「もう死にたいと思った」夫からの壮絶DV→離婚→ワンオペ育児で“産後うつ”に…4児の母で元ラウンドガールの格闘家・あきぴ(36)が語る、格闘技を始めるまでの経緯

2025年5月4日(日)12時0分 文春オンライン

〈 「痩せるために水しか飲まず、骨みたいなカラダになった」摂食障害で38キロまで激ヤセ…元ラウンドガールの格闘家・あきぴ(36)が明かす“壮絶な学生時代” 〉から続く


 2021年、4児の母でありながら総合格闘技「RIZIN」のラウンドガール「RIZINガール」になったことで話題となった、あきぴさん(36)。現在はプロ格闘家として「RIZIN」のリングに戻るべく、総合格闘技のリングに上がっている。


 妊娠中に離婚しシングルマザーとなったあきぴさんだが、その後育児ノイローゼに。さらに月収200万円のライバーへの転身、RIZINガール時代の壮絶ダイエットに、格闘技ファンからの「ブス」「ババア」という誹謗中傷と、壮絶な半生を明かしてくれた。(全3回の2回目/ 3回目 に続く)



元RIZINガールで、現在は格闘家として活動しているあきぴさん ©細田忠/文藝春秋


◆◆◆


離婚・出産後、シングルマザーで産後うつに


——最初の夫と別れたとき、お腹には子供がいたそうですね。


あきぴ 最初の旦那と別れた後、産みました。ただお金もないし、生活もやばいので、すぐ子供を保育園に預けて携帯電話を販売する仕事をしました。


 ただ赤ちゃんがいると寝る時間ってないじゃないですか? 夜泣きするし、ミルクをあげても吐いちゃう。ミルクまみれになったシーツを洗濯していると、もう朝。そのまま保育園まで子供を送って、仕事をして、また家に帰って。


 その繰り返しをしていたら、産後うつになってしまって。「もう死にたい」みたいな。


——シングルマザーだから、頼る人もいない。


あきぴ そうなんです。でも子供もいるし、死ねないし、どうにかしないといけない。もう泣きながらどこか病院はないかとさまよってました。事前にスマホで調べるとか思いつかないんですよ。判断力も低下しちゃっていて。


 ただ、その時に出会えた精神科の先生がすごく良くて。カウンセリング中にすっごくくだらない話をしてきて。最初は「こっちが真剣に悩んでいるのに」と思っていたけど、ちょっと笑えてきたんですよ。そうしたら「そうやって笑えればいいんだよ」って言われて。


 それで安心できて、また気持ちが戻ってきた感じです。そんな生活をしていく中で再婚をして、今は小6、小3、小1、幼稚園年長と4人の子供がいます。


再婚後、4児の母になり育児ノイローゼに


——ただ再婚後には、育児ノイローゼにもなったそうですね。


あきぴ 性格的に真面目なところがあって。1回結婚で失敗しているからこそ、いい奥さん、いいお母さんでいなきゃいけない、失敗できないというのがあって。


 今でいうワンオペですかね。家事を全部自分1人でやったり、公園に行ってもずっと子供を見張っていたり。


 家でもトイレに行こうとしたら子供の誰かが「ママ」とかなるし。寝ようとしたら泣き出すし。1日中その生活をずっとやっている中で、ノイローゼになっちゃって。


——子供が多いから余計に大変そうです。


あきぴ それに、もともと仕事は好きなタイプだったけれど、主婦として1日中家にいると社会とあまりにも引き離されるじゃないですか? それが怖くなったのもありました。


 結局自分の稼ぎがゼロで、旦那さんの収入に頼っていると、なにかあった時にすごく困る。例えば、その旦那さんが死んだ時に子供4人をどうするかとか、旦那さんと揉めた時に親権はどうなるかとか。


 そういう不安な日々を送っていると夫婦関係にも現れてくるんですよね。「私が我慢しなきゃいけない」となってくる。そうすると夫婦が対等じゃなくなるんですよ。


 そんな時に「17LIVE」というライブ配信アプリを知りました。


ライバーでちゃんと稼げる「自立した大人」になりたくて


——どこで知ったんですか?


あきぴ 友達からの紹介です。まず友達がやっている配信を見に行ったら「なんだこの世界は!」って衝撃を受けて。それで自分でもこっそり配信を始めたんです。ちょうどコロナが始まった頃くらいですね。


 配信を始めるんですけど、最初は誰も来ないんですよ(笑)。それで2回目をやった時に初めてコメントがきて「うわ、なんだこれ」って。コメントに対してしゃべったら、またコメントが入ってちゃんと会話になるんですよ。それが面白くって。


 最初は子供が幼稚園に行ってたり、寝ている時間に1日1時間やっていたら、どんどんギフトをいただいて。数字が伸びていくと余計に面白くなってくるし、お金も入る。「ライバーとして生活ができるようになれば、夫婦関係も対等になれる」って思ってました。


 女性の立場が弱いってあんまりいいことないですよね。子供たちの目に映る母親の姿としてもよくない。


 うちの母親も父親が怖くて、すごい言いなりで自分を犠牲にするタイプで。私はそれを見て育ってて「絶対にこうはならない」と思っていたのに、そうなっちゃっている自分がすごい嫌で。


 子供たちのためにも生き生きとした、ちゃんと稼いでいる1人の自立した大人でありたいという思いもあったので、ライブ配信にはまっていきました。


——ライブ配信は客との会話が大事ですし、キャバクラでの経験も生きたんじゃないですか。


あきぴ 生きましたね。例えばコメントに対して「これは何を言ってほしいのかな」と考える力だったり。


 あと配信は毎日やるので、話すネタがなくなるじゃないですか。キャバ嬢の時からそうだったんですけど、事前にニュースを見て話題を作ったり、来てくれる人の好みを調べたり。


 来てくれる人が「ここのプリンが好き」って言っていたら、そのプリンを取り寄せて、配信中に食べたり。そうすると配信を見ている人もやっぱり嬉しいじゃないですか。


——ライバーは接客業に近いんですね。最高でひと月でどれくらい稼いだんですか?


あきぴ ひと月で200万円くらいですね。ちょうどコロナでライブ配信がバブルの頃で、キャバクラに行っていた人たちが外に出かけられないから配信でお金を投げてたんですよ。今は10万円とかくらいです(笑)。


 そうやって配信を続ける中で、RIZINガールオーディションのお知らせがあって。17LIVEからエントリーできるということでエントリーしました。


RIZINガールになれたけど無理なダイエットで死にかけた


——応募するということは、そもそも格闘技には興味はあったんですか?


あきぴ 父が昔からプロレスとか格闘技を見てたんです。山本KID徳郁選手とか、魔裟斗選手がかっこいいなぐらいでした。


 RIZINガールに応募した頃も朝倉未来選手とか有名な選手は知っていましたけど、全然詳しくは知らなくて。それで17LIVEでのオーディションで1位になって、RIZINガールになれた感じです。


——RIZINガールはレースクイーンとかがなるイメージなので、お子さんがいるあきぴさんが入ったのには当時驚きました。ダイエットも相当したそうですね。


あきぴ オーディションに参加してる時点では、十数キロは痩せましたね。味噌汁だけの日を作ったり、ほぼ何も食べなくて。あとは美容外科で、脂肪を冷却して足を細くする施術もやりました。


 でも、ダイエットによる栄養失調とストレスで耳が聞こえなくなっちゃったんですよ。体に湿疹が出たりとかいろんな症状が出てしまって。


 実はRIZINガールデビューの時も、会場で全く耳が聞こえなくなっちゃって、意識朦朧としていて。本当にもう死にかけちゃっていました。


選手のことを理解したくて自分も格闘技をやろうと


——危険なダイエットだったんですね。


あきぴ でも、これじゃ確かに痩せているかもしれないけれど、綺麗じゃないなと思って。


 レースクイーンさんたちって、もともと骨格自体が綺麗で細いんですよ。でも私は違って、どう頑張ってもそうはなれない。この人たちを目指しても、ダメだと。


 それじゃ私がRIZINを盛り上げるためにできることはなんだろうって考えた時に、選手の皆さんのことを一番理解できるRIZINガールになろうと思って。


 リングって限られた人しか上がれないのに、そこに上がらせてもらうのに、格闘技を何も知らないのはあまりにも失礼。選手の大変さを理解した上で上がるべきだと考えて、そのために自分で格闘技をやろうとジムに通い始めました。


SNSにあげないだけで子育ては「きちんとやっています」


——ラウンドガールとして真剣にRIZINのことを考えていたんですね。ただ当時はSNSなどで誹謗中傷も浴びていました。


あきぴ めちゃくちゃありました。最初は「ブス」「ババア」とか、そういう容姿への誹謗中傷がDMで送られてきました。


 格闘技ジムに行き始めてからは「育児放棄」「子供ほったらかしてジムばっか行って」みたいなものもきました。


 でも子育てについてSNSにあげないのは、私の美学なんですよ。子育てをちゃんとやってるアピールはしたくないんですよね。私にとっては当たり前のことをわざわざSNSに書くのは、美学に反するので。


 今はプロの格闘家を目指していますが、格闘技をやっている部分だけを認めて、応援してもらいたいっていう思いがあって。子育て自体はきちんとやっていますし「格闘技に全振り」とか言われるとイラッとしますね。


外国人選手の勝ちを予想して大炎上…「それは後悔してます」


——朝倉未来選手とヴガール・ケラモフ選手の対戦を予想した際に、ケラモフ選手の勝利を予想したことで炎上したこともありました。


あきぴ それは後悔してます。RIZINガールという自分の立場を考えたら、良くなかったなって。


 格闘技が好きだし、その頃はしっかり勉強もしていたので、レスリング力とかトータルの力を分析した上でケラモフ選手が勝つって予想しちゃったんですよ。


 でも日本の格闘技を盛り上げるためには、日本人選手に勝ってほしいって思う方が多くて当然だし、未来選手を応援してる方は熱心なので。「このクソアンチ女」みたいになって大炎上しました。


——その予想についてRIZINからは何か言われたんですか。


あきぴ いや、それは言われないです。でもRIZINガールの立場としては朝倉未来選手のファンを怒らせちゃいけなかったなと思います。「RIZINガールが自我を出すな」とも言われましたね。「脇役なんだから」って。


「格闘技を語るな」とは今でも言われます。「女性が格闘技をやるな」「見るな」「つまんない」とか。


——明治あたりの価値観の人がいまだにいるんですね。


あきぴ いまだにそんなことを言われるんで、びっくりはしますね。


撮影=細田忠/文藝春秋

〈 「膝蹴りで鼻の骨が折れて、顔面血だらけに…」デビュー戦でボコボコにされて“衝撃の敗北”…元ラウンドガールの格闘家・あきぴ(36)が語った、初勝利までの道のり 〉へ続く


(徳重 龍徳)

文春オンライン

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