OpenAI、今夏に”オープンウエイト”AIモデル公開へ - 業界の潮流に対応する戦略転換
2025年4月1日(火)8時4分 マイナビニュース
米OpenAIは3月31日(現地時間)、高度な推論能力を備えた「オープンウエイト」のAI言語モデルを今夏に公開する方針を明らかにした。これは、同社にとって2019年のGPT-2以来となる「オープン」な形でのモデル提供であり、過去数年間にわたって採用してきた「クローズド戦略」からの大きな転換となる。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは、Xへの投稿で「このこと(オープンウエイトモデル提供)については以前から検討していたが、他の優先事項により先送りにしてきた。今こそ、実行に移すべき時だと感じている」と述べた。
we're releasing a model this year that you can run on your own hardware https://t.co/0ji9oezNyr— Steven Heidel (@stevenheidel) March 31, 2025
この新たなオープンウエイトモデルは、OpenAIが定める「Preparedness Framework」に基づき、安全性や悪用リスクの観点から事前評価が行われる。近日中にサンフランシスコで開発者向けイベントを開催し、初期プロトタイプのテストとフィードバックの収集を開始する。さらに、欧州やアジア太平洋地域でも同様のセッションが計画されている。また、「Open model feedback」というフィードバック専用サイトを開設し、開発者、研究者、AIコミュニティなどから幅広い意見を募集している。
大規模言語モデルは、ニューラルネットワークと呼ばれる数学的構造に基づいて構築されている。これは、人間の脳神経の仕組みを模倣したものであり、各接続の重要度を示す数値が「ウェイト(重み)」である。「オープンウエイトモデル」とは、このウェイト情報を一般に公開するものであり、研究者がモデルの内部挙動を分析したり、開発者が特定の用途に合わせてカスタマイズしたりすることが可能となる。
OpenAIは、GPT-3以降、Microsoftとの提携のもとで商用展開を強化し、モデルのウエイトを非公開とするクローズド戦略へと移行した。同社の主力製品であるChatGPTは、クラウドやAPI経由での提供に限定されており、これは「ブラックボックス型AI」と呼ばれ、透明性やカスタマイズ性に乏しい点がしばしば批判の的となっていた。
今回の戦略転換の背景には、 Metaの「Llama」や中国DeepSeekなど、オープンウエイト戦略を採るライバルの急速な台頭がある。MetaのLlamaはすでに10億回以上ダウンロードされ、DeepSeekはモデルの軽量性と低コスト学習で高評価を得ている。
こうした状況を踏まえ、OpenAIが新たに投入するオープンウエイトモデルは、開発者や企業にとって、より安価で柔軟性が高く、機密性の高い用途にも適した選択肢となる可能性が期待されている。