結果を伝えた。ただダルトンはフジの清水賢治社長ら旧体制から引き続き5人の取締役が留任していることを強く批判し、さらなる経営陣の刷新が必要だと訴えている。
そこで新たな取締役として提案するのが北尾氏。北尾氏は1951年生まれ、兵庫県出身。実家は船場の商人。74年に慶大経済学部卒業後、野村証券に入社した。新入社員の多くが営業から始まる中、総合企画室配属のエリートコース。在籍中は英ケンブリッジ大学経済学部へも留学し、78年卒業。95年、孫正義氏に誘われソフトバンクへ。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)社長兼CEOとなった。インターネットを軸にした独自の金融サービスを展開し、“ネット金融の革命児”とも呼ばれる。
05年にライブドア堀江貴文社長(当時)らがフジの大株主だったニッポン放送を買収しようとした際に、北尾氏は「ホワイトナイト(友好的投資家)」としてフジ側に協力。ニッポン放送が保有するフジ株を借り受け、ライブドアの影響力がフジに及ぶのを阻止した。しかし、フジの一連の騒動を受けて、第三者委の調査結果について「あの時ホワイトナイトをやるべきではなかった」と厳しい見解を示している。
当時敵対関係にあった堀江氏とは既に“和解”。SBIは22年、堀江氏らが創業したロケット開発ベンチャーに出資した。SNSでは「堀江さんが経営していたら、メディアとネットの完全融合がなされ、進化した高収益会社になっていたと確信する」とその手腕を高く評価している。
北尾氏は「論語」「易経」といった中国古典にも通じ、自ら易も読む。座右の銘は「易経」の「天行健なり。君子は以て自彊してやまず」。毎年発表している「年頭所感」では、干支(えと)からその年の運勢を読み解いて社員に伝えている。