「楽しくなければテレビじゃない」の精神を「全部捨てるわけではない」 フジ清水社長が“脱却”の真意説明

2025年4月30日(水)19時33分 マイナビニュース


フジテレビの清水賢治社長は30日、報道陣の取材に応じ、同局の再生・改革に向けた具体的な強化策として挙げた「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却について、真意を語った。
○日枝久編成局長時代に生み出されたキャッチフレーズ
フジテレビは1980年代初頭、日枝久編成局長時代に「楽しくなければテレビじゃない」のキャッチコピーを掲げ、『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』といった大ヒットバラエティ番組を生み出し、視聴率トップに躍進。以来その精神は、ドラマやイベントなど他ジャンルにも浸透し、“フジテレビの憲法”と表現されることもあるほど、同局を象徴するスローガンだ。
同局の一連の問題を受け、全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)の荻原伸之理事(ジッピー・プロダクション代表取締役)からは「個人的に、今回の事案と番組の内容や精神というのは、全く違うのではないかと思うので、そこは切り離して考えたいと思います。企業風土やガバナンスの問題が指摘されていますが、それを改革することによって、“フジテレビらしさ”がなくなってしまうというのは、僕は避けてほしい。お互いに良いものを作っていこうという気持ちは一緒なので、そこだけは履き違えないようにしていきたいと思います」と要望されていた。
ただ今回の改革にあたり、清水社長は「“楽しくなければテレビじゃない”が社内の一部で過度に重視した風土が根付いていた」と反省。その上で、このキャッチフレーズから脱却し、「放送法の原点に立ち返り、公共性をもって社会に貢献できる企業となり、社会の公器としての役割を果たします」と表明している。
○面白いことを作るために誰かが犠牲になることは許されない
清水社長は「“楽しくなければテレビじゃない”は、80年代のフジテレビ躍進を築き上げた一大スローガンであり、フジテレビのバックボーンを貫く考え方だと思っています。これにはフジテレビの良いところがたくさん詰まったスローガンだと思うんです」との認識を示した上で、「“脱却”というと、これを全部捨てるのかと思われるかもしれませんが、そういうわけではありません」と強調。だが、「“楽しくなければテレビじゃない”ということが、曲解された一部の考え方があった、誤解されている部分があるんじゃないかということを反省しました」という。
具体的には、「“面白いことを作ることは非常に大変なことなので、これをやるためには他のものを犠牲にしてもいい、全てを犠牲にしても面白いことを作ることが大事なんだ”というのは曲解された考え方です。このような考え方の元だと、今の時代にアップデートされていないという批判につながることが起こってしまうのではないか」とし、「そういう意味で、面白いこと、楽しいことはとても大事なんですが、全ての番組において、誰かが犠牲になることは許されない、ということを厳しく戒めるために、あえてそういう言い方をしております」と真意を説明した。
そして、「やはり番組、コンテンツというものは、皆さんに面白く感じてもらわないといけない。ただ、今言ったような条件のもとでも面白いものを作るのがプロフェッショナルだと思っています。よって、我々にとって一番大事にしてきたものを、あえてそう言うこと(=脱却)が大事なんだと思い、今回の報告には入れさせていただきました」と狙いを明かした。
港浩一前社長時代、開局65周年を機に「楽しくなければテレビじゃない」を進化させた「楽しいをぬりかえろ!」というコーポレートメッセージを“フジテレビスピリット”と銘打って制定したが、同局では今後、「リブランディング・ワーキング」を立ち上げ、次世代を担う中堅若手の声を吸い上げていく方針。清水社長はこの中で、「楽しくなければテレビじゃない」に代わる新たなスローガンを作ると明言している。

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