「1回クビになって失うものがない」釣り好きの右利き左腕・石川達也 昨年DeNA戦力外から巨人中継ぎ陣の新星に
2025年2月10日(月)5時10分 スポーツ報知
シート打撃で力投する石川(カメラ・小林 泰斗)
巨人に新加入した石川達也投手(26)=DeNA=が9日、サンマリンスタジアム宮崎で行われたシート打撃に初登板し、打者8人に対して圧巻の5三振を奪った。計21球で1安打に抑え、開幕1軍へ猛アピールした。力強い直球に打者のタイミングを外すチェンジアップが効果的だった。また、先発候補では日本ハムから現役ドラフトで加入した田中瑛、2年目左腕の又木も好投し、阿部慎之助監督(45)も「こっちがなんかいろいろ迷っちゃうな」とうれしい悲鳴だ。
石川の左手から放たれた糸を引くような直球に打者は全く反応できなかった。オコエを外角直球で見逃し三振に抑え、堂々とマウンドを降りた。巨人のユニホームを着ての初めてのシート打撃で打者8人と対戦して5奪三振、1安打の圧巻の投球を披露。「一昨年の良かった時のチェンジアップにも戻ってきたし、真っすぐもこの時期にしては力強さも出てたし、良かったですね」と、さわやかに笑った。
カウント1—1からスタート。ドラフト3位の荒巻には中前安打を許したが、最速145キロの直球にチェンジアップも光り、オコエ、秋広ら右打者、左打者問わず三振を重ねた。杉内投手チーフコーチは「直球で差し込んでいた。フォームも独特だし、チェンジアップを意識したら真っすぐは手が出ない。監督もかなりいい評価していた」と拍手を送った。
田中将、マルティネスといった実績十分の投手を補強する中、昨季DeNAで15登板、防御率1・93ながらオフに戦力外通告を受けて入団した左腕。中継ぎとしてスタートとなるが、過去に2軍では先発として最長7イニングを投げた経験もあり「回をまたいで当たり前だと思っている」と、胸を張る。阿部監督も「もしかしたらロングとしていってもらうかもしれないし、回を重ねてどこかで先発の可能性もなきにしもあらず」と、新星の登場を喜んだ。
ボールも心も“抜き”を意識した。特にオフはチェンジアップの力の抜きどころを意識。データを確認しながら細やかな修正を重ね、手応えを得てきた。「DeNAにいた時からアピールしないといけない気持ちでしたけど、1回クビになって失うものがない。野球を楽しめれば、という気持ちで投げて結果も良かった」と、過度な力も入らず自分本来の力が発揮できた。
新たなチームメートと食事に積極的に出かけるなど早くもなじんでいる様子。趣味は釣りで「いろんな人に連れていってもらいたい」とおねだり。「まずは開幕(メンバーに)入れるように」。新天地で輝くために。まずは好スタートを切った。(水上 智恵)
巨人・石川達也アラカルト
▼生まれとサイズ 1998年4月15日、横浜市生まれ。26歳。178センチ、75キロ
▼球歴 小学1年時に野球を始める。横浜では楽天・藤平と同級生。3年夏に背番号10で甲子園に出場。法大を経て20年育成ドラフト1位でDeNAに入団。22年シーズン途中に支配下登録。昨季は15登板で防御率1・93。通算は46登板で0勝0敗5ホールド、防御率2・63
▼左投右打 右利きだが、幼少期に父の教えを受けて野球だけ左投げ。他の球技は右投げ
▼祖父愛 横浜2年時、夏の県大会準決勝・桐光学園戦でサヨナラ二塁打。4歳のときに初めてグラブを買ってもらった祖父・才寿郎さんが試合の4日前に急死。写真を左ポケットに忍ばせていた