名監督でも名女優でもなく、お世話になった関係者でもなく……鈴鹿央士がもう一度会いたい“あの人”

2025年5月10日(土)7時0分 文春オンライン

広瀬すずが「あの子、背が高くてスタイルもいいから、声かけた方がいいよ」と…高校時代の鈴鹿央士を芸能界にスカウトしたワケ 〉から続く


 4月25日より上映中の映画『 花まんま 』では、フミ子(有村架純)の婚約者、中沢太郎を演じ、少し気弱なカラスの研究者を熱演した。作品の魅力と、鈴鹿央士がもう一度会いたい人物を尋ねた。(全2回の後編/ 最初から読む )



鈴鹿央士さん ©︎石川啓次/文藝春秋


◆◆◆


出演映画で演じた“カラスの研究者”


——映画『花まんま』で鈴鹿さんが演じた中沢太郎さんは、〈フミ子さんの婚約者で、同立大学の助教でカラスの研究者。まっすぐでお人よしな青年〉と紹介されています。ご自身で太郎さんに似ている、または違うところがあるとすれば、どんなところだと思いますか?


鈴鹿央士(以下、鈴鹿) 僕は太郎さんほど誠実ではなくて。太郎さんはフミ子さんから秘密を打ち明けられたときもそうですが、何か起きたときに物事をちゃんと理解したい人。人に寄り添う気持ちも強いし、太郎さんの誠実さは素敵だなって思うんです。僕も何かあればちゃんと理解したいって思うのですが、太郎さんとは少し違うといいますか。


——そうなんですか……?


鈴鹿 太郎さんは人のことを思って理解したいと思える人で、僕は自分が前に進むために、自分がわからないまま進むのがイヤで理解したいと思う人なんです。他者に優しい太郎さんとは違い、自分が納得したいから理解したいというのはただの自分の欲だなと。僕も太郎さんのようになりたいです。


——今回の映画のために役作りなど意識したことはありましたか?


鈴鹿 太郎さんは「学者肌で気弱」と台本にあるのですが、この「気弱」の部分はたった一言の情報でもちゃんと役に残しておこうと思いました。


——気が強いフミ子さんの隣で、前に出るでもなく優しさもありますよね。


鈴鹿 はい。それからカラスの研究者の役で、カラスと喋る場面が何度かあったので、カラスについて自分なりに調べたんです。カラスは大きく分けると日本には2種類いて、「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」がいるんです。住宅街でもよく見るカラスなのですが、クチバシの形や頭部の大きさ、鳴き声や鳴き方も違うみたいで、前田(哲)監督に「映画に出てくるのはどっちのカラスですか?」と聞いたら「ハシボソガラス」と言われたので、ひたすら「ハシボソガラス」の鳴き声を聞いていました。家で1人「ガーガー」「グァー」と録音しながら、「これはちょっと違うな」「ここもっと声上げよう」って練習していました。そんな体験は初めてでしたが、楽しかったです(笑)。


——映画では声も動きも本当にカラスと喋っているように見えました。


鈴鹿 本当ですか? ありがとうございます! 嬉しいです。撮影中、監督に「もうちょっと(カラスっぽい感じ)足せる?」と言われて、僕もそうした演出をされたのも初めてだったのですが、「頑張ります!」と言いながら「カァ」「グワー」とか何度もやりました。そうすると、次第にカラスが僕の「カァ」に反応してくれるようになって、こっちを見ていたり、首をカクって傾けたり、その様子が可愛らしくて本当に会話しているなって思いました。カラスと対話している様子がそのまま映像にも出ているなと思います。


——カラスを怖がる人もいますが、いかがでしたか?


鈴鹿 はじめは野生のカラスはゴミを荒らしたり、人を襲うこともあると耳にすることもあったので、どうなんだろうと思っていたのですが、僕も「カァ、カァ」言いながらカラスと会話している気分になっていったし、怖いという感情は全くなくて、触らせてもらったりしました。


「僕がテレビや映画に出ている姿を見せてあげたかった」


——映画の紹介として『失われた人との時間は、もう二度と戻ってこない。でも、「再会」を贈ることができるなら、あなたはその贈り物を届けに行きますか』とあります。鈴鹿さんは、再会したい人はいますか?


鈴鹿 いっぱいいます。一回お仕事でお世話になった方や、ご一緒した方との再会とか。最近はそうした機会も少しずつ増えてきて、この映画の前田監督もそうですが、また現場でお会いできてすごく嬉しかったです。


 あと、僕の祖父母に会いたいです。母方の祖父母は健在で、「『MEN’S NON-NO』買ったよ」って僕のモデル姿を見てくれるし、テレビや映画に出ている姿を見せることができて良かったなって思います。父方の祖父母は僕が中学2年生のときに2人とも亡くなっているので、生きている間にそうした姿を見せられたら良かったなって思います。


共演者と話をして忘れられないことは……


——今回共演された鈴木亮平さんと有村架純さんとは現場ではどんなお話をされましたか?


鈴鹿 役の話はもちろん、たこ焼きの話もしました。前田監督と(ファーストサマー)ウイカさんは大阪出身で、(鈴木)亮平さんと有村さんは兵庫県出身で、僕は岡山なので、関西の隣ってことで、子どもの頃からたこ焼きをよく食べているメンバーでした。


 どこのたこ焼きが美味しいとか、小さい頃はたこ焼きが100円だったよねと、僕も思い出しながら、たこ焼きの具材では前田監督はこんにゃくを入れたりするみたいで、たわいない話をしていました。休憩中もみんなで穏やかに雑談する時間も楽しかったですし、そんな空気感も映像に出ていたらいいなと思っています。


撮影 石川啓次/文藝春秋
スタイリング 松川 総
ヘアメイク TAICHI NAGASE(VANITÉS)


(松永 怜/週刊文春CINEMA オンライン オリジナル)

文春オンライン

「鈴鹿央士」をもっと詳しく

「鈴鹿央士」のニュース

「鈴鹿央士」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ