「膝蹴りで鼻の骨が折れて、顔面血だらけに…」デビュー戦でボコボコにされて“衝撃の敗北”…元ラウンドガールの格闘家・あきぴ(36)が語った、初勝利までの道のり
2025年5月4日(日)12時0分 文春オンライン
〈 「もう死にたいと思った」夫からの壮絶DV→離婚→ワンオペ育児で“産後うつ”に…4児の母で元ラウンドガールの格闘家・あきぴ(36)が語る、格闘技を始めるまでの経緯 〉から続く
2021年、4児の母でありながら総合格闘技「RIZIN」のラウンドガール「RIZINガール」になったことで話題となった、あきぴさん(36)。現在はプロ格闘家として「RIZIN」のリングに戻るべく、総合格闘技のリングに上がっている。
RIZINガールとしての自分の武器を持つため格闘技を始めたあきぴさんだが、待っていたのは思わぬ落選だった。スマホに入れてある遺書、初MMA戦での鼻骨骨折に謎の頭痛、そして涙の一本勝ち。栄光のリングを目指す、格闘家としての今を聞いた。(全3回の3回目/ 1回目 から読む)

◆◆◆
運動神経がなくても人をひっくり返せる「柔術」が楽しくて
——あきぴさんはRIZINガールとして選手の気持ちを知るために格闘技を始めたわけですが、どのあたりから始めたんですか。
あきぴ 最初はキックボクシングから始めて、2、3か月後には柔術も並行して始めました。MMA(総合格闘技)もRIZINガールをやっている時に始めてます。
——MMAは顔へのパンチもありますし、ラウンドガールの仕事に支障はなかったんですか。
あきぴ 試合にはさすがに出てないので(笑)。練習だと、顔は優しくやってくれたりします。
——これまで運動は大の苦手だったあきぴさんが、格闘技にはハマります。なにが違ったんでしょう。
あきぴ 柔術が楽しかったんです。寝技って1、2、3、4、5と手順があって、それを1つひとつやっていくと私でも人をひっくり返せるんですよ。例えば三角絞めもそうでそうやって練習を重ねると、できることがどんどん増えていくので楽しいんですよ。
逆に打撃は感覚、運動神経が大事なんですね。運動神経はないので、いまだにわからないところがあります。
夜中にRIZINガール落選のメールが…
——RIZINガールとして格闘技を始めましたが、2年間務めた後、2023年のRIZINガールのオーディションには落選しています。
あきぴ めっちゃショックでしたね。23年も続けられるかなとは思っていたんで。しかも落選のメールが夜中に来たんですよ。普通だったら昼間に送るじゃないですか。ふざけんなよって。
2022年まではRIZIN自体がRIZINガールも選んでいたんですよ。榊原信行社長に私の格闘技愛、RIZIN愛が伝わって受かってたところもあると思います。
でも、2023年からはRIZINではなく間に入る芸能事務所が選ぶようになって。ラウンドガールにもアイドル性を求めるようになって、休憩中に歌とかダンスをやるようになったんですよ。私はアイドルとか無理じゃないですか。だから余計にもういいわって。
遺書を書いて臨んだMMAデビュー戦の結果は…
——そこから格闘技に完全にシフトするわけですね。
あきぴ RIZINガールの頃は痩せなきゃいけないから、体重も増やさないようにしていたんです。でもRIZINガールも辞めたので筋肉をつけようと、まずは10キロ増やしました。
そのためにめちゃくちゃ食べましたね。ラーメン食べてデザート、カレーを食べてデザートと、血糖値を上げる、落とすを1日中繰り返してました。摂食障害の過去があるので、こうすれば体重が増えるってわかるんです。だから、すぐに増えました。そこからは筋トレで筋肉にしていきました。
——その後はアマチュアの大会に出場していたんですか。
あきぴ 1年くらいは柔術のアマチュアの大会に出てました。2023年11月に女子格闘技の大会「DEEP JEWELS」でグラップリングルール(寝技のみ)で試合した1年後に「DEEP JEWELS」の試合でMMAデビューしました。
——2024年11月23日の吉川桃加戦ですね。家族、特にお子さんにはどう伝えていたんですか。
あきぴ それまでは「柔術の大会に行ってくるね」みたいな感じで伝えていて、子供たちもよくわかっていなかったんです。ただ、MMAに関してはきちんと言わなきゃいけないと思って。
いくらアマチュアの大会とはいえ、事故の可能性があるので。顔面も殴られますし、アマチュアの分、変な投げ方をされて首が折れることもある。大袈裟ですけど、遺書もちゃんと書いて携帯電話に入れました。
それにたとえ死ななくても、子供の顔が見えなくなったり、いろんな危険性もある。なので子供たちにはきちんと説明しました。長女以外はあんまりわかっていなかったんですけど。
——MMAデビュー戦はTKO負け。鼻の骨も折れ、顔面血だらけでした。
あきぴ 吉川選手、強かったです。膝がすごかったっすね。頭にバーンと当たったら、鼻の骨が折れて。トラウマですよ。なんかドカーンという感じで。その衝撃を覚えてます。頭がクラクラして「やばい、これは負ける」「こんな痛い思いするんだ。これは死ぬんじゃ」って思いました。
試合の後も、1か月くらいずっと頭が痛かったんですよ。「この痛み、いつ取れるんだろう」って、それも怖かったです。試合後すぐに脳の検査に行ったんですけど、異常はないと言われて。でも「その時に異常はなくて、1、2週間後に異常が出るパターンもあるよ」って言われたので、震えながら生活してました。
——試合後、お子さんの反応はどうだったんですか。
あきぴ 鼻は折れているし、すごい顔で帰ったから「どうしたの」となりました。次男は「僕が大きくなったら吉川桃加をボコボコにする」と言っていて、感動しちゃって。子供たちのためにも、もっと強くならなきゃなって思いました。
だから試合の翌日から練習してました。ジムの人に怒られながら「休め」って言われたんですけど、めっちゃ悔しくて。もっとできると思っていたので。
吉川選手との試合が終わった瞬間に、「次の試合早く組んでください」ってお願いしたんですけど、ジムの代表に「いや待て。負けているんだし、強くなってから試合しないと意味ないでしょ」って言われて、確かにと思って。
「寝技のあきぴ」が「打撃のせりな」を制した
——そしてMMA2戦目は今年3月23日でした。対戦相手の怪我によって、急遽相手はせりな選手となりました。せりな選手は朝倉未来選手が所属する「JAPAN TOP TEAM」の選手でした。
あきぴ 未来選手のファンの方は熱心で、ケラモフ戦の予想で嫌われてるのもあって「あのババアがせりなに負ける姿が楽しみだ」とかめちゃくちゃ言われてましたね。
格闘技って見てもらえてなんぼのところがあるけど、私の心はそんなに強くないんで、やっぱりいちいち傷つきます。
——しかも、せりな選手は空手チャンピオンです。前回打撃で鼻を折られたあきぴさんにとっては、打撃の恐怖とも戦わないといけない。
あきぴ そうなんですよ。だから怖かったです。「DEEP」側としたら、寝技VS打撃の方が話題性もあるし、試合としては楽しいじゃないですか。だから組んだんでしょうね。
——事前の対策は?
あきぴ サウスポーだったので、サウスポー対策のアドバイスをもらいました。あと相手の距離になっちゃダメだから、距離を詰めてタックルする。「打撃には絶対に付き合うな」「とにかく寝かせろ。寝かせれば絶対に勝てるから」と言われてました。
——試合はあきぴさんがケージに押し込んで、せりな選手からテイクダウンを奪い、最後は倒したせりな選手の背後からリア・ネイキド・チョーク(裸絞め)で一本勝ちします。
あきぴ 絞めているときは本当に怖かったですね。「ここで逃したら、またスタンディングになって殴られる。決まれ」って。普段は男性の方が練習相手になることが多いんですが、女性の首って細いんですよ。だからチョークが決まっている感覚がなくて。お願いだから、決まってという感じでした。
格闘家としてRIZINに戻りたい
——レフリーがストップした後には、マットに突っ伏して叫びながら号泣してました。
あきぴ あれ、嬉しくて泣いていると思っている人も多いんですが、安心の涙なんですよ。「決まってよかった」って。そのあとに「マジで勝ったんだ。信じらんない」って嬉しさがやってきて。泣きすぎましたね。
——勝利インタビューでも泣いてました。
あきぴ あれは喜びの涙です。感動しましたね。自分が勝って嬉しいというより、応援してくれている人の前で勝つことができて、それをみんなが喜んでくれていることが嬉しかったです。
——ご家族は来てたんですか。
あきぴ 来てないです。まだ下の子は小さいので、MMAを見せるのはもっと大きくなってからがいいかなと思っていて。私の夢はプロの格闘家になってRIZINに戻ることなので、RIZINに戻れる日がきたら家族を呼びます。子供たちに夢を叶える瞬間を見せたいんで。
RIZINの榊原社長にも試合後「勝てました」ってLINEをしました。「いつか格闘家としてRIZINに戻るのが夢なんで、頑張ります」って送ったら、「試合見ました。必ず叶うと思います。頑張ってください」って返信が来て。今はそのLINEをスマホの待ち受けにしてます。
——いわゆるラウンドガールとかタレント的なことは、もうあんまり考えてはないんですか。
あきぴ そうですね。柔術の大会で呼ばれたら、メダルをかけたりとかそのぐらいはやるかもですけど、積極的にしたいというのはないですね。それに、この体型でラウンドガールみたいに露出するのは(笑)。
RIZINガールの時の衣装の色がオレンジだったので、格闘技のユニフォームの色もオレンジなんですよ。技術、パワー、フィジカル。まだまだやらないといけないことは多いし、甘くはないんですけど、格闘家としてRIZINに戻りたいです。
撮影=細田忠/文藝春秋
(徳重 龍徳)
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