トランプ氏、プーチン氏への停戦呼びかけ不発…仲介役から退く憶測広がる
2025年5月20日(火)11時34分 読売新聞
トランプ大統領(19日)=AP
【ワシントン=淵上隆悠】米国のトランプ大統領は19日、ウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領と電話で会談した。プーチン氏に停戦を呼びかけたが、不発に終わった。トランプ氏は会談後、ロシアとウクライナが直接交渉する必要性を強調しており、仲介役としての関与を薄める可能性が指摘されている。
会談は日本時間19日深夜〜20日未明に行われ、2時間以上に及んだ。トランプ氏は会談後、「この戦いをいつ終わらせるのか」とプーチン氏に訴えかけたと記者団に明らかにした。しかし、プーチン氏は応じなかった。トランプ氏は、ロシアに追加制裁を科す可能性を問われると「成果を得られる可能性があるのに、状況を悪化させてしまう」と慎重な姿勢を示した。
プーチン氏は会談後、記者団に「非常に有意義だった」と述べ、ウクライナと「将来的な和平条約に関して覚書をまとめる用意がある」と表明した。「最も重要なのは危機の根本原因を除去することだ」と強調し、ウクライナの非武装化などを優先する従来の主張を繰り返した。
ロシアはウクライナとの戦闘の前線で優位に立っている。停戦に応じる姿勢は乏しく、ロシアに有利な条件での停戦以外は受け入れる可能性は低いとみられる。トランプ氏は自らプーチン氏と会談することで局面の打開を狙ったが、「突破口を開いた兆しはほとんどない」(米NBCニュース)のが実情だ。
トランプ氏は会談終了直後、停戦について「ロシアとウクライナが直ちに交渉を始める」とSNSに投稿した。必要な条件はロシアとウクライナにしか分からないと指摘し、突き放したような言い方が目立った。「ローマ教皇を代表とするバチカンが交渉の場を設けることに関心があると表明している」と述べたため、仲介役から退くとの臆測も広がっている。
米露首脳は両国関係の改善には強い意欲を見せた。トランプ氏は「ロシアは米国と大規模な貿易を望んでいる。私も同意見だ」とSNSで強調した。ユーリー・ウシャコフ露大統領補佐官によると、両国は9対9の囚人交換を行う方向で協議を進めている。
トランプ氏はプーチン氏との会談後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や独仏伊、フィンランド、欧州連合(EU)の首脳と電話で会談し、プーチン氏との協議内容を報告した。