民放キー局各社、AIの積極活用を推進へ 効率化・コスト削減、コンテンツ開発力の強化図る

2025年5月17日(土)5時0分 マイナビニュース


民放キー局を傘下に持つ持株会社の2024年度決算が16日、出そろった。各社が事業戦略を発表する中で相次ぎ言及しているのが、「AI(人工知能)」の積極的な活用。効率的な制作費の運用や、ネット上に膨大なコンテンツがあふれる中で企画開発力の強化を狙い、AIの導入を加速させる方針だ。
○日テレ、年間10万時間生み出してクリエイティブ業務に
日本テレビは、コンテンツ企画制作への「AIエージェント」の実装を推進。企画開発支援、権利処理代行をはじめとする各部門業務特化型のエージェントを導入し、年間10万時間を生み出すことで、クリエイティブな業務時間の創出を図る。さらに、コンテンツを客観的に分析し、ヒットコンテンツの再現性向上を目指す。
全社プロジェクトとして実施し、25年度には多様なデータに基づきコンテンツ戦略を行う「編成エージェント」、26年度には知見を生かしてヒットコンテンツの確率を上げる「制作エージェント」、27年度には「PRエージェント」を導入。コンテンツ企画制作の川上から川下までを網羅するとしている。
○テレ朝、“コミュニケーションロボット”など番組で続々活用
テレビ朝日は、実用化が進んでいるAI技術の活用事例を紹介。出演者とトークテーマに合わせて自律的に会話する“コミュニケーションロボット”を開発し、「ソウダネ・チョイスくん」が『日曜マイチョイス』に出演している。
また、AIで人物の形状を認識することで、グリーンバックを使わずに演者と背景CGを合成する「AI人物マスク」を導入。『MUSIC STATION スーパーライブ2024』や『サタデーステーション』で運用している。
○テレ東、 全社員にAI活用スキル必須化
テレビ東京は「“AI活用先端企業”へ脱皮し全社的に活用する」と宣言。業務の効率化、大幅なコスト削減を実現し、そこで生み出されたリソースをコンテンツ価値の最大化に投入することで、さらなる成長につなげることを目指す。
この実現に向けて、スペシャリストの人材獲得を強化。また、AI技術を活用した制作や運営など、生成AIを使った新しいビジネスモデルを構築するため、AIスキルやデータサイエンスを全社員の必修科目として強化する。
○フジ、新社外取締役が全社横断組織のアドバイザーに
フジテレビは、一連の問題を受けた「改革アクションプラン」で、生成AIをはじめ先端技術の積極活用・DX強化により、グループのコンテンツ制作力・開発力・展開力を飛躍的に向上させることを掲げた。映像エフェクトの高度化、コンテンツ価値の多角的なデータ解析やマーケティング強化、プロセス効率化の実現を目指すとしている。
この発表に先立ち、「AI利活用委員会」の設置を発表。ビジネス部門や技術部門などの全社横断組織となる予定で、アドバイザーには3月に社外取締役に就任した稲田雅彦氏(42)が就任予定だ。稲田氏はAIの利活用に知見がある専門家で、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長(6月退任予定)は「メディアコンテンツの将来に向けての知見を備えているということで、若いですけれども非常に期待しております」と話している。

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