金正恩が重病患者に送っていた「水銀入り」の漢方薬

2025年4月22日(火)4時59分 デイリーNKジャパン

日本テレビは17日、韓国規制当局の報告書に基づき、北朝鮮が製造した医薬品に水銀やヒ素などの有害金属が大量に含まれていることが明らかになったと報じた。


報道によると、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)は2025年1月、中国国内で販売されていた北朝鮮製の医薬品や健康補助食品について、成分の分析。その報告書によると、解熱効果などをうたう「安宮牛黄丸」からは、水銀が韓国の基準値の4万倍を超える9556ppm検出されたという。


このニュースを見て、ある出来事を思い出した。


国営の朝鮮中央通信は2022年6月16日、「敬愛する金正恩総書記が黄海南道海州市で、急性腸内性伝染病が発生したことを受けて6月15日、家庭で用意した薬品を朝鮮労働党黄海南道海州市委員会に送った」と伝えている。つまりは、重病に苦しむ国民に向けられた最高指導者の「慈愛」に関する「美談」である。


この記事では、どのような医薬品を送ったかは明らかにされておらず、北朝鮮の公式メディアが続報を伝えることもなかった。しかし後日、デイリーNKの現地情報筋が伝えたところでは、海州市には件の「安宮牛黄丸」を含む漢方薬が届けられたという。


果たしてこれが、日本テレビが報道したのとまったく同じものなのか、より管理がしっかりなされた別物なのかは詳らかでない。また、さすがに金正恩氏の家庭の専用薬だけで伝染病に対応できるはずもないから、当局が別に確保した薬を一緒に送った可能性もある。


また、独裁者の健康を何より尊ぶ北朝鮮だけに、金正恩氏はより高品質な外国製の医薬品を使っている可能性は高いと言えるだろう。しかし、何かと言うと「国産品を愛用せよ」と繰り返してきた金正恩氏だけに、もしかしたら、ということもあり得ないではない。


北朝鮮のような極端な独裁体制の弱点は、まさに独裁者そのものだ。独裁者が死亡したり病に倒れたりすれば、権力の巨大な空白が生じかねない。そのうえ、金正恩氏の後継者説が取りざたされている娘は、まだ10代前半の少女である。



だから独裁者の健康管理は最優先事項なのだが、それを邪魔する要素があるとすれば、独裁者のワガママにほかならない。金正恩氏の「ヘビースモーカー」ぶりが、その証拠と言えるだろう。


となれば、金正恩氏が周囲の心配をよそに、国産の「危ない薬」を口にしてしまうことも、あり得ないことではないだろう。

デイリーNKジャパン

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