ソフトバンク、2025年3月期決算を発表 - 連結営業利益は9,890億円、来期は1兆円を予想

2025年5月8日(木)22時14分 マイナビニュース


ソフトバンクは5月8日、2025年3月期(2024年度)の決算を発表した。連結業績は、売上高が前期比8%増収の6兆5,443億円、営業利益は前期比13%増益の9,890億円の増益で、好調な決算となった。
○連結業績は増収増益、2025年度の営業利益予想/純利益予想は引き上げ
セグメント別に売上高/営業利益を見ても、全セグメントで増収増益となっている。純利益は前期比8%増の5,261億円となった。
この業績は、2025年に9,700億円の連結営業利益を計上するという現行中期経営計画(2025年度まで)の目標を1年前倒しで達成したことになる。これを受けて、中期経営計画の連結営業利益予想を上方修正し、2025年度の営業利益予想は1兆円(+α)に引き上げた。これに伴い、連結純利益予想も5,350億円から5,400億円に上方修正し、過去最高益を目指すとしている。
○コンシューマ事業は契約数の純増が継続中
コンシューマ事業のモバイル売上高は2期連続の増収となっており、2025年度まで3期連続の増収を見込んでいる。スマートフォンの累計契約数は前年から104万件増の3,177万件となり、今後も拡大を見込んでいる。
「ソフトバンク」「ワイモバイル」の両ブランド間の移行においては、2024年度の上期・半期ともに「ソフトバンク」への移行のほうが多いプラスの状態となった。2024年度通期のARPUは3,740円で前期と変わらず。スマートフォン解約率は前期の1.08%から1.30%へ増加しているものの、インセンティブを狙って短期でのりかえるユーザーがいることが要因とし、大きな問題とは考えていないようだ。
ネットワークについては、5G端末の比率が順調に上昇しており、他キャリアと比較してもソフトバンクの5G接続率は高いという。5G通信のデータ量は2025年3月時点で前年同時期の1.8倍と順調に増加。通信データ量は増加しているがスループット分布に変動は見られず、高品質な通信を維持できているとのこと。5G SAのエリアも全国の主要都市で拡大しており、全国展開ののちにはスライシングや低遅延を活かしたサービスの投入を予定しているという。
エンタープライズ事業では2025年度、AX(AI Transformation)インテグレーターとしての基盤構築に注力するという。2025年1月にはAiを活用してカスタマーサポートを効率化する自社開発のSaaS「X-Boost」(クロスブースト)を発表しており、さらには導入企業専用のAIモデルを構築してのコールセンター業務自動化までを目指していく考えだ。
メディア・EC事業とファイナンス事業は、PayPayの上場準備がはじまっていることもあり、2025年度予想は合算しての開示となる。2024年度の営業利益実績はメディア・EC事業が2,673億円でファイナンス事業が332億円の計3,005億円だったが、2025年度は2桁(10%)増益の3,300億円を目指すという。
宮川社長はPayPayの上場について「本音ではまだ早いと思っている」としながらも、社員のモチベーション向上や採用のためのステータス向上などを狙いとして上場したいという希望があってそれを許可したと語った。
また、ソフトバンクとしての今後の注力領域としては、「AIデータセンター」「国産LLM(Sarashina)」「ソブリンクラウド」「次世代メモリ技術」「クリスタルインテリジェンス」を挙げた。このうち日本語国産LLM「Sarashina」については宮川社長自身がデモを行い、日本の法制度や慣習も踏まえた回答ができる点をアピール。2025年夏に、まずはテキストベースのチャット型サービスとして提供を開始する予定だ。
また、「次世代メモリ技術」については、AIの中心が推論にシフトしていくことを見越し、大量のデータを処理する際にメモリの性能がボトルネックになるという予測からの取り組みだという。この日は詳細が明かされなかったが、大学で研究されているメモリ技術に有望なものがあり、そのサンプル作成に資金を提供するという形での参加をするということのようで、将来的にメモリ生産を事業化するということではなく、高性能メモリの開発を後押しして将来それを利用したいという考えだ。
クリスタル・インテリジェンスについては、引き続きOpenAIとの議論を進めており、社内にもCEO直轄の担当組織を設置したという状況。先日、OpenAIが事業の収益化を断念したという報道もあったが、クリスタル・インテリジェンスに影響はないとの回答をOpenAIから得ているとのことだった。
○業界の健全な成長のために価格見直しは必要、ただし動く時期は見極める方針
質疑応答では、直近にドコモ/auが発表した料金プラン見直しにソフトバンクも追従するのかという質問があった。これに対しては、「通信業界は世の中の流れに反して値下げが続いてきた」「業界の健全な成長のためにも価格の見直しは必要」とし、2社に追従する意向を示した。ただ、その時期については「いつがベストなのか考えたい」とし、また両社が従来プランに付加価値を追加したうえでの値上げという形をとっているのに対し、同様の形をとるかどうか、またどういった付加価値をつけることを検討しているかについては、「まだ語る時期にない」として詳細は未定であるとした。
また各社のサブブランド戦略については、ソフトバンクとしては「ワイモバイル」ブランドでユーザーにとっての間口を広げ、「ソフトバンク」ブランドの「ペイトク」などにアップセルしていく戦略がうまく働いていくことから、サブブランド縮小は今のところ考えていないとした。
また、衛星直接通信については、形やパートナーとなる衛星会社については現状では明かせないとしつつ、準備は進捗しており2026年にはサービスの提供開始を予定しているという。またHAPSについても、国土交通省との折衝が進んでいるようで、区切りがつけばあらためて発表をするとのことだった。
また、4月25日に発表された独OpenSignalによる日本のモバイルネットワークについての調査においてauの評価が高かったことについては、「競争することはいいこと。次回は必ず巻き返すというのが我が社の回答」とし、同社の技術陣にもはっぱをかけた。

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