鴎外の交友浮かぶ献呈本 森鴎外記念館で特別展
2025年5月26日(月)17時16分 読売新聞
鴎外に贈られた本(文京区立森鴎外記念館蔵)
本を出す人間は、読んでもらいたい親しい友人や世話になった知人、尊敬する先生たちに自著を贈るものだ。その「献呈本」に着目した特別展「本を捧ぐ—鴎外と献呈本」が、東京都の文京区立森鴎外記念館で開かれている。
<呈 森林太郎君>
<謹呈 森鴎外先生>
会場には、余白に様々な文言が書き込まれた「献呈本」が並ぶ。わずかな言葉や署名の仕方の違いで、贈る側と贈られる側の関係性が浮かび上がる。「献呈本」とは、本を出版した人間の心の交流を刻んだ貴重なドキュメントなのだと分かる。
今回の展覧会は、改めて献呈本の魅力を伝えようと企画された。歌人の石川啄木や詩人の北原白秋らから鴎外に贈られた本と、鴎外が様々な人に贈った本の2部から構成され、約100点の資料を展示した。夏目漱石が鴎外に贈った本も見ることができる。2人は親しい交際の様子はうかがえないとされるが、自著を贈るような交流があり、敬意を払っていたことが伝わる。6月29日まで。