悲劇のタイヤ脱落も「責める気はない」。首位から転落した山下健太、後半の“テスト走行”に光明/SF第4戦

2025年4月20日(日)19時9分 AUTOSPORT web


 4月20日、モビリティリゾートもてぎ。自身3度目のポールポジションから全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝をスタートさせた山下健太(KONDO RACING)は、1周目で導入されたセーフティカー(SC)のタイミングで首位のままピットレーンへと飛び込み、タイヤ交換義務を済ませた。


 しかし、作業を終えてピットから出てきた山下の3号車は、SCの隊列にも追いつけないほどのスロー走行となり、周囲のマシンに抜かれていく。右リヤタイヤが正しく装着されていなかったのだ。ようやく1周して再びピットレーンに向けてステアリングを切ったところで、タイヤは脱落。山下は3輪走行で自ピットにたどりつき、タイヤを装着した後にレースに復帰したが、優勝はおろか上位進出のチャンスも潰えることとなった。


■「最低でも3位にはなれたかな」



 ポールからのスタートの瞬間、山下の動き出しは抜群とは言えず、2番グリッドスタートの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に並びかけられそうになるも、1〜2コーナーではなんとかこれを封じ込め、首位を死守する。


 その後、後方での接触・コースオフによりセーフティカーが導入されるが、そこまでのわずかな時間でも、前日の第3戦とは異なる好感触を山下は感じていたという。


 今年から2レース制の週末の日曜のレースでは、ピットウインドウが撤廃された。ポールの山下陣営は、スタート直後にSCが導入された場合、1周目にピットに入ることは決めていたという。ここまでは予定どおりに事が運んでおり、あとはロングスティントとなる後半にどれだけのペースを見せられるかが勝利へのカギとなると思われた。しかし……。


「もう(ピットから)出た瞬間に、『ちょっとおかしいな』と思って。たぶん、タイヤがちゃんと着いていないというのは、その時点で分かっていました」



ピットアウト直後から、山下の右後輪は脱落しかかっていた

 タイヤを再度装着した後は中団でのレースを強いられたが、「わりといい感じで走れていたので、前で走れていれば可能性はあったかなぁ……最低でも3位にはなれたかな、というレースでしたね」と山下はため息まじりに振り返る。


 悪夢のポジションダウンとなってしまったが、山下は「失敗してしまったメカニックの子も、まだタイヤ交換し始めて2、3戦目。今日みたいに(一斉ピットインという)プレッシャーがかかる場面で成功させるのは本当に難しいことだと思うので、責める気は全然ないし、仕方ないなと思っていました」とチームを気遣い、「まぁ(自分は)わりと『持ってない方』なので、だいたい何か起きるだろうなと思っていたし……予想以上のことが起きてしまったんですけども(苦笑)、まぁこんなもんだよな、と思いました」と自嘲気味に笑った。



山下健太(KONDO RACING)/2025スーパーフォーミュラ第3戦&第4戦もてぎ

 光明がないわけではない。前日の第3戦ではレースペースへの課題を口にし、第4戦に向けては「今後に向けたテスト的な意味で走らないと」と大幅なセットアップ変更の予定を語っていた山下だが、第4戦でのアクシデント後の走りは確かな収穫となった様子だ。


「今後に向けたセットアップのいい方向性は見えたような気はします。野尻(智紀)選手らの集団の中で走っていたのですが、結構速そうな力が(自分に)あったので、その方向で進めていこうかなという気になりました」


 具体的には、速さを見せることができた予選一発と、決勝でのセットアップをこれまでよりも切り分けて考えていく方向性を見出せたようで「実のあるレースというか、“テスト”という意味では、今後に向けてしっかりとできたと思います」と悔しさの中にも満足感を滲ませていた山下。自嘲ではない本物の笑顔を見せるべく、トライを続けていくことになりそうだ。



山下健太(KONDO RACING)/2025スーパーフォーミュラ第3戦&第4戦もてぎ

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