Appleの覇権に一石を投じる「Fortnite騒動」決着目前か? 北米版App Storeで5年ぶりの配信始まる
2025年5月26日(月)17時0分 J-CASTニュース
世界的人気のシューターゲーム『Fortnite』が、北米版iOSに戻ってきた。
この話題は、Appleがアプリ開発者に対して「どこまで手数料を徴収できるか」という問題にからんで大きく注目されている。
いわゆる「Apple税」は、App Storeを利用している以上は避けられないものなのか? しかし、最大30%にも上る手数料はあまりに法外ではないのか?
そうした議論に火をつけたのが「フォトナ騒動」を振り返ろう。
アプリ外課金にも手数料を設けたApple
ほとんどのオンラインゲームには「アプリ内課金」という機能がある。これを使ってアイテムを購入するのだが、Appleはこのアプリ内課金に最大30%の手数料を設定している。
これは、アプリ開発者には「Apple税」と揶揄されるなど、大きな負担であることは容易に想像できる。
Fortniteの開発企業Epic Gamesは、これだけの手数料を設定しながら、ゲーム内にアプリ外での決済ができる仕組み(いわゆる「アプリ外課金」)を設けないAppleに対して強い不満を表明。訴訟に踏み切るに至った。
これが2020年の「Fortnite削除事件」の引き金となった。App StoreからFortniteのダウンロードができなくなったのだ。
それから5年が経過した。この間、Epic GamesがAppleとの訴訟を繰り広げ、ある面ではAppleに不利な判決が出た。
Appleのアプリ内課金に対する手数料については、引き続き実施できる(この面ではEpic Gamesの敗訴)が、同時にアプリ外課金ができるよう、外部リンクを設けなければならない—-という判決だ。
この判決に従いつつ、Appleはアプリ外課金にも手数料を課すことを表明した。
なお、カリフォルニア北部地方裁判所が公開している裁判資料を要約すると、法廷はAppleがアプリ外課金に最大27%の手数料を課す行為は「反競争的」としている。
「Apple税はヨーロッパでもアメリカでも違法だ!」
Fortniteの「北米版App Store復帰」は、これらの法的措置を受けての出来事である。
Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは、この件について、当初から極めて強硬的・反骨的な姿勢を見せていた。騒動勃発当時、Epic GamesはAppleの手数料がいかに反競争的で不当かを啓蒙する動画を公開したほど。これはAppleが1984年に放映したCMのパロディでもある。
また、5月1日、スウィーニー氏はアプリ外課金に関する判決が出たことに言及する投稿をXで行っている。「Apple税はヨーロッパでもアメリカでも違法になった」とする主張だ。なお、EU域内では2024年からiOS版Fortniteの配信が再開されている。
この騒動は、「プラットフォームとアプリ開発者の関係性」に一石を投じる現象でもある。また、「ユーザーは何に対して料金を支払っているのか?」を考察するための絶好の材料でもある。
AppleとEpic Gamesの騒動はまだ尾を引く可能性があるが、一連の出来事は日本での「iOS版フォトナ復活」への大きな潮流になることは間違いないだろう。
(澤田真一)