新ローマ教皇「レオ14世」、10万人の観衆を前に最初のメッセージ…イタリア語で「あなた方に平和がありますように」

2025年5月9日(金)10時13分 読売新聞

新教皇となったプレボスト枢機卿(8日)=ロイター

 【ローマ=倉茂由美子】ローマ教皇フランシスコの死去にともない、バチカン市国で開かれていた新教皇選出会議(コンクラーベ)は、開始から2日目の8日午後、米シカゴ出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)を、第267代教皇に選出した。新教皇は「レオ14世」を名乗る。米国出身の教皇は初めて。国際社会が混沌こんとんとする中、新教皇が平和に向けてどのようなメッセージを打ち出していくのか注目される。

 投票は7日午後に始まり、4回目での選出となった。コンクラーベが行われていたシスティナ礼拝堂の煙突から、8日午後6時(日本時間9日午前1時)過ぎ、新教皇が決まったことを知らせる白い煙が上がり、サンピエトロ大聖堂の鐘が鳴らされた。

 その約1時間後、同大聖堂の中央バルコニーに姿を現した新教皇レオ14世は、大聖堂前の広場に詰めかけた約10万人の観衆に手を振り、イタリア語で「あなた方に平和がありますように」と演説を始め、「対話と出会いを通じ、橋を架けましょう」と平和を訴えた。

 レオ14世は、南米ペルーを拠点として宣教活動に長年取り組んできた。ペルー北西部チクラヨの司教などを務め、ペルー国籍も持つ。2023年に前教皇フランシスコによってバチカン(ローマ教皇庁)の重要省庁である司教省長官に任命され、世界中の司教の選任に重要な役割を果たしてきた。

 貧困層や移民、環境問題などに献身的に取り組む姿勢は前教皇フランシスコに近い一方、キリスト教の教義を重視する姿勢も示しており、米紙ニューヨーク・タイムズによると、周囲からは「威厳ある中道派」と評されている。

 前教皇は、開かれた教会を目指し、同性カップルに対する「祝福」の許可や教皇庁での女性の登用など改革を進めた。伝統を重んじる保守派の反発もあり、教会内の分断が進むことに懸念もあった。

 世界で約14億人の信徒を束ねることになるレオ14世は、前教皇の改革路線を引き継ぎつつ、保守派とのバランスを意識した対応を取るとみられる。カトリック離れで悪化した財政の立て直しや、聖職者による性的虐待問題への対応といった課題もある。

 今回のコンクラーベには、80歳未満の枢機卿のうち133人が参加し、選出には3分の2にあたる89人以上の得票が必要とされた。

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