妻をレイプし続けてきた義兄を毒殺…北朝鮮のドロドロ事件

2020年1月3日(金)16時10分 デイリーNKジャパン

北朝鮮北東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)明川(ミョンチョン)の裁判所は昨年12月、30代の農場員の男性に対して無期教化刑(無期懲役刑)の判決を言い渡した。妻を長年苦しめてきた義兄に対する復讐劇の結末だ。


現地のデイリーNK内部情報筋によると、明川の協同農場に勤める30代男性のAは3年前、地元の女性Bと結婚した。新居を見つけられなかった夫婦は、妻の姉Cとその夫Dが暮らす家に居候して新婚生活をスタートさせた。


ところが、Aが妻Bに夜の営みを持ちかけても、断られ続けた。姉夫婦がいるからなのか、自分が嫌われているからなのか、疑問を抱いたAはBを呼んで問いただした。Bの口から語られたのは、義兄Dからの性暴力被害の告白だった。


妻Bは、結婚前から姉夫婦と同居してきたが、義兄Dに性暴力を受け続けてきたというのだ。BがAと結婚した後も、義兄Dは「お前の夫にバラしてやる」と脅迫し、Bに対する性暴力を繰り返した。Bは何度も妊娠し、違法行為である中絶手術を繰り返してきた。


告白を聞いた夫Aは激怒し、「義兄Dを殺さなければ家庭を守れない」と考え、犯行を計画した。


今年9月、Aは義兄夫婦を招待して食事会を催した。Aは、義兄Dのスープ皿に殺鼠剤(ネズミ捕りの薬)を入れた。それを飲んだDは、食事の後に急に腹痛を訴え、病院に運ばれたが、口から泡を吹いて倒れ死亡した。


これに疑問をいだいた義姉Cが保安署に捜査を依頼した。保安署は食事会に参加した全員を取り調べた結果、Aの犯行が明らかになったというものだ。


北朝鮮では殺人に対して死刑が宣告されることが多いが、裁判所は今月初め、義兄Dの悪行を認めつつも、計画的な犯行であるとして、Aに対して死刑ではなく無期懲役刑を言い渡した。



被害者の妻Bのその後について、情報筋は触れていない。ただ、「性暴力の被害に遭ったのは、女性の落ち度」と考える北朝鮮の風潮を考えると、もはや明川では暮らしていけないだろう。

デイリーNKジャパン

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