新色まとうBMW/“体重の不利”払拭へ?/ヴァルキリーは例外etc.【WECプロローグ走行前日Topics】

2025年2月21日(金)9時42分 AUTOSPORT web

 2025年のWEC世界耐久選手権の開幕を1週間後に控え、2月21〜21日にはカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで公式テスト『プロローグ』が行われる。今季はアストンマーティン・ヴァルキリーがハイパーカークラスにデビューを飾るほか、メルセデスAMGがLMGT3のグリッドに加わるなど、見どころの多いシーズンとなる。


 新規参戦車両を含め、すでに各チームが走行に向けて準備を開始している20日木曜のパドックから、各種トピックスをお届けする。


■3車種がWECデビューへ


 WEC開幕戦のエントリーリストには、ハイパーカークラスに18台、LMGT3クラスに18台の計36台の車両がエントリーしている。これは、すでに確定しているフルシーズン・エントリーリストから変更はない。


 カタールのレースは、新型アストンマーティン・ヴァルキリーの待望の国際レースデビューとなるだけでなく、メルセデスAMG GT3 EvoのWECデビューイベントでもある。今季からエボパッケージに改められたBMW M4 GT3 EVOにとっても、開幕戦がWECでの初レースとなる。

009号車アストンマーティン・ヴァルキリー(アストンマーティンTHORチーム) 2025年WEC公式テスト“プロローグ”


■引退撤回で首位を維持


 今年は、合計28の国籍のドライバーが出場する。英国とフランスがそれぞれ16人でもっとも多く、続いてイタリアが14人、デンマークが7人、スイスが6人、ベルギーと米国がそれぞれ5人となっている。


 クリスチャン・リードが引退を撤回し、プロトン・コンペティションからLMGT3に出場することを決めたことは、このドイツ人ドライバーがチャンピオンシップでもっとも経験豊富なドライバーの座を守り続ける準備が整ったことを意味する。彼は今年の第1戦で87回の出走回数を数え、トヨタGAZOO Racingのセバスチャン・ブエミに1レース差をつけている。


 マンタイのリヒャルト・リエツは新シーズン開幕前に84回の出走で歴代3位につけており、トヨタのマイク・コンウェイ(79回)、フェラーリAFコルセのジェームス・カラド(76回)、トヨタのブレンドン・ハートレー(74回)と続いている。

歴代出走回数上位につけるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー擁するトヨタGAZOO Racing


■スタート時刻変更の影響は?


 カラドは来週のカタール1812kmレースのスタート時間が正午から14時へと2時間繰り下げられたことによって、レースの進行に大きな影響が出るとは考えていない。


 この英国人はSportscar365に次のように語った。


「正直言って、影響はないと思う。カタールは午後のある時間から夜にかけて、通常かなり安定している。あまり変わらないんだ。気温はかなり安定しているので、僕にとってはたったの2時間だ。大きな違いではない」

この時期の現地の日の入り時刻は17時30分前後。14時スタートの決勝は最大10時間レースとなるため、半分以上はナイトセッションとなる


■20号車は赤・黄・黒に変身


 ベルンハルト・デマーは、チームWRTからBMWハイパーカープログラムの新しい運営責任者に任命された。


 このドイツ人はザウバーでトラックインフラとロジスティクスの責任者を務めた後、チームに加わった。以前はポルシェ・ペンスキー・モータースポーツでゼネラルマネージャーを務め、マンタイ・レーシングでの6年間の在籍中にさまざまな役職を務めていた。


 BMWは、2台のMハイブリッド V8のカラーリングを更新し、M4 GT3 EVOの発売時のカラーリングによく似たグラフィックを採用した。さらに、20号車は赤、黄、黒という新鮮なカラーリングで彩られている。一方、姉妹車である15号車はミュンヘンブランドの伝統的なモータースポーツカラーを保っている。

20号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT) 2025年WEC公式テスト“プロローグ”


■アジアン・ル・マンから連戦のドライバーも


 今週末のプロローグに参加する12名以上のドライバーは、先週末アブダビで開催されたアジアン・ル・マン・シリーズの最終戦に出場していた。リストには、マルテ・ヤコブセン、アレッシオ・ロベラ、ジュリアン・アンドラウアー、ダビデ・リゴン、クラウディオ・スキアボーニ、マッテオ・クレッソーニ、ニコ・バローネ、セリア・マルタン、ミシェル・ガッティン、マティア・ドルディ、ライアン・ハードウィック、リエツ、リカルド・ペーラ、ベン・バーニコート、マルコ・ソーレンセンが含まれている。

アイアン・デイムスでWECデビューを迎えるセリア・マルタン


 アブダビから直接移動してきたチームは、プロトン・コンペティション、AFコルセ、マンタイの3チームだ。


 リードはアイアン・リンクスのメルセデスAMGの一員としてWECにフルタイムで復帰する一方、アブダビでレースに出場した息子のジョナスは今週末、バルセロナのカタロニア・サーキットで開催されるFIA F3のプレシーズンテストにAIX レーシングから参加する。


■性能調整の「ドッキングタイム」がより長く


 カタールラウンド向けに発行されたハイパーカーの性能調整(BoP)の一環として、各車のピットストップにおける給油の際の「追加ドッキングタイム」の時間が増大した。ただし、このクラスで唯一の非ハイブリッド車であるアストンマーティン・ヴァルキリーは例外であり、追加ドッキングタイムはなし(0秒)となっている。


 ドッキングタイムはLMDh車の場合は1秒だが、ハイブリッドLMH(フェラーリ499P、プジョー9X8、トヨタGR010ハイブリッド)は1.2秒となっている。

5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ) 2025年WEC公式テスト“プロローグ”


■基準体重は82kgか


 プロローグの週末中にハイパーカーおよびLMGT3のドライバーに対し、体重測定のセッションを義務付けたことから分かるように、WECは今シーズン、体重の重いドライバーが直面する不利をなくすためのバラスト規則を導入したと理解されている。


 ある情報筋は、基準重量が82kgに設定されているとSportscar365に示唆した。つまり、平均体重70kgのチームは、新しい要件を満たすために12kgのバラストを搭載する必要があるということになる。

TFスポーツのシボレー・コルベットZ06 GT3.Rで出場する6名のドライバー


■“部品取り車”の存在はNG


 ハート・オブ・レーシングチームは、昨年12月にカタールでプライベートテストに使用し、コンテナに保管されていた完全に組み立てられたテストカーを、分解せずにスペアパーツの供給源として使用できるかどうかについて、説明を求める要請を提出した。


 この要請は、規則により「使用目的が何であれ、リザーブ車両は許可されない」という理由で却下されている。


 また、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAからの説明要請を受け、スチュワードは、プライベートテストで使用されたタイヤをプロローグで使用できると明言した。

38号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA) 2025年WEC公式テスト“プロローグ”


 プロローグの走行は、金曜日の現地時間13時(日本時間19時)に始まる。このセッション1は3時間行われ、その後午後6時(同24時)からは4時間のセッション2が予定されている。


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