【番記者の視点】FC東京、後半途中に4→3→4バックと変更した“大人”の清水を攻めきれず
2025年4月29日(火)21時41分 スポーツ報知
清水に敗れ肩を落とすFC東京の選手たち(カメラ・山崎 賢人)
◆明治安田J1リーグ▽第13節 FC東京0—2清水(29日・味スタ)
【FC東京担当・岩原正幸】前節25日のG大阪戦では、後半41分にMF俵積田がドリブル突破から挙げた劇的な決勝弾をきっかけに3得点が生まれ、9試合ぶりに勝利。だが、今季初連勝を狙ったこの試合では、見せ場少なく4試合ぶり黒星で16位からの浮上を逃した。
前半は互角の展開だったが、MF遠藤が清水FW乾へのファウルでPKを献上し、前半アディショナルタイム1分に先制点を奪われた。後半15分にFC東京はFW佐藤(恵允)、俵積田の2シャドーを同時投入し、推進力を増した。直後に清水はスタート時の4バックから3バック(実質サイドバックが下がるため5バック)に変更。FC東京は後半19分、DF白井の右クロスからFWマルセロヒアンがフリーでヘディングシュートの場面を迎えたが、うまくミートせずチャンスを逃した。清水は再び4バックに戻し、FC東京がさらに2人を替えた(後半32分にDF木村、MF東を投入)その2分後に、乾の個人技から2点目を奪い、突き放した。
清水の秋葉忠宏監督は会見で「もっともうれしかったのは、中で判断して3バックと4バックをうまく使い分けたところ。我々の指示では3バックにして落ち着かせようかという時間帯もあったが、それでも、より4バックの方が攻守において良いという判断を選手たちがした。大人なフットボーラー、大人なチームになってきた」と選手が判断した上での4バックへの再変更だったことを明かし、たたえた。
FC東京にとっては、相手が混乱している時間で押し切れなかった点や、2度目の2人交代を行った直後に追加点を献上した巡り合わせなどが敗因となったと言える。
松橋力蔵監督は「本当に(観客にとって)見るところが少ない、非常に残念なゲーム。攻撃の目線がほとんど合っていなかった。一人一人のところのプレーのクオリティーは、やはりエスパルスさんに分があった」と厳しい表情を浮かべた。
前節のG大阪戦ではある程度ロングボールを駆使しながら、球際で戦う姿勢を前面に出し、結果を手にした。この日は「蹴る判断とつなぐ判断を全体でそろえられなかった」(DF安斎)という。188センチでパワーとスピードがある1トップのヒアンをどうチームとして生かしていくかという課題もある。
次節は5月3日に、松橋監督が昨季まで指揮を執った新潟(17位)とのアウェーでの対決。「誰もが次は大事な試合というのを理解している。最後は気持ちを持って、もっと戦わないと」と安斎は言う。MF高は「チームの目線をそろえて、もう1回やりながら、戦うというベースはまだまだ上げていかないといけない。貪欲にやりたい」と見据えた。苦しい状況の中、チーム全体で逆境をはね返す底力が求められている。