昭和100年の流行歌と世相、スター「取材」し振り返る…歌手・作家の合田道人が本に
2025年4月27日(日)9時0分 読売新聞
合田道人
歌手で作家の合田道人が、書籍「歌は世につれ♪ 流行歌で振り返る昭和100年」(笠間書院、1980円)を出した。
「3億円事件」が起きた頃にはピンキーとキラーズの「恋の季節」がはやり、ルービックキューブが世を席巻した年に、山口百恵が引退した——。流行歌の解説本と思いきや、描くのは昭和元年から令和6年(昭和99年)に至るまでの、歌と時代の関係性だ。
「『リンゴの唄』が戦後にはやったのはリンゴが闇市でしか見られない貴重なものだったから」と言うように、執筆するうちにヒットと世相は切っても切れないものだと気付いたという。
自身は1979年、シンガー・ソングライターとしてデビュー。現在理事長を務めている日本歌手協会で、共演した藤山一郎や淡谷のり子ら昭和初期の大スターらの話を聞くのが好きだった。「並木路子さんに『リンゴの唄』の思い出を聞いても毎日のように取材されているから嫌な顔をされる。でも『リンゴの唄』の人気に隠れてしまった『バナナ娘』のことを聞くと、珍しいからといろんな話を教えてもらえた」。本書は、同業者でありながら歌謡曲マニアでもある筆者の“取材”の集大成でもある。
音楽配信の普及で昭和歌謡が世代を超えて聞かれる昨今、本書はガイドの役割を果たしてくれそうだ。「自分が過ごした時代を振り返るのはもちろん、父親、母親が生まれた年に起こったこと、はやった歌について知ってもらいたい」と語った。