芸能生活55年・研ナオコが夫婦で『徹子の部屋』に登場「円満の秘訣はお互いに干渉しないこと。家族と意見が合わないこともありますよ。そういう時は…」
2025年4月30日(水)10時59分 婦人公論.jp
「紀江おばあちゃんになりきっているうちに、認知症の世界は案外楽しいかもしれないと思えてくるという不思議な体験をしました」(撮影:木村直軌)
〈発売中の『婦人公論』5月号から記事を先出し!〉
2025年4月30日の『徹子の部屋』に研ナオコさんと野口典夫さん夫婦が出演。愉快な夫婦生活を語ります。これに合わせ、発売中の『婦人公論』5月号から、研ナオコさんのインタビュー記事を配信します。
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長年、歌手として活動を続けてきた研ナオコさん。近年はユーチューブチャンネルでの飾らない人柄溢れる発信が人気です。71歳になった今も新たな挑戦を厭わない理由と、年を重ねることへの思いを聞きました。(構成:丸山あかね 撮影:木村直軌)
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<前編よりつづく>
認知症のおばあさん役を演じて
コロナ禍の最中に始めたユーチューブ番組も新しい試みでした。「メイク動画」をアップしたら、すっぴんが衝撃的だってすごい反響で(笑)。ノーメイクだったらみんなこんなもんよ、って開き直ってる自分がいて、もはや、怖いものは何もありません。ワハハ!
5月に公開される映画『うぉっしゅ』にも、すっぴんで出演しています。私は認知症のおばあさん・紀江役です。
中尾有伽さん演じる加那はソープ店で働いているのですが、紀江の介護を一手に担っている母親から「1週間だけ、おばあちゃんの介護をしてくれない?」と頼まれて、店でも実家でも人の体を洗うことに。
やがて、認知症の紀江になら本当のことを打ち明けられると気づき、次第に紀江の過去と孤独が垣間見えてきて……。ここから先は映画館でお楽しみください。(笑)
監督の岡崎育之介さんから出演のオファーをいただいた時、私を選んでくれてありがとうと感激しました。
ただし私は女優さんではないので、「演技についてはわかりません。だから絶対に遠慮しないで、ダメな時はダメ出しして納得のいく作品にしてください。それが条件です」と伝えました。
役作りはせずに撮影に臨みましたが、自然と明るいキャラクターを演じていましたね。紀江おばあちゃんになりきっているうちに、認知症の世界は案外楽しいかもしれないと思えてくるという不思議な体験をしました。
この作品を通して、認知症の方に対する偏見を拭い去り、優しい目で見守ろうという輪が広がればいいなと思っています。
介護する家族の大変さはわかっているつもりです。実は私、小学生の頃、寝たきりだった祖母の介護をしていたんです。食事の世話やおむつ替え、それから床ずれの手当てもしていました。
大家族時代、子どもが祖父母の介護をするって珍しいことではなかったような……。とにかく当たり前のことだと思っていたので、大変ではあったけど苦ではなかったです。
それに、人はこうして老いていくのだと目の当たりにした経験は、精一杯に生きようという私の人生観に通じているような気がします。
それだけに核家族化って微妙だなと思うんですよ。私は両親と暮らせばよかったと後悔してます。家はプレゼントできたけど、本当の親孝行って、一緒にいることだったんじゃないかなって。
ちなみに私は最期まで施設に入れないでねと家族に伝えてます。私が認知症になったらはっきりと教えてね、とも。娘は俯きながらボソボソッと「もう認知症だと思うんだけど」って言ってましたけど。(笑)
理想的な家族のありようとは?
34歳で結婚して、現在息子は38歳、娘は36歳です。子どもたちは何も言いませんが、私には仕事に追われて子育てを十分にできなかったという負い目があります。
だから今、アメリカで暮らす息子のもとへ押しかけて埋め合わせ活動中。育児を手伝うとはいえ、無責任でいいから孫はひたすらに可愛いのです。
一方、夫に対しては、もうさんざんやってきたのだからと家事卒業宣言をしました。世の中には「俺の飯は?」と言う夫が珍しくないと聞きますが、わが家の場合は簡単で、私が「晩ご飯どうする?」って訊くと、夫は「うーん、出前でも取るか」っていう感じです。
夫婦円満の秘訣はお互いに干渉しないことでしょうか。長年一緒に暮らした結果、信じると決めたら、夫のことを深く知る必要はないという結論に達したのです。
私は子どもたちのプライバシーも尊重していました。勝手に鞄を開けないと決めていたし、部屋に入る時もノックして「入ってもいい?」って必ず訊くようにしていたんです。子どもは親の所有物ではありませんから。
家族と意見が合わないこともありますよ。そういう時、私は押し黙り、自分の価値観がすべてではないと心にブレーキをかけるのです。
私が歌手になりたいと言った時、母は「自由に生きたらいいよ、でも自己責任で生きなくちゃいけないんだよ」と言ってました。「うん、わかった」と答えた素直な私は、試行錯誤しながら生きてきましたが、今、すごく幸せです。
子どもたちにも失敗を恐れず、心のままに生きてほしい。本当はくっついていたいけど、適度な距離感を保つことが家族の絆を強めるのだと信じています。
私は200歳まで生きる予定なので、これからも試行錯誤の旅はしばらく続きそうです。60歳になった時、海外へ進出したいという壮大な夢を持ちました。夢は元気の素。
人生、何が起こるかわかりませんから、とにもかくにも歌い続けていきたいと思っています。
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