【べらぼう 大河絵(べらぼう絵)】第19話 粋な2つの置き土産...さらば!愛しき“鱗の旦那”

2025年5月25日(日)17時1分 スポーツニッポン

 俳優の横浜流星(28)が主演を務めるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(日曜後8・00)の第20話が25日に放送される。先週の第19話では、これまで何度も蔦重(横浜流星)と衝突してきた鱗形屋(片岡愛之助)の“ラスト回”が描かれた。粋で真っすぐな江戸っ子2人の涙…。石井さんが感動回を描いた。

 先週の第19話は「鱗(うろこ)の置き土産」。鱗形屋(片岡愛之助)のお抱え作家・恋川春町(岡山天音)は、鶴屋(風間俊介)で書くことが決まった。同じ頃、蔦重も春町の獲得に狙いを定め、作戦を練る…という展開だった。

 本をつくるきっかけ、商売のやり方…蔦重に大きな大きな影響を与えてきた鱗形屋。しかし、大火によって経営難に苦しむ中で、人としての魅力を感じるとともに、その分“ライバル”になると自身に脅威となると感じ、敵対関係の道を歩んできた。そんな鱗形屋が、蔦重に優しくも儚い目をしながら言った。

 「おめえさん、ひとつ春町先生を鶴屋さんとこからかっさらってくれねえか?」

 店を畳むことになり、お抱えで自分を慕ってくれていた春町の去就。鱗形屋の敵は自分の敵。大真面目な春町は、蔦重を嫌っていた。だが、蔦重の熱い本への思いに触れ、「古い」と流行や売れ筋ばかり気にして過去のヒット作の“リメイクでいい”という鶴屋や西村屋への募る不信感。葛藤する中で、自身の信念である「誰も読んだことの内新しいもの」への蔦重の共鳴、そして周りを巻き込んでいく熱意に心が動かされていった。

 膝を突き合わせ語り合う鱗形屋と蔦重。そこで、大火の中で唯一つ無事だった「塩売文太物語」の版木を蔦重に託す。それは蔦重が生まれて初めて買った赤本のものだった。吉原で生きていく中で、瀬川と自身の心を守ってくれた宝物の本。蔦重の頬に涙が伝った。

 その姿を見る“鱗の旦那”の表情。それは今までの関係を後悔する気持ち、同じ本を愛するものとして出会い戦ってきた戦友への感謝、そして未来を信じる男に託せた…バトンを渡せた安ど感…。数えきれない思いが心を巡った、切なく格好良い笑顔だった。

 「ウチの本を読んだガキが、本屋になるってよぉ…びっくりがしゃっくりすらぁ!!!」

 鱗の旦那が残した「春町」と「宝物の本の版木」という2つの「置き土産」。打ち合わせで今回のシーンを振り返る編集オジサン2人は目を真っ赤にし、それを石井さんが優しい笑顔でずっと見守っていたのは言うまでもない…。

 第20話は「寝惚(ぼ)けて候」。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画を手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2023 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2023 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。スポニチアネックスでの大河絵連載は「鎌倉殿の13人」(2022年)から始まり4年目。

スポーツニッポン

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