トランプ氏、スエズ運河の無料通航も主張…建設はフランス人・現在はエジプト政府が管理
2025年4月27日(日)18時56分 読売新聞
トランプ大統領=AP
【ワシントン=淵上隆悠、カイロ=西田道成】米国のトランプ大統領は26日、SNSへの投稿でパナマ運河とスエズ運河について、「米国の船舶は軍用か商用かを問わず、無料で通航できるようにするべきだ」と主張した。「両運河は、米国なしには存在しない」とも述べ、ルビオ国務長官に対応を指示したと明らかにした。
トランプ氏は1月の就任演説で太平洋と大西洋を結ぶ中米のパナマ運河について、「中国が運営しているパナマ運河を取り戻す」と述べた。その後も通航料金が高いと不満を示し、パナマ運河の「奪還」をたびたび強調しているが、欧州とアジアを結ぶ主要航路にあたるスエズ運河には言及していなかった。
地中海と紅海を結ぶ総延長約193キロ・メートルのスエズ運河は、アフリカ大陸の南端を回らずに欧州とアジアをつなぐ海運の要衝だ。フランス人のレセップスによって建設され、1869年に開通した。1956年にエジプトが運河の国有化を宣言し、反発した英仏などが軍事介入して「スエズ動乱」へと発展したが、米国などの反対で撤退した。
現在はエジプト政府が運河を管理し、スエズ運河庁によると、世界貿易の約12%がスエズ運河を経由している。
一方、全長約80キロ・メートルのパナマ運河は米国が整備して1914年に開通した。99年にパナマに返還されるまで、運河は米国の管理下にあった。