「極限関税」の圧力下における中国経済の実力―中国メディア
2025年5月29日(木)9時0分 Record China
25日、第一財経は「極限状態」の関税圧力を受けている中国経済が強靭(きょうじん)さを見せているとする記事を掲載した。写真は上海市にある洋山港。
2025年5月25日、第一財経は「極限状態」の関税圧力を受けている中国経済が強靭(きょうじん)さを見せているとする記事を掲載した。
記事は、米国から非常に厳しい関税の圧力を受ける中で、4月における米中間のモノの貿易額が中国から米国への輸出で前年同期比21%減、米国から中国への輸出で同14%減となったものの、両国間の貿易が完全に停止するような状況からは程遠く、米国による関税政策の即効性が低いことが示されたと紹介。また、中国によるASEANやインドなど非米国市場への輸出がこの2カ月で増加を続けていることからも、中国経済の強さがうかがえるとの見方を示した。
また、中国国内では産業のハイエンド化やスマート化、グリーン化が進んでおり、産業構造の転換が新たな経済成長の原動力を生んでいること、1〜4月の電力を除くインフラ投資も前年同期比5.8%と増加するなど好調を保っていることにも言及した。
さらに、金融面でも中国経済の強靭さが見て取れるとし、トランプ大統領当選後に大幅な下落が予測された人民元が、米国の経済例外論の崩壊やドル指数の急落などを背景に安定的な上昇傾向を呈していること、中国市場の株価も同様の安定性を見せており、中国政府がトランプ政権発足による影響を予見し早々に対策を講じた形となっていることを伝えた。
このほか、外資による人民元資産への投資意欲が引き続き良好であり、外資による国内債券持ち分が増え続けていること、トランプ大統領が145%の高い対中関税を発表した際に中国国内為替市場の取引が理性的な状態を保ち、パニック的な外貨購入が見られなかったこと、米ドルの下落により相対的に人民元が高くなる中で、国際決済銀行(BIS)による2〜4月の実質実効為替レート指数が3カ月連続で下落しており、中国の製品輸出競争力が損なわれたわけではないことなどに触れた。
記事は一方で、4月にはトランプ大統領の関税政策によって中国国内企業の様子見ムードが強まり、国内の生産と需要が減速したこと、政府による消費財買い替え政策で家電製品の消費が伸びた一方、自動車の小売額が減少していること、雇用状況は安定しているものの失業率がわずかに上昇したこと、商品住宅の取引が前年同期比で減少したことなどネガティブな要素についても指摘。米中間で関税の引き下げ合意がなされたことにより状況が改善される可能性があるものの、今後の両国による交渉で情勢が大きく変化する恐れもあることから、引き続き政府による積極的な政策対応と、外部環境の不確実性に対する備えが必要との見方を示した。(編集・翻訳/川尻)