永瀬九段 すっぽん効果? 名人戦初勝利 対藤井名人の先手番タイトル戦も12局目で初勝利
2025年5月19日(月)0時52分 スポーツニッポン
◇第83期名人戦7番勝負(第4局2日目)(2025年5月18日 大分県宇佐市・宇佐神宮)
将棋の藤井聡太名人(22)=王将を含む7冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑む第83期名人戦7番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)は18日、大分県宇佐市の宇佐神宮で第4局2日目が指し継がれ、先手・永瀬が141手で勝利した。名人戦初登場の永瀬はカド番で初勝利。対戦成績を1勝3敗とした。
1日目夕刻、同一局面が4度現れる千日手が成立した。永瀬が後手から先手になりこの日午前9時、初手から指し直した熱戦を制した。
戦型は角換わり。両者の対戦成績は藤井の25勝8敗。その計33局中、角換わりへ進んだのは18局あり、最も習いのある戦型をぶつけ合った。
「作戦段階で準備の薄い将棋を指してしまった」。千日手で急きょ、先手で指すことになった事情もあっただろう。永瀬は27手目、用意の作戦を繰り出したが、効果に不満が残った。先手番では対藤井のタイトル戦12局目で初勝利を挙げたが終局後、憤り交じりの言葉を残した。
昼食メニューは藤井が「旨味凝縮!濃厚つけ麺」、永瀬は安心院(あじむ)すっぽん名人御膳と宇佐米勝ちえびまんだこっち焼きを選択した。
当地の名産にすっぽんがあり、永瀬は16日の前夜祭で「私は食べるのが好きで、今回初めてすっぽん料理をいただく。明日からが楽しみ」とあいさつした。勝負が佳境を迎える2日目の昼食は軽めに済ませる棋士が多い中、午後の長い戦いを見据えての判断でもあった。終局は全8冠中最長の持ち時間9時間の名人戦としても遅い午後10時16分。元々スタミナ自慢の永瀬が先見の明も証明した。
藤井は第68期の羽生善治名人以来15年ぶりの名人戦ストレート防衛を逃した。「読み抜けや誤算、読みの精度が足りなかった」。優勢の将棋を逆転され、力なかった。
第5局は29、30日、茨城県古河市「ホテル山水」で指される。