世界初の「ウラン蓄電池」原子力機構が開発。劣化ウランを資源化
2025年3月14日(金)16時0分 マイナビニュース
日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、その化学的特性から“電池の活物質として潜在的な可能性をもつ”とされるウランを用いた「ウラン蓄電池」を世界で初めて開発。充放電性能を確かめたと3月13日に発表した。
同成果は、原子力機構 原子力科学研究所 NXR開発センター 大容量蓄電池開発特別チームの大内和希研究副主幹、同・植野雄大研究員、同・渡邉雅之研究主席らの研究チームによるもの。今回の技術に関しては、2024年11月に特許出願が行われた。
ウランの同位体の235Uを原子力発電の燃料として利用するためには、工程として「濃縮」を経る必要がある。その結果生成されるのが、235Uの含有量が低い「劣化ウラン」だ。
原子力規制庁が2024年5月に発表した「我が国における令和5年(2023年)の保障措置活動の実施結果」によれば、日本国内に約1万6,000トン、世界全体では約160万トンの劣化ウランが存在する。しかし、現在の原子力発電の主力である軽水炉においては、劣化ウランは燃料として利用できない。そのため増加の一途をたどっており、放射性物質として厳重に保管する以外にないのが現状だ(高速増殖炉の技術が確立されれば、燃料として利用できるようになる可能性がある)。
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